第45回(H22) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題96~100】

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96.我が国で生涯有病率が最も高いのはどれか。

1.うつ病
2.てんかん
3.強迫性障害
4.統合失調症
5.パニック障害

解答1

解説

生涯有病率とは?

生涯有病率とは、一生のうちに一度はその病気にかかる人の割合をいう。

1.〇 正しい。うつ病の生涯有病率は、8~15%である。ちなみに、女性の割合が男性の約2倍あり、増加傾向である。
2.× てんかんの生涯有病率は、3~4%である。
3.× 強迫性障害の生涯有病率は、約2%である。
4.× 統合失調症の生涯有病率は、約0.8%である。
5.× パニック障害の生涯有病率は、0.8~3%である。

 

 

 

 

 

97.「細部に拘泥して重要なことを要領よく話すことができない」症状はどれか。

1.保続
2.迂遠
3.思考制止
4.思考途絶
5.観念奔逸

解答2

解説

拘泥(こうでい)

ほかに選びようもあるのに、一つの事にこだわること。

1.× 保続とは、新しい会話内容に対して、前の会話での観念が繰り返し現れて思考が進まない状態いう。認知症などの器質性脳疾患でみられる。
2.〇 正しい。迂遠(うえん)は、「細部に拘泥して重要なことを要領よく話すことができない」症状である。非常に周りくどく説明し、なかなか思考の目標に達しない状態をいい、認知症やてんかんなどでみられる。
3.× 思考制止とは、観念が思うように浮かばず、思考がうまく進まない状態である。うつ病でみられる。
4.× 思考途絶とは、思考が途中で急に停止することをいう。統合失調症でみられる。
5.× 観念奔逸とは、考えが次々と方向も決まらずにほとばしり出る状態である。躁病でみられる。

 

 

 

 

98.アルコール離脱せん妄でみられるのはどれか。2つ選べ。

1.作話
2.幻覚
3.振戦
4.嫉妬妄想
5.動眼神経麻痺

解答2.3

解説

アルコール断酒後に起こる離脱せん妄

①断酒後数時間以内:発汗、いらつき、不安、手指振戦、不眠などの症状が出現する。
②断酒2~3日後には、振戦せん妄が生じる。
③せん妄(様々な程度の意識混濁に見当識障害、不安感、恐怖感などを伴う)と幻視(特に小動物や小人の幻視)が主にみられる。
④一週間以内に症状が治まることが多いが、回復しないままWernicke脳症(①意識障害、②眼症状(動眼神経麻痺)、③失調性歩行)やKorsakoff症候群(①最近の記憶の障害、②見当識障害、③作話)に移行する場合もある。

1.× 作話は、主に認知症やKorsakoff症候群でみられる。アルコール離脱症状の後にKorsakoff症候群に移行する場合があるが、離脱せん妄の際には作話はみられない。ちなみに、作話とは、記憶障害の一種で実際に体験されなかったことが、誤って追想され、しかもその内容が様々に変化するものをいう。「正直な嘘」と呼ぶべきものであり、通常において本人は騙すつもりは全く無く、自分の情報が誤りであるとは気がついていないので、この点で嘘とは区別される。
2~3.〇 正しい。幻覚/振戦は、アルコール離脱せん妄でみられる。幻覚は、特に幻視(特に小動物や小人の幻視)がみられる。振戦は、手指振戦が、断酒後早期に出現する。
4.× 嫉妬妄想は、アルコール依存中の症状であり配偶者が浮気をしている、という妄想である。
5.× 動眼神経麻痺は、Wernicke脳症でみられる。Wernicke脳症は、①意識障害、②眼症状(動眼神経麻痺)、③失調性歩行を3徴候とし、予後が不良であるが、ビタミンB1を早期に投与すると回復する場合がある。

 

 

 

 

 

99.小児の精神障害で正しいのはどれか。

1.吃音は強迫性障害に分類される。
2.ネグレクトによって反応性愛着障害が起こる。
3.児童期に妄想型統合失調症が発症することはない。
4.選択性緘黙は脳の器質的病変を原因とすることが多い。
5.一過性チック障害の約半数がTourette障害に進行する。

解答2

解説
1.× 吃音(きつおん)は、強迫性障害とは関係がない。吃音とは、普通に話したいのに途中で語句が途切れたり、繰り返したりして流暢さを欠くものをいう。小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害である。
2.〇 正しい。ネグレクトによって反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)が起こる。反応性愛着障害とは、5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。こどもの対人関係の障害である。他者に対して過度に警戒したり、逆に過度に接近したりすることを特徴とし、その原因が「養育におけるネグレクト」である。ネグレクト(保護の怠慢・拒否:育児放棄)は、子どもに食事を与えなかったり、病気になっても病院に連れて行かなかったりすることをいう。
3.× 児童期に妄想型統合失調症が発症することもある。妄想型統合失調症は、多くは20歳代以降に発症するが、まれに児童期に発症することもある。妄想型統合失調症は、幻覚や妄想などの陽性症状を中心とし、まとまりのない言動や緊張病症状を示さないものであるタイプの統合失調症である。
4.× 選択性緘黙は、脳の器質的病変を原因としない。なぜなら、選択性緘黙は、心理的な要因で発症するものであり、ある特定の状況で話せなくなるもので、言語理解は正常であるため。
5.× 一過性チック障から、Tourette障害(トゥレット障害)に進行することはほとんどない。Tourette症候群(トゥレット障害)とは、複数の運動チックと音声チックが同時に存在し、1年以上継続する状態を指す。汚言症がみられることがある。汚言症とは、卑猥語や罵倒語(汚言、醜語、糞語、猥言、猥語)を不随意的に発する症状。一方、一過性チック障害は運動性チックおよび(または)音声チックが1日中頻繁に生じ、少なくとも4週間は持続するが、1年以上には至らないものをいう。

 

 

 

 

 

100.うつ病の治療で正しいのはどれか。

1.重要な事項についての自己決定を促す。
2.抗うつ薬は三環系薬物が最も広く用いられている。
3.抗うつ薬の副作用を説明する。
4.症状の改善後には抗うつ薬を速やかに中止する。
5.電気けいれん療法は効果がない。

解答3

解説
1.× 重要な事項についての自己決定を促す必要はない。むしろ、この時期には誤った決断をしがちであるため、重大な決断(退職、離婚など)は必ず先延ばしにする、というのが原則である。
2.× 抗うつ薬は、三環系薬物より、副作用が少ない選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI) が広く用いられている。(三環系)抗うつ薬の副作用は、①自律神経症状(口渇、便秘、排尿困難など)、②循環器系症状(血圧低下、頻脈、めまい、起立性低血圧など)、③中枢神経症状(眠気など)である。抗コリン作用による起こる。近年では、SSRIやSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などが用いられるようになっている。それらは吐気・眠気などが副作用である。
3.〇 正しい。抗うつ薬の副作用を説明する。うつ病に限らず使用する薬剤の副作用を事前によく説明することは、もし副作用が起こった時にも患者が不安になることを避けられるので、必ずおこなうべきである。
4.× 症状の改善後には、抗うつ薬を速やかに中止する必要はない。むしろ、一定の期間は継続的な服用が求められる。なぜなら、抗うつ薬によって症状が軽快しても、ここで中止すれば、再燃・再発する可能性が高いため。
5.× 電気けいれん療法は、効果がないとは一概に言えない。むしろ、重度のうつ病に対し、電気けいれん療法の適応疾患である。特に焦燥不安が大きい場合(自殺企図の危険性の高い場合)や強い制止を伴う場合などは、急速な症状の改善を期待して本治療法が好まれる。

 

 

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