この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
31 GMFMで正しいのはどれか。
1.4領域88項目で構成される。
2.各項目の判定は0~4の5段階評価である。
3.脳性麻痺のため標準化された発達評価である。
4.健常3歳児であれば達成可能な項目で構成される。
5.次に獲得すべき能力をItem Mapにより予測・検討できる。
解答5
解説
粗大運動能力尺度とは(gross motor function measure:GMFM)は、脳性麻痺児を対象とし、粗大運動脳能力の経時的な変化および医療的な介入の効果をみるために考案された評価尺度である。
1.× 「4領域」ではなく、5領域88項目で構成される。5領域88項目の内訳は、A:臥位と寝返り(17項目)、B:座位(20項目)、C:四つ這いと膝立ち(14項目)、D:立位(13項目)、E:歩行・走行とジャンプ(24項目)に分類される。
2.× 各項目の判定は、「0~4の5段階評価」ではなく、0~3の4段階評価である。0:全くできない、1:少しだけできる、2:部分的にできる、3:完全にできる、の4段階である。また、GMFCS(粗大運動能力分類システム)では、レベルⅠ~Ⅴの5段階評価で判定する。
3.× 「標準化された発達評価」ではなく、脳性麻痺児の粗大運動及び移動能力の障害程度を分類するものである。つまり点数化された発達評価である。知的レベル・ADLなどを含めた発達評価ではない。
4.× 「健常3歳児」ではなく、健常5歳児であれば達成可能な項目で構成される。運動課題88項目の達成度を観察し判定する。
5.〇 正しい。次に獲得すべき能力をItem Mapにより予測・検討できる。Item Mapとは、粗大運動能力における課題項目と到達可能性を明確にするものである。縦軸が「スコアの点数」、横軸は「年齢」で、成長曲線が示されていて、今後の介入の参考にできるものとなっている。
教育・心理検査は「標準化」という手続きを経て作成されている。「標準化」とは、簡単に言うと、その検査が測りたいものをきちんと測れるものになっているようにするため、あらかじめ実験をしてたくさんのデータを集めて良い問題だけを残すこと、またそのデータを利用して結果を解釈する基準(尺度)まで兼ね備えることができるようにするための、一連の手続きのことをいう。
それら一連の手続きを標準化といい、標準化の手続きを経て作られた検査を標準検査という。標準化には大変な手間とコストがかかるが、こうして標準化された標準検査には、「妥当性」と「信頼性」が備わっている。この「妥当性」と「信頼性」が備わっていることが、標準検査の条件であり、また最大の特質ということができる。
(一部改変引用:図書文庫様HPより)
関連記事はこちら↓
32 大腿義足の遊脚相において、健側で爪先立ちが観察された。
原因として正しいのはどれか。
1.義足長が長すぎる。
2.ソケットの内転角度が大きすぎる。
3.切断側の股関節外転筋力が不足している。
4.切断側の股関節伸展筋力が不足している。
5.ソケットの初期屈曲角度が不足している。
解答1
解説
1.〇 正しい。義足長が長すぎると大腿義足の遊脚相において、健側で爪先立ちが観察される。義足の遊脚相で健側の伸び上がり(爪先立ち)が起こることを伸び上がり歩行という。これは義足が地面に引っかからないよう、地面との距離を稼ぐために起こるものである。また、義足側立脚相では股関節外転で接地する外転歩行がみられる。
2.× ソケットの内転角度が大きすぎると、外転歩行が生じる可能性がある。ちなみに、外転歩行の原因はほかにも、①陰部の圧痛や不快感からの回避、②股関節の外転拘縮、③義足が長すぎるなどがある。
3.× 切断側の股関節外転筋力が不足していると、立脚中期に体幹が義足側に側屈する。これは、外転筋力不足があると、ソケット外壁の支持不足により側方に不安定感が生じ、解消するために体幹を義足側に側屈して荷重している。
4.× 股関節伸展筋力が低下していると、義足を後方へ蹴り出せない。そのため、①立脚相で過度の腰椎前弯、②義足膝の不安定(立脚期での膝折れ)につながる。
5.× ソケットの初期屈曲角度の不足により起こり得る代償は、立脚相における腰椎前弯の増強である。立脚中期以降に股関節伸展が限界に達した時に、骨盤を前傾させることで股関節伸展を補うためである。
33 Trendelenburg徴候が生じやすいのはどれか。
1.変形性股関節症
2.変形性足関節症
3.変形性膝関節症
4.腰椎分離症
5.腰部脊柱管狭窄症
解答1
解説
Trendelenburg徴候(トレンデレンブルグ徴候)とは、中殿筋が麻痺や筋力低下などの機能不全が生じているときに、患側での立脚期において健側の骨盤が下がる現象である。
1.〇 正しい。変形性股関節症では、股関節の痛みなどが原因で股関節周囲筋(中殿筋含め)の筋力低下が起こり、結果、Trendelenburg徴候が生じやすい。変形性股関節症の特徴の一つである。
2.× 変形性足関節症では、足首の腫れと痛み、内反変形が出現する。足関節は重力の影響から負担がかかりやすい関節であり、病状が進行することで関節の軟骨損傷が進んで痛みが増強し、歩行もままならなくなることもある。
3.× 変形性膝関節症では、歩き始めに痛みが伴いやすい。また、変形の強い内反膝では荷重時に強く膝が外方に移動するラテラルスラスト(外側動揺)がみられる。大腿四頭筋、股関節内転筋群の筋力低下が起こりやすい。
4.× 腰椎分離症とは、椎弓と呼ばれる腰椎の後方部分が分離した状態のことを指す。歩行時に下肢痛やしびれなどの症状が出現する。また、Kemp徴候(他動的な後側屈による放散痛)がみられる。
5.× 腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が腰部で狭くなる病気である。そのため、腰から下の神経に関連する症状(しびれや疼痛、脱力など)が出現する。歩行時には腰痛があまり強くならない事が多く、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行が特徴である。
34 病巣と症状の組合せで正しいのはどれか。
1.延髄背外側:片麻痺
2.内包前脚:感覚障害
3.前頭葉:半側空間無視
4.歯状核:協調運動障害
5.視床:嚥下障害
解答4
解説
1.× 延髄背外側の障害では、ワレンベルグ症候群の症状が出現する。症状として、①小脳失調、②顔面の温痛覚脱失(障害側)、③Horner症候群:額無汗、眼瞼下垂、眼裂の狭小化、縮瞳(障害側)、④嚥下困難、嗄声、味覚障害、⑤健側の頚部以下の温痛覚脱失、⑥回転性めまい、頭痛、悪心、嘔吐である。ちなみに、片麻痺は、錐体路(大脳皮質運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄→(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前核細胞)の障害で起こりやすい。
2.× 内包前脚の障害では、前視床放線や前頭橋路が障害されるため、主に運動麻痺(片麻痺)が出現する。感覚障害は、視床の障害で起こる。
3.× 前頭葉の障害では、主に注意障害や遂行機能障害、社会的行動障害などの高次脳機能障害が出現する。半側空間無視は、右頭頂葉で起こりやすい。
4.〇 正しい。歯状核は小脳半球外側の深部にある小脳核のひとつで、その障害により協調運動障害が出現する。
5.× 視床の障害では、感覚障害が出現する。感覚系の中継点の役割を担うため、障害されると運動失調、中枢性疼痛(視床痛)などもみられる。ちなみに、嚥下障害は、延髄にある脳神経核が障害される(球性麻痺)と生じやすい。
35 ASIAの評価法について正しいのはどれか。
1.評価は座位で行う。
2.包括的な神経学的評価法である。
3.神経学的損傷高位を決定するにあたり深部腱反射を用いる。
4.感覚はNT〈not testable〉の場合を除くと3段階で評価する。
5.関節可動域に制限がある場合の運動はすべてNT〈not testable〉と記載する。
解答4
解説
ASIA(エイシア)とは、脊髄損傷から起こる運動麻痺や感覚障害などの神経学的症状を確認する検査である。
1.× 評価は、座位など決められてはいない。ただし、急性期での評価では、安静度が臥床に限られている場合もあるため、基本的には仰臥位で行うことが多い。
2.× ASIAは、「包括的」ではなく、運動麻痺と感覚障害をそれぞれ点数化し、神経学的症状を確認する検査である。包括的な評価とは、「一つの要素を見る」のではなく、あらゆる要素を見て評価することである。
3.× 神経学的損傷高位を決定するにあたり、運動障害ではMMTを行う。感覚障害では触覚・痛覚を検査する。ASIAの評価法に深部腱反射は用いない。
4.〇 正しい。感覚はNT〈not testable〉の場合を除くと3段階で評価する。脱失を0、鈍麻を1、正常を2で点数化する。ちなみに、NT〈not testable〉は、「テスト非実施」である。
5.× 関節可動域に制限がある場合においては、可動可能な運動範囲において検査を行う。ただし、関節可動域に1/2以上制限(拘縮)がある場合は、NT〈not testable〉と記載する。ちなみに、NT〈not testable〉は、「テスト非実施」である。
(※図引用:ASIA AMERICAN SPINAL INJURY ASSOCIATIONより)
類似問題です↓
【PT専門のみ】ASIAについての問題「まとめ・解説」