第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

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41.浴槽移乗において「浴槽をまたぐ際、両足の出し入れを介助してもらう」必要がある場合、FIMの得点はどれか。

1.6点
2.5点
3.4点
4.3点
5.2点

解答4

解説

本症例のポイント

①浴槽をまたぐ際、両足の出し入れを介助してもらう。
中等度介助のレベル(患者自身で50~75%未満行う)。

1.× 6点は、修正自立(補助具の使用、通常以上の時間、安全性の配慮が必要)である。
2.× 5点は、監視(体に触れない監視、準備、指示)である。
3.× 4点は、最小介助(手で触れる程度の介助が必要、患者自身で75%以上行う)である。
4.〇 正しい。浴槽移乗において「浴槽をまたぐ際、両足の出し入れを介助してもらう」必要がある場合は、3点である。3点は、中等度介助(触れる程度以上の解除が必要、患者自身で50~75%未満行う)である。なぜなら、浴槽移乗の際に両足をまたがせる介助を行えば、沈み込み、立ち上がりは自分でできる(2/4程度の介助)であるため。
5.× 2点は、最大介助(患者自身で25%以上50%未満行う)である。例えば、本症例の状態に加えて、立ち上がりにも介助を要せば(3/4程度の介助)2点となる。

採点ポイント

1. 浴槽またはシャワー室に入り、そこからでる動作を評価する。
2. 浴槽のそばにいる状態から「①浴槽をまたいで入る」「②和式であれば沈み込む」「③立ち上がり」「④浴槽から出る」までを評価する。
3. シャワー浴だけの人はシャワー椅子への移乗を評価する。

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42.温熱の効果でないのはどれか。

1.鎮痛
2.鎮痙
3.浮腫抑制
4.組織代謝亢進
5.局所血流量増加

解答3

解説

温熱療法の目的

①組織の粘弾性の改善
②局所新陳代謝の向上
③循環の改善

慢性的な疼痛に対する温熱療法の生理学的影響として、血行の改善によるケミカルメディエーター(痛み物質)の除去、二次的な筋スパズムの軽減、疼痛閾値の上昇などがある。

1〜2,4〜5.〇 鎮痛/鎮痙/組織代謝亢進/局所血流量増加は、温熱の効果である。
3.× 浮腫抑制は、主に寒冷療法の効果である。組織内への血液や血漿成分の漏出を減少させ、外傷部位の浮腫・炎症などの抑制を目的として行う。

 

 

 

 

 

43.TENSで正しいのはどれか。2つ選べ。(不適切問題:解1つ)

1.高頻度刺激(従来型)は内因性オピオイドを利用した治療法である。
2.高頻度刺激(従来型)はパルス持続時間の長い電流を用いる。
3.低頻度刺激はゲートコントロール理論に基づいた刺激である。
4.低頻度刺激では筋収縮を起こさない強度で刺激する。
5.変調刺激では1/fゆらぎが用いられる。

解答 5

解説

TENS(経皮的電気刺激法)とは?

TENS (Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:経皮的電気神経刺激療法)は、温熱を出さず、慢性疼痛の緩和や痙縮改善に効果がある。疼痛部位の支配神経などに電極を配置し、経皮的に低周波による電気刺激を加える方法である。

【目的】鎮痛
【理論】ゲートコントロール論
【方法】筋収縮を誘発しないような短いパルス幅と周波数で通電する。

1.× 内因性オピオイドを利用した治療法であるのは、「高頻度刺激(従来型)」ではなく低頻度刺激である。脳脊髄液中の内因性オピオイド物質(エンドルフィンなど)の増加がみられ、これが脊髄後角に作用して内因性疼痛抑制機構が働く。
2.× 高頻度刺激(従来型)はパルス持続時間の、「長い」ではなく短い電流を用いる。なぜなら、筋収縮を誘発しないようにするため。
3.× ゲートコントロール理論に基づいた刺激であるのは、「低頻度刺激」ではなく高頻度刺激(従来型)である。ゲートコントロール理論とは、高頻度刺激によって、脊髄の触・圧・振動覚などの低閾値感覚を伝える太い神経線維を刺激することで、脊髄後角の感覚神経を活性化させ、痛みの信号通路のゲートを閉ざし疼痛を抑制させる理論である。脳と脊髄は痛みやその他の接触刺激などを同時に感じ取らないように働いているため、このような理論が提唱されている。
4.× 筋収縮を起こさない強度で刺激するのは、「低頻度刺激」ではなく高頻度刺激(従来型)である。
5.〇 正しい。変調刺激では1/fゆらぎが用いられる。1/fゆらぎとは、パワーが周波数 f に反比例するゆらぎのことである。心の安らぐ音楽、ピンクノイズ、ランダムでも単調でもない特別な性質をもってゆらぐパターンのことである。このゆらぎ刺激には除痛効果があるとされ、最近の市販のTENS用機器には、1/fゆらぎのような刺激条件が設定されているものもある。

 

 

 

 

 

 

44.大腿義足ソケットの初期屈曲角で正しいのはどれか。

1.腸腰筋が最も効率的に働くように設定する。
2.短断端例では標準断端よりも角度を小さくする。
3.切断側股関節の最大伸展角度に5°加えた角度に設定する。
4.角度の不足によって過度の腰椎後弯が生じる。
5.角度の過大によって過度の膝継手不安定が生じる。

解答3

解説

立脚相の腰椎前腕の増強の原因

①ソケットの初期屈曲角不足。
②股関節伸展筋力が不足し、代償動作として出現している。
③ソケットの前壁の支持力不足である。

1.× 「腸腰筋」ではなく大殿筋が最も効率的に働くように設定する。
2.× 短断端例では、標準断端よりも角度を「小さく」ではなく大きくする。なぜなら、短断端例は、股関節伸展筋力不足により膝継手不安定が生じる可能性があるため。
3.〇 正しい。切断側股関節の最大伸展角度に5°加えた角度に設定する。
4.× 角度の不足によって、過度の腰椎「後弯」ではなく前弯が生じる。
5.× 角度の過大によって、過度の膝継手の「不安定」ではなく安定が生じる。なぜなら、股関節伸展筋の働きに余力が出て、膝継手にかかる伸展モーメントが大きくなるため。

 

 

 

 

 

 

45. PTB型下腿義足で荷重を避ける部位はどれか。

1.断端
2.膝蓋腱
3.腓骨頭
4.下腿前面
5.脛骨内側の斜面

解答3

解説

PTBソケット除圧部位

①脛骨粗面
②脛骨稜
③脛骨顆部の前面部
腓骨頭
⑤ハムストリングスの走行部分

PTBソケット体重支持部

①膝蓋腱部
②膝窩部
③脛骨内側面
④前脛骨筋部
⑤腓骨骨幹部

1~2,4~5.× 断端/膝蓋腱/下腿前面/脛骨内側の斜面/には、痛みが出ない程度には荷重してよい。
3.〇 正しい。腓骨頭は、PTB型下腿義足で荷重を避ける部位である。なぜなら、腓骨頭は骨突出部であり、近くに総腓骨神経が走行するため。

 

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