第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

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41 標準型車椅子の採寸について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 座幅は両大転子間の幅に10~15cm加えた幅とする。
2. フットレストの床からのクリアランスは5cm以上とする。
3. アームレストは座面から肘までの高さに5~10cm加えた高さとする。
4. 座の奥行きは背面から膝窩までの長さから10~15cm引いた長さとする。
5. 背もたれの高さは座面から腋窩までの長さから5~10cm引いた高さとする。

解答2/5

解説

1.× 座幅は、「両大転子間の幅に10~15cm加えた幅」ではなく、殿幅+2cmとする。
2.〇 正しい。フットレスト(フットサポート)の床からのクリアランスは5cm以上とする。なぜなら、段差にぶつからないようにするため。
3.× アームレスト(アームサポート)は、「座面から肘までの高さに5~10cm加えた高さ」ではなく、肘を90°に曲げた時の高さより、2cm高くする。
4.× 座の奥行き(座長)は、背面から膝窩までの長さから、「10~15cm」ではなく2.5~5cm引いた長さとする。
5.〇 正しい。背もたれの高さは、座面から腋窩までの長さから5~10cm引いた高さとする。もしくは、座面から肩甲骨下端の長さから2~3cm引いた高さとする。

車椅子の標準寸法

・シート幅(座幅)=座位臀幅+(0~30)mm
・前座高=下腿長+60~80mm
・後座高=前座高-20~40mm
・フットサポート高=座位下腿長-クッション厚mm
・アームサポート高=座位膝頭高+(10~20)+クッション厚mm
・バックサポート高=座位腋下高+(70~100)+クッション厚mm
・シート奥行き(座長)=座底長-(50~70)mm
・バックサポート角度=90~95°
・グリップ高=介助者の臍~股関節の高さ

(※参考:「身体寸法と車いす寸法の合わせ方」財団法人テクノエイド協会様HPより)

 

 

 

 

 

42 慢性閉塞性肺疾患における包括的呼吸リハビリテーションで正しいのはどれか。

1. 運動耐容能の改善を図ることができる。
2. 吸気時に動作を行うように指導する。
3. 上肢筋力トレーニングは行わない。
4. 健康関連QOLに影響を与えない。
5. 栄養指導は含まない。

解答1

解説

 包括的呼吸リハビリテーションとは、運動療法患者教育社会的支援など、さまざまな面から患者ヘアプローチすることである。

 

1.〇 正しい。運動耐容能の改善を図ることができる。なぜなら、包括的呼吸リハビリテーションは、筋力や持久力トレーニングなどの運動療法も含まれているため。
2.× 「吸気時」ではなく、呼気時に動作を行うように指導する。なぜなら、呼気時の方が筋の力が抜けており、動作がしやすいため。また、呼吸と運動のリズムを同調させ、息は止めないよう指導する。
3.× 上肢筋力トレーニングも行う。なぜなら、呼吸補助筋が上肢の運動に参加するため。下肢よりも上肢を使用する場面でより呼吸困難感を訴えやすいことから、筋力トレーニングで運動効率の改善や骨筋代謝レベルの改善を目指す。
4.× 健康関連QOLに影響を与える。健康関連QOLとは、QOLのうちで人の健康に直接影響する部分のQOLのこと。これは、身体的状態・心理的状態・社会的状態・霊的状態・役割機能や全体的well-being(幸福)などからなる。
5.× 栄養指導も含む。なぜなら、栄養障害は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病状を進行させ、急性増悪を起こしやすくするため。

 

 

 

 

43 糖尿病性神経障害で正しいのはどれか。

1. 単神経障害を呈することが多い。
2. 近位部の筋力低下が生じやすい。
3. アキレス腱反射が低下しやすい。
4. 深部感覚では位置覚が障害されやすい。
5. 感覚障害は左右非対称であることが多い。

解答3

解説

糖尿病性神経障害

糖尿病に合併する末梢神経障害である。症状は、①眼筋・眼瞼挙筋麻痺、③下肢の腱反射低下、④振動覚障害、しびれなどが特徴である。上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすい。感覚障害は、手部や足部に左右対称におこることが多い。

1.× 「単神経障害」ではなく多発神経障害(複数の末梢神経障害)を呈することが多い。単神経障害とは、1本の末梢神経だけに起こる損傷のことである。原因は、手根管症候群・肘部管症候群・腓骨神経麻痺などである。
2.× 「近位部」ではなく、遠位部の筋力低下が生じやすい。
3.〇 正しい。アキレス腱反射が低下しやすい。
4.× 深部感覚では、「位置覚」ではなく振動覚が障害されやすい。
5.× 感覚障害は、「左右非対称」ではなく左右対称であることが多い。

 

 

 

 

 

44 トレーニングについて誤っているのはどれか。

1. サーキットトレーニングでは全身的な持久力が増大する。
2. レジスタンストレーニングでは有酸素トレーニングと比べて血圧が上昇する。
3. インターバルトレーニングでは持続トレーニングと比べて心臓への負担が増大する。
4. トレッドミルトレーニングでは歩行速度と傾斜角度によって運動強度を調整できる。
5. エルゴメータトレーニングでは全身的なトレーニングと比べて局所筋の疲労感が出現する。

解答3

解説

1.〇 正しい。サーキットトレーニングでは全身的な持久力が増大する。サーキットトレーニングの目的は、①筋力、②筋持久力、③持久力など総合的に向上させることである。内容は、数種類のトレーニング(腕立て伏せ・腹筋・スクワットなど)を休息をとらずに連続して繰り返し行う。
2.〇 正しい。レジスタンストレーニングでは有酸素トレーニングと比べて血圧が上昇する。なぜなら、骨格筋の強い収縮によるため。また、息を止めると腹腔内圧が上がって血圧上昇(バルサルバ効果)がおこるため、呼吸を止めずに行うよう指導する。
3.× インターバルトレーニング(インターバル(休息)をとりながらの運動)は、持続トレーニングと比べて心臓への負担が、「増大」ではなく減少する。なぜなら、休息をはさみ、心肺の負担が少ないため。そのため、低体力者や高齢者にも適している。
4.〇 正しい。トレッドミル(歩行マシーン)トレーニングは、歩行速度と傾斜角度によって運動強度を調整できる。速度や角度を上げると運動強度も上がる。
5.〇 正しい。エルゴメータ(自転車こぎ運動)トレーニングは、全身的なトレーニングと比べて局所筋の疲労感が出現する。なぜなら、下肢を主体とした運動になるため。下肢の筋に疲労があらわれやすい。

 

 

 

 

 

45 顎関節にある関節円板の動きに直接関係する筋はどれか。

1. 咬筋
2. 側頭筋
3. 顎二腹筋
4. 大頰骨筋
5. 外側翼突筋

解答5

解説

1.× 咬筋の作用は、下顎骨を上げて、歯をかみ合わせる(閉口)である。
2.× 側頭筋の作用は、下顎を上げて、歯をかみ合させる(閉口)ほか、後部は下顎骨を後ろへ引く。
3.× 顎二腹筋の作用は、下顎骨を固定時は舌骨を引き上げ、舌骨を固定時は下顎骨を引き下げる(開口)である。
4.× 大頰骨筋は、口角の引き上げであり、表情筋である。
5.〇 正しい。外側翼突筋は、関節円板の動きに直接関係する筋である。外側翼突筋の【起始】上部:蝶形骨の側頭下稜、蝶形骨大翼の側頭下面、下部:翼状突起外側板、【停止】顎関節円板ないし関節包、下顎頸の翼突起窩である。そのため、収縮すると関節包・関節円板に対して前内側方向の力が働く。したがって、外側翼突筋上頭には、下顎挙上中の関節円板の位置を調節する働きがある。

 

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