この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
6.健常者が図に示す姿勢からゆっくりと立ち上がる過程で正しいのはどれか。
1.初期の股関節屈曲運動に伴い、体重心は前上方へ移動する。
2.殿部離床直後、股関節は最大屈曲位となる。
3.殿部離床直後、体重心の床への投影点は支持基底面の外にある。
4.殿部離床後、膝関節はいったん屈曲する。
5.殿部離床後、足関節は単調に背屈する。
解答2
解説
1.× 初期の股関節屈曲運動に伴い、体重心は「前上方」ではなく「前方」へ移動する。ちなみに、前上方移動が起こるのは、離殿したあと膝関節の伸展によって起こる。
2.〇 正しい。殿部離床直後、股関節は最大屈曲位となる。離殿まで股関節屈曲し続ける。その後、股関節には伸展運動が生じる。
3.× 殿部離床直後でも体重心の床への投影点は、支持基底面の「外」ではなく「中」にある。一方で、歩行や走行の場合は、体重心の床への投影点は支持基底面の外にある。
4.× 殿部離床後、膝関節はいったん屈曲することはない。離殿前まで膝関節は屈曲し、離殿後から伸展する。
5.× 殿部離床後、足関節は単調に「背屈」ではなく「底屈」する。離殿前まで足関節は背屈し、離殿後から底屈する。
次の文により7、8の問いに答えよ。
8歳の男児。公園の滑り台から誤って転落して左手をつき、痛みのために救急外来を受診した。左肘関節中枢部に疼痛、腫脹および変形が認められる。初診時の左肘のエックス線写真を下図に示す。
7.急性期の合併症で起こりにくいのはどれか。
1.橈骨神経麻痺
2.正中神経麻痺
3.尺骨神経麻痺
4.上腕動脈損傷
5.尺骨動脈損傷
解答5
解説
小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、上腕骨外顆骨折後は、外反肘変形を伴い、遅発性尺骨神経麻痺を生じやすい。
1〜4.〇 橈骨神経麻痺/正中神経麻痺/尺骨神経麻痺/上腕動脈損傷は、急性期の合併症で起こりやすい。なぜなら、各神経(橈骨・尺骨・正中神経)は上腕骨顆上周辺を通過するため。上腕動脈損傷で Volkmann拘縮を生じやすくなる。
5.× 尺骨動脈損傷は、急性期の合併症で起こりにくい。なぜなら、上腕動脈は肘関節より遠位(橈骨粗面付近)で、橈骨動脈と尺骨動脈に分岐しているため。尺骨動脈は直接損傷を受けることは少ない。
次の文により7、8の問いに答えよ。
8歳の男児。公園の滑り台から誤って転落して左手をつき、痛みのために救急外来を受診した。左肘関節中枢部に疼痛、腫脹および変形が認められる。初診時の左肘のエックス線写真を下図に示す。
8.徒手整復と外固定とによる保存治療後4週のエックス線写真を下図に示す。肘関節の自動可動域は伸展-20°、屈曲80°であった。
この時点の理学療法で誤っているのはどれか。
1.肩関節の振子運動
2.肘関節の温熱療法
3.肘関節の自動屈曲伸展運動
4.肘関節の他動屈曲伸展運動
5.握力の強化訓練
解答4
解説
肘関節の自動可動域の制限あり(伸展-20°、屈曲80°)。
エックス線写真の所見として、整復位は良好、仮骨も認める。
骨折の状態にもよるが、上腕骨顆上骨折後の固定期間は4週から6週程度である。
1.〇 肩関節の振子運動を提供しても誤りではない。肩関節の振子運動は、腱板断裂・上腕骨近位端骨折などに多く利用されるが、上腕骨顆上骨折であっても安静・固定による肩関節の可動域制限や拘縮予防に必要と考えられる。
2.〇 肘関節の温熱療法を提供する。疼痛緩和や受傷部位の血流向上、軟部組織の伸張に期待できる。
3.〇 肘関節の自動屈曲伸展運動を提供する。本症例は8歳男児である。なぜなら、小児の骨折では、関節拘縮は起こりにくく、過矯正で骨化性筋炎が発生しやすいため。自動運動が主体となる。
4.× 肘関節の他動屈曲伸展運動は、この時点での理学療法で誤っている。固定除去後しばらくは、肘関節が硬くなるが、日常動作により、自然に動くようになると考えられる。
5.〇 握力の強化訓練を提供する。なぜなら、固定中に低下した握力の改善や血流の改善(筋ポンプ作用)につながるため。
9. 48歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラス3。
ADLの維持・向上のための指導で誤っているのはどれか。
1.立ち上がり訓練は高めの椅子で行う。
2.膝の屈曲拘縮予防に夜間装具を使用する。
3.炎症の強い時期の可動域訓練は自動運動を中心に行う。
4.ベッド上での起き上がりはひもを引っ張る方法で行う。
5.食事動作や更衣動作自立のため、肩・肘の可動域訓練を行う。
解答4
解説
【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。
【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。
1.〇 立ち上がり訓練は高めの椅子で行う。なぜなら、関節への負荷を軽減することができるため。また上下の重心移動の距離が減り、低めの椅子より容易に立ち上がりが行える。
2.〇 膝の屈曲拘縮予防に夜間装具(特に、伸展装具)を使用する。なぜなら、夜間の寝ている姿勢は、膝関節の屈曲拘縮が起こりやすいため。手関節にも用いることが多い。ただし、痛みや関節拘縮、ADLに関しての改善効果の報告はまちまちである(エビデンスレベルD:行わないように勧められている文献もある)。ただ、本問題はこの設問以上に優先度が高い選択肢があるため、〇とした。
3.〇 炎症の強い時期の可動域訓練は、自動運動を中心に行う。急性期には患者が耐えられる範囲で行う。
4.× ベッド上での起き上がりはひもを引っ張る方法で行うことは、ADLの維持・向上のための指導で誤っている。なぜなら、手指関節への負担が大きいため。
5.〇 食事動作や更衣動作自立のため、肩・肘の可動域訓練を行う。自動運動を中心にADL維持・改善のために行う。
類似問題はこちら↓
10. 60歳の男性。右利き。意識障害のため搬入された。脳梗塞と診断され、保存的治療が開始された。片麻痺を呈している。入院後2週の頭部CTを下図に示す。
この患者に認められる可能性が高いのはどれか。
1.失算
2.失書
3.注意障害
4.物体失認
5.左同名半盲
解答3
解説
1〜2.× 失算/失書は、左頭頂葉の角回の障害でみられやすい。Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)の主症状は①失算、②失書、③手指失認、④左右失認である。
3.〇 正しい。注意障害は、この患者に認められる可能性が高い。なぜなら、前頭葉の前頭連合野が障害されているため。
4.× 物体失認は、左後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての障害で生じる。ちなみに、物体失認とは、物体は見えるがそれが何か理解できないという症状である。
5.× 左同名半盲は、右後頭葉の一次視覚野の障害で出現する。
障害視野:両眼の視野の左半部。
障害部位:右視索、右外側膝状体、右視放線、右後頭葉など。