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6 5歳の男児。脳性麻痺による痙直型四肢麻痺である。背臥位で図のような姿勢を示す。
影響しているのはどれか。
1.Moro反射
2.陽性支持反射
3.緊張性迷路反射
4.対称性緊張性頚反射
5.非対称性緊張性頚反射
解答5
解説
1.× Moro反射とは、原始反射の一つであり、頭を落下すると、手指を開き上肢を広げ、その後、上肢屈曲位に戻る反射のこと。4~6か月前後に消失する。
2.× 陽性支持反射とは、足底が床に触れると下肢筋の同時収縮が起こり、下肢全体が伸展パターンとなる反射である。
3.× 緊張性迷路反射とは、腹臥位になると、上肢屈曲し股関節屈曲優位の姿勢になり、反対に、背臥位になると、四肢や体幹が伸筋優位の姿勢になる。
4.× 対称性緊張性頚反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後から生後4~6ヵ月までみられる。
5.〇 正しい。非対称性緊張性頚反射が影響している。非対称性緊張性頚反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後から生後4~6ヵ月までみられる。
【下は、第50回PT 午後13問の一部抜粋】
上図:頭部の左回旋に伴い、非対称性緊張性頚反射(ATNR)の影響を受けている。背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後から、生後4~6ヵ月まで。
下図:緊張性迷路反射(TLR)の影響(引き起こした際の頭部の過伸展により、伸筋優位になっている状態)を受けている。背臥位では伸展緊張が促通され、腹臥位では屈曲緊張が促通される。胎児期後期から、5~6ヵ月まで。
痙直型四肢麻痺の特徴:筋緊張亢進・深部腱反射亢進・病的反射出現・クローヌス出現・折りたたみナイフ現象がみられる。痙直型四肢麻痺は大脳の広範囲の障害によって主動筋と拮抗筋が同時に作用し続ける。主動筋、拮抗筋の相反性抑制が起き、筋の機能不全がみられる。下肢に関しては両麻痺と同様の変形(両側股関節内転・内旋、尖足)をきたすことが多い。臨床では、緊張性迷路反射の影響を除いて上肢機能改善をはかるためには、頚部・体幹を垂直(抗重力位)かやや前傾を保持する。
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7 30歳の男性。右腱板損傷の修復術後6か月。図に示す方法で等張性筋力増強運動を行っている。
このトレーニングで対象となる筋はどれか。
1.烏口腕筋
2.棘下筋
3.小胸筋
4.前鋸筋
5.大胸筋
解答2
解説
主動作筋:三角筋(後部線維)
補助筋:三角筋(中部)
その他:棘下筋、小円筋、大菱形筋、僧帽筋(中部線維)
→すべて覚えるのは難しいので、起始・停止の走行と選択肢の雰囲気から選択する。
1.× 烏口腕筋の【起始】烏口突起、【停止】上腕骨の内側面の中部、【作用】肩関節屈曲、内転、【支配神経】筋皮神経である。
2.〇 正しい。棘下筋がこのトレーニングで対象となる。棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転、【神経】肩甲上神経である。
3.× 小胸筋の【起始】第2(3)~5肋骨表面、【停止】肩甲骨の烏口突起、【作用】肩甲骨を前下に引く。このとき下角が後内側に回旋する。肩甲骨を固定すると肋骨を引き上げる。【支配神経】内側および外側胸筋神経である。
4.× 前鋸筋の【起始】第1~8(~10)肋骨前外側面、【停止】第1,2肋骨とその間の腱弓からの筋束は肩甲骨上角。第2,3肋骨からは分散して広く肩甲骨内側縁。第4肋骨以下からは下角、【作用】全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる、【神経】長胸神経である。
5.× 大胸筋の【起始】鎖骨部:鎖骨内側1/2~2/3、胸肋部:胸骨前面と上5~7個の肋軟骨、腹部:腹直筋鞘前葉の表面、【停止】上腕骨の大結節稜、【作用】肩関節内転・内旋、鎖骨部:肩甲骨屈曲、腹部:肩関節下制である。
・遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。
・求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。
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8 32歳の男性。交通事故で4週前に右大腿骨を図のように遠位部で切断した。今後、大腿義足を作製する。
切断側の身体計測で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.測定肢位は背臥位とする。
2.断端最小前後径は大転子レベルで計測する。
3.大腿長は坐骨結節から断端末までの距離である。
4.大腿長は断端末の軟部組織を押し上げて計測する。
5.切断肢側の力源となる実質的な長さを確認するために機能的断端長を測定する。
解答3・5
解説
・32歳の男性(交通事故)。
・4週前:右大腿骨遠位部で切断。
・今後、大腿義足を作製する。
→大腿義足の作成方法をおさえておこう。
1.× 測定肢位は、「背臥位」ではなく立位とする。なぜなら、重力の影響を最小限とするため。したがって、背臥位では、重力により軟部組織が下腿後面に移動して周径が変化する。実際の体重下で行うため、安全に配慮し平行棒内など支えのあるところで測定する。
2.× 断端最小前後径は、「大転子」ではなく坐骨結節レベルで最も短い前後径部分を計測する。ちなみに、前後径は、坐骨結節から長内転筋腱までの長さを測定する。計測に誤差が最も多い点であるため、繰り返し測定し正確な値を得ることが大切である。特に、屈曲拘縮または外転拘縮が著名な例とか、坐骨結節下の皮下脂肪が多い例では測定に注意が必要である。
3.〇 正しい。大腿長は、坐骨結節から断端末までの距離である。大腿長と断端長は定義上異なる概念であるため注意しておく。「切断と義肢(著:澤村誠志様)医歯薬出版株式会社 P268」において、「断端長:会陰部より大腿末端までの長さを測定する。断端長はよく坐骨結節部より計測されたが、この場合は、股関節の屈曲角度により計測値が変わるため、会陰部より計測したほうが良い」とされている。
4.× 大腿長は断端末の軟部組織を押し上げて計測するのは、「機能的断端長」を測定するときである。
5.〇 正しい。切断肢側の力源となる実質的な長さを確認するために、機能的断端長を測定する。なぜなら、断端末の軟部組織を押し上げて計測することで、軟部組織(特に脂肪組織)の影響を最小限にできるため。軟部組織は柔らかく変形しやすいため、圧迫して測定することで、実際に義足に力が伝達される骨の実質的な長さを評価できる。
9 20歳の男性。1か月前に転倒し、疼痛は軽減したが右膝関節の不安定感があり来院した。実施した検査を図に示す。
この検査の対象はどれか。
ただし、矢印は検査者が力を加えた方向を示す。
1.前十字靭帯
2.後十字靭帯
3.内側側副靭帯
4.外側側副靭帯
5.内側半月板
解答2
解説
1.× 前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。
【主な膝前十字靭帯損傷を検査】
①Lachman test(ラックマンテスト):背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。
②軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト):前十字靱帯損傷膝では膝伸展位において外反、軸圧のストレスをかけることにより脛骨は前方にずれる。そして、屈曲とともに 20°~30°付近で脛骨は突然整復位に外旋するように、即ち、後方の正常な位置に戻る。
③Jerkテスト(ジャークテスト):片方の手で、患者の足首を持ち、もう一方の手で膝を持ち、下腿を内旋しながら伸展すると、膝でクリックを伴う亜脱臼整復感が確認できる。
2.〇 正しい。後十字靭帯は、この検査の対象である。なぜなら、後十字靭帯は、脛骨の後方への逸脱を防ぐため。後十字靭帯損傷の検査は、膝屈曲位での下腿の後方落ち込み現象(サギング)を観察する。後十字靭帯を損傷する最も多い原因は、転倒の際に地面に強く膝の前面を打ち付けたり、ラグビーのようなコンタクトスポーツで脛(すね)の前面に相手プレイヤーがぶつかったり、交通事故で脛(すね)に強い衝撃が加わるなどである。
3.× 内側側副靭帯とは、膝の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ靭帯である。外反ストレステストは、背臥位にて患側膝30°屈曲位と伸展位の両方で、検者は外反方向にゆっくりと強制する。側方動揺性や関節裂隙の開大が認められれば陽性と判断する。
4.× 外側側副靭帯とは、膝の内側からのストレス(内反ストレス)に抵抗することで、関節の外側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ。
5.× 内側半月板が損傷している場合、クリック音やロッキング、マックマレーテスト、ステインマンテストが陽性となる。
・マックマレーテスト(McMurray Test)は、半月板損傷を検査する。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
・ステインマンテスト(Steinman sign test)は、膝関節の半月板損傷を診断するための検査方法である。膝、股関節を屈曲し、検者は足関節を保持し下腿の内・外旋を行い膝関節の痛みの誘発の有無を調べる(膝の屈曲により痛みが出現する場合には痛みのない範囲で行う)。内旋時に外側に痛みの誘発があれば外側半月板の障害を推定する。外旋時に内側に痛みの誘発があれば内側半月板の障害を推測できる。内旋で内側に、外旋で外側が痛む場合は、滑膜の炎症、関節包の肥厚・変形・過緊張を疑う。
半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある板で、内側・外側にそれぞれがある。役割として衝撃吸収と安定化をはたす。損傷した場合、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりが起こる。重度の場合は、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる「ロッキング」が起こり、歩けなくなるほど痛みが生じる。
10 70歳の男性。食道癌術後に集中治療室に入室中。
積極的に離床を行ってもよいのはどの場合か。
1.RASS-3である。
2.疼痛がNRS8である。
3.心拍数120/分である。
4.平均動脈圧80mmHgである。
5.SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)scoreが前日よりも4点増加している。
解答4
解説
・70歳の男性(食道癌術後)。
・集中治療室に入室中。
→本症例に視点を向けるというより、各評価項目の状態を読み取れるようにしよう。
(※図引用:「Richmond Agitation-Sedation Scale日本語版の作成」著:卯野木 健ら)
1.× RASS〈Richmond Agitation Sedation Scale〉-3において、積極的に離床は行えない。なぜなら、-3は、中等度鎮静(呼びかけに何かしらの動きまたは開眼があるがアイコンタクトなし)となるため。JCS:2桁(Ⅱ:刺激で覚醒するが、刺激をやめると眠り込む状態)に該当する。ちなみに、RASS〈Richmond Agitation Sedation Scale:鎮静スケール〉とは、鎮静薬を使用中の患者さんの鎮静状態を評価するためのスケールである。鎮静は、気管挿管などの侵襲的な治療を受ける患者さんの苦痛を和らげたり、せん妄などで危険な行為におよぶ可能性のある患者さんを落ち着かせて快適さを確保したりする目的で行われる。0が意識清明な、落ち着いている状態である。+1が落ち着きのない:不安で絶えずそわそわしているが攻撃的でも活発でもない状態である。−1が傾眠:呼びかけると10秒以上の開眼とアイコンタクトがある状態である。+4好戦的な状態、−5昏睡状態まである。
2.× 疼痛がNRS(Numerical Rating Scale)8において、積極的に離床は行えない。なぜなら、NRS(Numerical Rating Scale)8 は「強い痛み」を示し、痛みが強いまま離床すると、さらに疼痛が増悪する可能性が高く、患者の協力も得られにくいため。まず、まず疼痛コントロールを優先し、主治医に相談すべきである。ちなみに、NRS(numerical rating scale:数字評価スケール)では、痛みの「性状」ではなく強さを評価する。0(痛みなし)~10(想像できる最大の痛み)の数字で11段階に区分し、現在の痛みの程度を示してもらう。
3.× 心拍数120/分において、積極的に離床は行えない。なぜなら、リハビリテーションの中止基準において、「1. 積極的なリハを実施しない場合」の「[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上」に該当するため。ただし、その原因を考慮する必要があり、医師の判断のもと慎重に離床を促すこともある。
4.〇 正しい。平均動脈圧(MAP)80mmHgである場合、積極的な離床を行える状態といえる。平均動脈圧とは、1つの心循環、収縮期、および拡張期全体の平均動脈圧である。一般的な計算では、脈圧の3分の1を、その量を拡張期圧に加算する(平均動脈圧 = 拡張期血圧 + /3)。正常なMAPは約90mmHgである。一般的に、平均動脈圧が65mmHg以上あれば重要臓器への血流が保たれやすく、離床に耐えられることが多い。
5.× SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)scoreが前日よりも4点増加している。において、積極的に離床は行えない。なぜなら、肺血症を起こしていると定義される水準であるため。SOFAスコアとは、多臓器不全の評価法であり、現在ではICUにおける重症度評価法として用いられている。評価項目として、6つの臓器システム(①呼吸、②凝固能、③肝臓、④循環器、⑤中枢神経、⑥腎)が用いられ、臓器障害の程度に従い、スコア化されている。感染症によりスコアの合計の2点以上の急上昇がみられた場合に、敗血症と定義される。ちなみに、敗血症とは、感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群である。
1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化
3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合