第45回(H22) 理学療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

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※問題の引用:第45回理学療法士国家試験、第45回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

1.関節可動域の測定で両矢印で示す2つの罕間の角度が得られた。
 正しいのはどれか。2つ選べ。

1.頸部左回旋は50°
2.右肩関節水平屈曲は10°
3.右肩関節外旋は60°
4.左前腕回外は15°
5.左足部外がえしは15°

解答1.5

解説

1.〇 正しい。頸部左回旋は50°(90° – 40°)である。ちなみに、【基本軸】両側の肩峰を結ぶ線への垂直線、【移動軸】鼻梁と後頭結節を結ぶ線、【測定部位及び注意点】腰かけ座位で行う。
2.× 右肩関節水平屈曲は、「10°」ではなく100°(180° – 80°)である。ちなみに、【基本軸】肩峰通る床への矢状面への垂直線、【移動軸】上腕骨、【測定部位及び注意点】肩関節を90°外転位とする。
3.× 右肩関節外旋は、「60°」ではなく30°(120° – 90°)ちなみに、【基本軸】肘を通る前額面への垂直線、【移動軸】尺骨、【測定部位及び注意点】①上腕を体幹に接して、肘関節を前方90°に屈曲した肢位で行う。②前腕は中間位とする。
4.× 左前腕回外は、「15°」ではなく75°である。ちなみに、【基本軸】上腕骨、【移動軸】手指を伸展した手掌面、【測定部位及び注意点】肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。
5.〇 正しい。左足部外がえしは、15°(90° – 75°)である。ちなみに、【基本軸】前額面における下腿軸への垂直線、【移動軸】足底面、【測定部位及び注意点】膝関節を屈曲位で行う。

 

参考にどうぞ↓

【暗記確認用】ROMのランダム問題

 

 

 

 

 

 

2.図のAからBに見本のように線を引かせた。
 各試行のような所見を呈するのはどれか。

1.頸髄症
2.Parkinson病
3.脊髄小脳変性症
4.筋萎縮性側索硬化症
5.Guillain-Barré症候群

解答3

解説

本症例のポイント

線引き試験は、測定障害を検査する。2本の縦線間に直交するような横線を引いてもらう。

本症例では、
第1~2試行:測定過大(はみ出し)がみられる。
第3施行:測定過少(手前で止まる)がみられる。
→したがって、小脳障害をきたしていると推測できる。

1.× 頸髄症は、測定異常をおこらない。ちなみに、頚椎症とは、頚椎の椎間板、ルシュカ関節、椎間関節などの適齢変性が原因で、脊柱管や椎間孔の狭窄をきたして症状が発現した疾患である。そのうち脊髄症状を発現した場合を頚椎症性脊髄症、神経根症が発現した場合は頚椎症性神経根症とよぶ。神経根症では主に一側性に痛みやしびれが生じる。Lhermitte徴候(レルミット徴候)は、頚部屈曲時に感電したような痛みや刺すような痛みが、背中から両脚、片方の腕、体の片側へ走ることをいう。多発性硬化症に特徴的な症状であるが、他にも頚髄症、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍なども出現する。
2.× Parkinson病は、測定異常をおこらない。Parkinson病の4大症状は、①静止時振戦、②寡動(無動)、③筋強剛(固縮)、④姿勢反射障害である。
3.〇 正しい。脊髄小脳変性症は、運動失調症により測定異常をきたす。脊髄小脳変性症とは、小脳を中心とした神経の変性により生じる疾患を総称して呼ぶ。歩行時のふらつきや、手の震え、呂律が回らない等を症状とする神経疾患である。主な症状として、①自律神経症状、②小脳失調、③パーキンソニズムである。
4.× 筋萎縮性側索硬化症は、測定異常をおこらない。筋萎縮性側索硬化症では、脊髄前角細胞の萎縮が見られ、上位運動ニューロン障害(下肢に強い)と下位運動ニューロンの障害(上肢に強い)の両方を示す。上肢末端(母指球など)から筋萎縮が始まり緩徐に進行する。予後は極めて不良で、一般に発症から3~5年程度で呼吸筋麻痺や誤嚥性肺炎などで死亡するが、人工呼吸器を使用することで10年以上生存する例も多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。【陰性四徴候】①他覚的感覚障害、②眼球運動障害、③膀胱直腸障害、④褥瘡である。
5.× Guillain-Barré症候群は、測定異常をおこらない。Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)

”脊髄小脳変性症とは?多系統萎縮症とは?”

脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)

多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

3.脳卒中による右片麻痺患者が左下肢を挙上してバランスを保持している状態を図に示す。
 体重が60kgのとき、麻痺側下肢への床反力で正しいのはどれか。

1. 6kgw
2. 12kgw
3. 24kgw
4. 30kgw
5. 48kgw

解答5

解説

解き方のポイント

①第2のてこだと考え、力は釣り合っている。
②作用点には、60㎏の体重がかかっている。
③作用点(体重)、支点(麻痺側下肢)、杖(力点)である。

したがって、まず杖(力点)の床反力(F)を求める。

第2のてこの計算式を使用する。

【作用点にかかる力 × 支点~作用点までの距離 = 力点にかかる力 × 支点~力点までの距離】

60(kg)× 1 = F × 5

F = 12kgw

杖(力点)の床反力(F)は、12kgwである。

 

次に、支点(麻痺側下肢)への床反力を求める。

全体にかかる床反力から、杖(力点)の床反力(F)を引くことで、麻痺側下肢(支点)の床反力を求めることができる。

60kgw - 12kgw

=48kgw

したがって、選択肢5. 48kgwが正しい。

 

 

 

 

4.スポーツ傷害に対する超音波照射部位で正しいのはどれか。

1.ジャンバー膝
2.鵞足炎
3.Osgood-Schlatter病
4.シンスプリント
5.足関節内反捻挫

解答1

解説

超音波照射部位

超音波照射部位は、障害部位付近を照射する。照射部位は有効照射面積の2倍までである。ちなみに、有効照射面積とは、導子の表面で実際に有効な超音波が発射されている面積のことを指す。

1.〇 正しい。ジャンバー膝(膝蓋靭帯炎、大腿四頭筋腱付着部炎)の場合は、膝蓋骨遠位部に照射する。なぜなら、ジャンバー膝(膝蓋靭帯炎)は、膝蓋骨遠位部に圧痛を認めるため。バレーボールやバスケットボールなどでジャンプや着地動作を頻繁に行ったり、サッカーのキック動作やダッシュなどの走る動作を繰り返したりするスポーツに多くみられる。
2.× 鵞足炎の場合は、膝内側の脛骨上端(脛骨粗面の内側)に照射する。鵞足炎は、鵞足と大腿骨内側顆との摩擦によって引き起こされ、膝関節の外反ストレスおよび下腿外旋強制によって痛みを増強または誘発する。
3.× Osgood-Schlatter病の場合は、膝蓋腱付近に照射する。Osgood-Schlatter病は、脛骨粗面(脛骨結節)の骨端症である。小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
4.× シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の場合は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに照射する。シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)とは、脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。
5.× 足関節内反捻挫の場合は、外側の前距腓靭帯前脛腓靭帯に照射する。なぜなら、内反捻挫の場合それら靭帯が損傷しやすいため。ちなみに、内がえし(内反)とは、内転・回外・底屈が組み合わされている運動のことである。

 

 

 

 

 

次の文により5、6の問いに答えよ。
 18歳の男性。サッカーの試合中に方向転換をしようとして膝関節をひねり、疼痛のため歩行不能となった。翌日に撮像したMRIを下図に示す。

5.この患者で認められないのはどれか。

1.膝蓋跳動
2.Nテスト陽性
3.前方引き出し徴候
4.後方引き出し徴候
5.ラックマンテスト陽性

解答4

解説

1.〇 膝蓋跳動は、関節貯留液の有無の検査である。膝蓋骨を押すと大腿骨に衝突してコツコツと音がすると陽性である。
2.〇 Nテスト陽性は、前十字靭帯損傷で陽性となる。足部と下腿近位を把持し、膝関節屈曲位から腓骨頭を押し出すように下腿を内旋させ、そのまま他動的に伸張する。前十字靭帯の断裂がある場合、膝屈曲20°付近から脛骨が前方・内旋方向へ亜脱臼する。
3.〇 前方引き出し徴候は、前十字靭帯損傷で陽性となる。前方引き出しテストとは、前距腓靭帯では足関節の軽度屈曲位にて、一方の手で脛骨と腓骨を固定し、他方の手で踵を包むようにして前方へ引き出す。陽性では、患側の距骨は健側と比較して、果間関節窩の下からより前方へ引き出される。また、距骨が亜脱臼して、足を戻す際にカクッという動きを察知できる。疼痛が出現することもある。
4.× 後方引き出し徴候は、後十字靭帯損傷で陽性となる。本症例は前十字靭帯損傷であるため認められない。
5.〇 ラックマンテスト陽性は、前十字靭帯損傷で陽性となる。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

 

2 COMMENTS

匿名

これは学生個人の意見ですが失礼いたします。
【作用点にかかる力 × 支点~作用点までの距離 = 入れる力 × 支点~力点までの距離】
こちらの「入れる力」というワードを「力点にかかる力」と記されるほうがわかりやすいかと思います。 よろしければご訂正よろしくお願いいたします。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
分かりにくい解説申し訳ありませんでした。
コメント含め、解説をご指摘通り修正致しましたのでご確認ください。
より分かりやすい解説を書いていこうと思いますので、何かありましたらお気軽にコメントください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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