第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

 

46.下肢の障害と適応となる装具の構造との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.槌趾:つま先の細い靴
2.尖足:可撓性足継手
3.内反:Tストラップ
4.膝折れ:遊動式足継手
5.反張膝:底屈制御式足継手

解答3/5

解説
1.× 槌趾に対し、つま先の「細い」靴ではなく「広い」靴を用いる。他にも、メタタルザルパッドの挿入などを活用する。ちなみに、槌趾変形の原因は、本態性(原因不明)のものが多い。脳性麻痺や二分脊椎といった神経疾患の他、リウマチや痛風で起こりやすい。槌指変形とは、中足趾節関節の背側の亜脱臼に起因するZ型の変形である。
2.× 尖足に対し、可撓性足継手ではなく底屈制御式足継手を用いる。可撓性(かとうせい)とは、たわめることが可能なことである。可撓性足継手は、下垂足や軽度の痙性麻痺に用いることが多い。
3.〇 正しい。内反に対し、Tストラップを用いる。ちなみに、Yストラップは外反矯正に用いる。
4.× 膝折れに対し、遊動式足継手ではなく制御式膝継ぎ手(オフセット膝継手、リングロック付伸展制限膝継手など)を用いる。また、背屈制御式足継手も有効である。ちなみに、遊動式足継手は足の側方不安定に対して用いられる。
5.〇 正しい。反張膝は、底屈制御式足継手を用いる。他に、下垂足や痙性麻痺に有効である。

 

 

 

 

 

 

47.足部の症状と靴の補正との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.外反母趾:踵部の補高
2.踵骨骨棘:クッションヒール
3.凹足変形:内側ウェッジソール
4.外反扁平足:逆Thomasヒール
5.中足骨頭部痛:ロッカーバー

解答2/5

解説

1.× 外反母趾に対して、踵部の補高ではなく①メタタルザルパッドや②舟状骨パッド(アーチサポート)などを使用する。ちなみに、踵部の補高は、尖足などに対して使用する。
2.〇 正しい。踵骨骨棘は、クッションヒールを用いる。疼痛を軽減する。
3.× 凹足変形は、内側ウェッジソールではなく外側ウェッジソールを使用する。ちなみに、内側ウェッジソールは第5中足骨頭に負荷がかかりにくく、外反足・外反膝に対して用いられる。
4.× 外反扁平足は、逆ThomasヒールではなくThomasヒールを用いる。また、歩行時の踵接地から立脚中期の内方向の安定性を良くする。ちなみに、逆Thomas ヒールは、踵立方関節・立方中足関節を支持し、内反尖足に対して用いられる。
5.〇 正しい。中足骨頭部痛は、ロッカーバーを用いる。中足骨頭部の疼痛を軽減する。

 

 

 

 

 

 

48.運動学習が進んだ段階で生じる変化で誤っているのはどれか。

1.視覚的手がかりへの依存度が減る。
2.別の課題への転移が容易になる。
3.注意の集中がより必要になる。
4.試行間のばらつきが減少する。
5.自己修正の精度が高くなる。

解答3

解説
1.〇 正しい。視覚的手がかりへの依存度が減る。なぜなら、運動学習が進むことで、視覚的なもの以外(触覚、聴覚、関節覚)にも様々な手がかりを種々のものから得られるようになるため。
2.〇 正しい。別の課題への転移が容易になる。ある場面で学んだことを別の場面にも応用することができるようになる。これを学習の転移という。
3.× 運動学習が進むにつれ、注意の集中が徐々に必要なくなる。空間的・時間的に統合され、無駄がなく早くなめらかになる。つまり、手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。
4.〇 正しい。試行間のばらつきが減少する。課題を均一に試行できるようになる。初期の理解の誤りが見直し・修正されるため余剰の運動は省かれる。
5.〇 正しい。自己修正の精度が高くなる。なぜなら、知識の集積や経験から行われるため。

 

 

 

 

 

 

49.用語の説明で誤っているのはどれか。

1.オッズ比:ある事象の起こりやすさを示す尺度
2.第1種の過誤:棄却すべき帰無仮説を棄却しない誤り
3.メタアナリシス:複数の研究のデータを統合して全体の結論を導き出す方法
4.バイアス:曝露とアウトカムの関係を誤って評価してしまう研究デザインの不備
5.無作為化比較試験:ランダムに割り付けた対象群間で前向きに効果の差を比較する試験

解答2

解説
1.〇 オッズ比とは、「ある事象の起こりやすさを示す尺度」である。つまり、「ある事象が起こる確率を起こらない確率で割ったもの」である。オッズが大きいほどその事象は起こりやすく、小さいほどその事象が起こりにくいことがわかる。
2.×「棄却すべき帰無仮説を棄却しない誤り」は、第1種の過誤(偽陽性)ではなく第2種の過誤(偽陰性 )である。第1種の過誤(偽陽性)は、採用すべき帰無仮説を棄却してしまう誤りである。第2種の過誤(偽陰性 )は、棄却すべき帰無仮説を棄却しない誤りである。
3.〇 メタアナリシス(メタ分析、メタ解析)とは、「複数の研究のデータを統合して全体の結論を導き出す方法」である。したがって、ランダム試験やそれらを統合したメタアナリシスはエビデンスレベルが高い。一方で、症例報告や専門家個人の意見はエビデンスレベルが低い。
4.〇 バイアス(系統誤差)とは、「曝露とアウトカムの関係を誤って評価してしまう研究デザインの不備」である。曝露とは、アウトカム発症の以前に存在する状態のことである。例えば、喫煙習慣や運動習慣、年齢、性別がこれにあたる。一方、アウトカムは、①疾病の発症、②健康状態のことである。最後に、研究デザインの型は大きく分けて、①介入研究、②観察研究、③データ統合型研究に分類できる。つまり、バイアス(系統誤差)を言い換えると、調査または推論の過程において、系統的に真の値から離れた結果が生ずることである。偶然の誤差とは区別される。
5.〇 無作為化比較試験(ランダム化比較試験)とは、「ランダムに割り付けた対象群間で前向きに効果の差を比較する試験」である。ある集団の対象者を実験的予防、治療、介入などを受けるか受けないかにより介入群と対照群の2群に無作為に配分した疫学的研究方法である。

 

 

 

 

 

 

50.自動体外式除細動器(AED)を用いた一次救命処置について正しいのはどれか。

1.心肺停止を疑ったら、直ちに除細動を行う。
2.実施者は手袋を装着する必要がある。
3.成人と小児は同じ電極パッドを使用する。
4.AEDによる解析時は患者に触れない。
5.除細動後は速やかに電極パッドをはがす。

解答4

解説

1.× 心肺停止を疑ったら、直ちに除細動を行う必要はない。なぜなら、まずは周囲の安全を確保、その後に気道確保や胸郭挙上、脈拍を確かめる必要があるため。ちなみに、自動体外式除細動器(AED)は、AEDが自動的に心電図解析を行い、除細動が必要と診断した場合のみ行う。
2.× 実施者は、手袋を装着する必要はない。ただし、感染防御用具の有無を確認し、手袋があれば装着することが望ましい。
3.× 成人と小児の使用する電極パッドは、「同じ」ではなく「異なる」。成人と小児では体の大きさが違うので、貼る位置も異なる。ただし、電極パッドが成人用しかなければ小児の場合でも成人用パッドを代用してもよい。
4.〇 正しい。AEDによる解析時は患者に触れない。なぜなら、感電を避けるため。AEDによる電気ショックを与えているときは、患者に手を触れないようにする。AEDから電気ショックを与える前に「離れてください」と指示が流れる。また、傷病者が身につけているネックレスなどがパットに触れないようにし、可能な限り外しておく。
5.× 除細動後は速やかに電極パッドをはがす必要はない。なぜなら除細動を行ったら速やかに胸骨圧迫を再開する必要があるため。除細動に成功した場合でも、直後は心拍出量が不安定なため胸骨圧迫は必要である。

AEDの除細動の適応

①心室細動 (VF)
②無脈性心室頻拍(VT)

 

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