第45回(H22) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題91~95】

 

91.右延髄外側の脳梗塞で認められるのはどれか。

1.右顔面の温痛覚障害
2.右顔面神経麻痺
3.右上斜筋麻痺
4.右片麻痺
5.左小脳性運動失調

解答1

解説

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)とは?

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。

(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)

1.〇 正しい。右顔面の温痛覚障害は、右延髄外側の脳梗塞で認められる。
2.× 右顔面神経麻痺は橋以上の障害で生じる。Wallenberg症候群(延髄外側症候群)でみられるのはHorner症候群(縮瞳、眼瞼下垂、眼球陥凹、無汗)である。
3.× 右上斜筋麻痺は中脳以上の障害で生じる。Wallenberg症候群(延髄外側症候群)でみられるのはHorner症候群(縮瞳、眼瞼下垂、眼球陥凹、無汗)である。
4.× 右片麻痺は錐体路の障害で生じる。錐体路は、大脳皮質運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄→(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前角細胞という経路をたどる。
5.× 左小脳性運動失調ではなく、右(病側)の小脳性運動失調が生じる。

 

 

 

 

 

92.Parkinson病で認められるのはどれか。2つ選べ。

1.反張膝
2.前傾姿勢
3.突進歩行
4.大殿筋歩行
5.はさみ足歩行

解答2.3

解説

1.× 反張膝は、大腿四頭筋の筋力低下片麻痺などで起こる。
2.〇 正しい。前傾姿勢は、Parkinson病で認められる。Parkinson病は、無動・寡動、筋固縮、安静時振戦、姿勢反射障害がみられる。前傾姿勢は、これらが複合してみられる。
3.〇 正しい。突進歩行は、Parkinson病で認められる。他にも、すくみ足、小刻み歩行がみられる。
4.× 大殿筋歩行は、立脚相に体幹後傾(股関節伸展位)を呈する。立脚期に体幹前屈位(股関節屈曲位)で姿勢を保持できないため、急激に腹部を前に突き出すようにして股関節を最大伸展させロックすることが特徴である。筋ジストロフィーなどでみられる。
5.× はさみ足歩行(痙性対麻痺歩行)は、足尖で歩行し、両膝をするように歩く。

 

 

 

 

 

93.呼吸器疾患で正しいのはどれか。

1.間質性肺炎は湿性咳嗽が多い。
2.気管支拡張症は血痰が出ることは少ない。
3.肺気腫は初期からチアノーゼが出やすい。
4.過換気症候群はバチ指を呈しやすい。
5.睡眠時無呼吸症候群は急に眠気に襲われることが多い。

解答5

解説

1.× 間質性肺炎は、湿性咳嗽ではなく乾性咳嗽が多い。なぜなら、間質性肺炎は、肺の線維化によって肺が広がりにくくなる拘束性肺疾患であるため。ちなみに、湿性咳嗽は気管支拡張症や慢性気管支炎に多い。
2.× 気管支拡張症は血痰が出ることは、少ないのではなく多い。なぜなら、気管支拡張症は、副鼻腔炎を合併することもあるため。気管支拡張症は、気管支が非可逆的に拡張し、周囲に慢性炎症を伴うものである。他の特徴として、①起床時に多い咳、②多量の痰(膿性~血性)、③喀血などが主な症状である。
3.× 肺気腫は、初期からチアノーゼが出やすいとはいえず進行すると出現する。肺気腫は、「終末細気管支より末梢の気腔が異常に拡大し、肺胞壁の破壊を伴うが、明らかな線維化は認められない状態」と定義される。つまり、閉塞性の障害であり、まずは主に呼気の障害が起こる。
4.× 過換気症候群は、バチ指を呈しやすいとはいえない。バチ指は、慢性に経過する心疾患肺疾患あるいは肝疾患などで見られる。これらの基礎疾患がなくとも先天性に変形していることもある。過換気症候群とは、器質的障害が認められないのにストレスや緊張、不安などの心理的要因等により発作的に肺胞過換気状態を生じ、呼吸性アルカローンスに基づく臨床症状を呈する病態をいう。
5.〇 正しい。睡眠時無呼吸症候群は、急に眠気に襲われることが多い。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に無呼吸が繰り返され、睡眠の分断化、睡眠の減少により日中過度の眠気などを伴う病態である。

気管支拡張症とは?

異物を排除して感染予防に重要な呼吸器系の線毛の機能が低下するため感染が生じ易くなり、その結果、副鼻腔炎と気管支拡張症を生じる。また、線毛と関連して精子の鞭毛の異常を伴う。

 

 

 

 

 

94.出血の症状で正しいのはどれか。(※不適切問題:解なし)

1.少量の喀血は致死的にならない。
2.上部消化管出血はコーヒー残渣様の吐物となる。
3.下部消化管出血は黒色軟便となる。
4.下部消化管出血は大量出血となる。
5.内痔核からの出血は光沢のある暗赤色の便となる。

解答 なし(採点対象外)

解説
1.× 少量の喀血は、致死的にならないとは一概にいえない。なぜなら、少量であっても、気道につまることで気道を閉塞してしまうと致死的になる可能性もあるため。ちなみに、喀血とは下気道からの出血のことである。このうち少量の血液が痰に付着、または混入しているものを血痰という。また、少量の喀血は、大喀血の前兆となる可能性があるという報告もある。
2.× 上部消化管出血は、コーヒー残渣様の吐物となるとは一概に言えない。なぜなら、上部消化管とは食道・胃・十二指腸を指すため。吐物は、胃酸にさらされる時間が増えるほど、鮮血→黒褐色→コーヒー残渣様と変化する。食道などの出血は潜血となるが、胃内の吐物ではコーヒー残渣様である。
3.× 黒色軟便(タール便)となるのは、下部消化管出血ではなく上部消化管出血である。下部消化管とは小腸および大腸を指す。ちなみに、右側結腸から口側の消化管出血で、黒色便がみられる。一方で、左側結腸より肛門側の消化管出血で、赤色便がみられる。
4.× 下部消化管出血は、大量出血となると決まっているわけではない
5.× 内痔核からの出血は、光沢のある暗赤色の便ではなく鮮血が付着した便となる。なぜなら、肛門付近であるため。

 

 

 

 

 

95.高齢者に発症しやすいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.1型糖尿病
2.関節リウマチ
3.多発性骨髄腫
4.多発性硬化症
5.線条体黒質変性症

解答3.5(複数の選択肢を正解とした)
理由:設問が曖昧だったため。

解説
1.× 1型糖尿病の発症年齢は、25歳以下に多い。1型糖尿病は、膵臓ランゲルハンス島B細胞の破壊によって引き起こされる。通常は絶対的インスリン欠乏に至る。一方、2型糖尿病は40歳以上に多い。
2.× 関節リウマチの発症年齢は、20~50歳代の女性(男女比1:4)に多い。ただし、65歳以上では減少する。関節リウマチは、関節リウマチは慢性に経過する関節を主体とした全身性の炎症性疾患である。
3.〇 正しい。多発性骨髄腫は、高齢者に発症しやすい。50歳以降、特に60歳以上の男性に多い。多発性骨髄腫は、形質細胞(骨髄細胞)のがんで、異常な形質細胞が骨髄や、ときには他の部位で、制御を失った状態で増殖する病気である。
4.× 多発性硬化症の発症年齢は、15~50歳に多く、約30歳がピークである。多発性硬化症は、中枢神経に時間的(多発性)・空間的(多巣性)に病変を生じる脱髄疾患である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。
5.〇 正しい。線条体黒質変性症は、高齢者に発症しやすい。発症年齢は40~70歳であり高齢者に発症しやすいといえる。線条体黒質変性症は筋強剛を主体とする緩徐進行性のパーキンソニズムを呈し、病理学的には線条体と黒質に主病変を有する孤発性の変性疾患である。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

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