第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

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※問題の引用:第46回理学療法士国家試験、第46回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

1.関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.股関節外転
2.股関節外旋
3.股関節伸展
4.膝関節屈曲
5.足関節伸展(背屈)

解答1/3

解説
1.〇 正しい。股関節外転の【基本軸】両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線、【移動軸】大腿中央線(膝蓋骨中心を結ぶ線)、【測定部位及び注意点】①背臥位で骨盤を固定する、②下肢は外旋しないようにする内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる。
2.× 「股関節外旋」ではなく股関節内旋を測定している。ちなみに、股関節外旋の【基本軸】膝蓋骨より下した垂直線、【移動軸】下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果中央線)、【測定部位及び注意点】①背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う、②骨盤の代償を少なくする。
3.〇 正しい。股関節伸展の【基本軸】体幹と平行な線、【移動軸】大腿骨(大転子と大腿骨外果の中心を結ぶ線)、【測定部位及び注意点】①骨盤と脊柱を十分に固定する、②屈曲は背臥位(膝屈曲位で行う)、③伸展は腹臥位(膝伸展位で行う)。
4.× 膝関節屈曲の【基本軸】大腿骨、【移動軸】腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)、【測定部位及び注意点】屈曲は股関節を屈曲位で行う。通常、背臥位で測定する。
5.× 足関節伸展(背屈)の【基本軸】矢状面における腓骨長軸への垂直線、【移動軸】足底面、【測定部位及び注意点】膝関節を屈曲位で行う。(2022年改定)

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2.Danielsらの徒手筋力テストで、広背筋の筋力を三角筋後部線維および大円筋の筋力から分離判別するテストはどれか。2つ選べ。

1.背臥位
2.座位
3.背臥位
4.側臥位
5.側臥位

解答2/3

解説

MEMO

設問文【広背筋の筋力を三角筋後部線維および大円筋の筋力から分離判別するテスト】とは、肩関節の伸展(後方挙上)の広背筋分離テストのことである。

1.× 設問の図は、肩甲骨の前方突出方向への運動を行っている。
2.〇 正しい。座位で測定する方法は、広背筋分離テストの段階5の評価のための方法である。
3.△ 正しい。背臥位で測定する方法は、広背筋分離テストの段階4〜5の評価のための方法である。(※現在は、腹臥位になっている可能性が高いため各自確認しておいてほしい。)
4.× 設問の図は、肩関節外転方向への運動を行っている。
5.× 設問の図は、肩関節外旋方向への運動を行っている。

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3.Danielsらの徒手筋力テストで筋力4と5の測定法として正しいのはどれか。
 ただし、図中の矢印は検査者が抵抗を加える方向を示している。

1.長母指外転筋
2.短母指伸筋
3.短母指屈筋
4.骨間筋および虫様筋
5.掌側骨間筋

解答5

解説
1.× 「長母指外転筋」ではなく、母指内転筋のテストである。
2.× 「短母指伸筋」ではなく、長母指屈筋のテストである。
3.× 「短母指屈筋」ではなく、母指対立筋のテストである。
4.× 「骨間筋および虫様筋」ではなく、指伸筋のテストである。ちなみに、虫様筋は【起始】4個ある。それぞれ深指屈筋腱から起こる。第1,2指:第2,3指に至る腱の橈側。第3,4指(それぞれ2頭をもつ):第3~5指に至る腱の相対する側、【停止】指背腱膜、【作用】第2~5指の基節骨の屈曲、中節骨、末節骨(DIP)の伸展である。
5.〇 正しい。掌側骨間筋のテストである。ちなみに、掌側骨間筋は【起始】4個ある。それぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4指の外転、第3指の橈・尺側外転。母指の内転。掌側骨間筋と共同しておのおのの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展である。

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4.呼吸機能テストの結果、図Aのようなフローボリューム曲線を得た。
 この患者の呼吸理学療法で誤っているのはどれか。
 ただし、図Bは健常者の結果を示す。

1.胸郭の可動性を増大する。
2.口すぼめ呼吸を指導する。
3.呼気時間を短縮する。
4.吸気筋を強化する。
5.腹筋を強化する。

解答3

解説

(※図引用:医學事始様HPより〜呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線〜)

フローボリューム曲線とは?

フローボリューム曲線とは、息をはくときのスピードと量を測定すると出てくるグラフのことである。ぜん息の重症度を見るために行う肺機能検査のひとつである。つまり、縦軸は「気速」を示し、横軸は「気量」を示す。

本症例のポイント
①健常者(図B)に対して肺気量が少ないこと。
②縦軸のピークが低く流速が著しく低下していること。
閉塞性換気障害 (COPD)が疑われる。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。肺の中の気管支に炎症がおきて、咳や痰が出て、気管支が細くなることによって空気の流れが低下する。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。

1.〇 胸郭の可動性を増大することで、呼吸苦の改善につながる。
2.〇 口すぼめ呼吸を指導することで、気道内が陽圧となり気道閉塞が軽減される。
3.× 呼気時間を短縮することは、呼吸理学療法で誤っている。むしろ、呼気は吸気の2倍以上の時間をかけて行う(口すぼめ呼吸)を実施する。したがって、呼気時間は延長するように呼吸理学療法を提供する。
4〜5.〇 吸気筋/腹筋(呼吸筋/呼吸補助筋)を強化することで、呼吸苦の改善につながる。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の検査所見

増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

 

 

 

 

 

 

5.心電図を示す。
 考えられる不整脈はどれか。

1.心房細動
2.心室頻拍
3.房室ブロック
4.心室性期外収縮
5.発作性上室性頻拍

解答1

解説

本症例のポイント

①P波:消失(f波あり:不規則で小刻みな基線のゆれ)
②QPSの間隔:不規則

1.〇 正しい。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
2.× 心室頻拍は、心室の興奮が頻繁となっている状態である。特徴は、①脈拍数は上昇(心室性期外収縮が3回以上続く)、②幅広いQRS波が規則正しく出現、③RR間隔は狭くなる。
3.× 房室ブロックは、心房刺激が心室に伝わりにくくなった状態である。
4.× 心室性期外収縮は、P波は認められず、幅広い変形したQRS波が見られる。
5.× 発作性上室性頻拍は、規則正しい幅R-R間で、狭い幅のQRS波が連続して見られ、150/分ほどの頻脈となる。

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