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6 Duchenne型筋ジストロフィーの患者が床から立ち上がる様子を図に示す。
厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類によるステージはどれか。
1. ステージ2
2. ステージ4
3. ステージ5
4. ステージ6
5. ステージ8
解答1
解説
腰帯筋、下肢近位筋の筋力低下時(大限四頭筋はMMT2以下)に認められ、臥位からの起立時に、手を膝の上について、その支えで努力しながら身体を起こす徴候をいう。立位時、腰椎前弯姿勢となる。Duchenne型筋ジストロフィーのステージ2~3まで可能である。
1.〇 正しい。ステージ2のDuchenne型筋ジストロフィーの患者が床から立ち上がる様子である。Gowers徴候(登攀性起立)は腰帯筋、下肢近位筋の筋力低下時にみられ、臥位からの起立時、手を膝の上について、その支えで努力しながら身体を起こす徴候をいう。ステージ2~3まで可能となる、ステージ2は手すりを使用し、階段昇降が可能な状態である。ステージ3は椅子からの起立が可能な状態である。
ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立ち上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立ち上がり不能
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助
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【OT専門】筋ジストロフィーについての問題「まとめ・解説」
7 42歳の女性。多発性硬化症による両側視神経炎を伴う四肢麻痺。筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。MMTは上肢近位部で段階3、遠位部で段階4。有痛性けいれんがある。
この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1. ビーズで指輪を作る。
2. 木工作業で本棚を作る。
3. 卓上編み機でマフラーを編む。
4. 小さな刻印で革に模様をつける。
5. ネット手芸でティッシュボックスを作る。
解答3
解説
・42歳の女性(多発性硬化症)
・両側視神経炎を伴う四肢麻痺。
・筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。
・MMT:上肢近位部で段階3、遠位部で段階4。
・有痛性けいれん
→本症例は、両側視神経炎を伴っているため、視力低下もしくは複視を来していると考えられる。また、歩行不能、上肢の筋力MMT3~4レベル、有痛性けいれんも生じていることから座位の作業かつ視認性や巧緻性を求めない作業療法が適切である。多発性硬化症の患者にリハビリテーションを実施する際には、疲労や心理的ストレスを避けるように注意が必要である。
1.× ビーズで指輪を作る優先度は低い。なぜなら、細かい作業や筋力の必要な作業は困難であるため。
2.× 木工作業で本棚を作る優先度は低い。なぜなら、両側視神経炎により視力低下・複視を伴い危険であるため。また、作業全体の上肢への負荷量が大きい。
3.〇 正しい。卓上編み機でマフラーを編む。卓上編み機は、視認性が低くても比較的使用が容易である。また、大きな力を必要せず、また細かい作業が少なく休みながらの作業が可能である。
4.× 小さな刻印で革に模様をつける優先度は低い。なぜなら、視力低下・複視を伴い危険であるため。また、細かい作業であり、巧緻性が必要な作業であるため。負荷が大きく本症例では筋力低下により木槌は使用できない可能性もある。
5.× ネット手芸でティッシュボックスを作る優先度は低い。なぜなら、細かい作業や筋力の必要な作業は困難であるため。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
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【OT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」
8 58歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅣ、クラス3。左手の写真を下図に示す。
使用する装具で正しいのはどれか。
1. ナックルベンダー
2. Oppenheimer型装具
3. IP関節伸展補助指装具
4. タウメル継手式手関節装具
5. PEライト製手関節軟性装具
解答5
解説
本症例は、①尺側偏位、②母指のZ変形、③中指から小指PIP関節の屈曲拘縮がみられる。
SteinbrockerステージⅣ(関節が破壊され、動かなくなってしまった状態)、クラス3(身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態)である。
→それら考慮しながらADLを維持するための装具を選択する。
1.× ナックルベンダー(MP関節屈曲装具)は、尺骨神経麻痺に適応となる。MP関節を屈曲位(背屈位)に矯正する。
2.× Oppenheimer 型装具(オッペンハイマー型装具)は、橈骨神経麻痺に適応となる。手関節背屈位、MP伸展位、母指外転位に保持する。
3.× IP関節伸展補助指装具は、ボタン穴変形の予防・矯正に用いられる。本症例では、ボタン穴変形が起こっておらず、母指IPは過伸展しており伸展補助は不要である。
4.× タウメル継手式手関節装具は適応ではない。なぜなら、本症例は、SteinbrockerのステージIV(関節が破壊され、動かなくなってしまった状態)であるため。タウメル継手は、関節可動域制限がある関節に利用される継手である。膝や肘などの関節拘縮の改善に利用される。
5.〇 正しい。PEライト製手関節軟性装具を使用する。PEライトとは、ポリエチレンフォームという比較的あたりの柔らかく変形力のある弾性樹脂である。手関節軟性装具により手関節の痛みや変形・動揺を予防する。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。
【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。
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9 30歳の女性。上腕切断標準断端。上腕義手は差し込み式ソケット、8字ハーネス、複式コントロールケーブルシステム、随意開き式能動フックで構成されている。適合判定の際、肘90°屈曲位で手先具が完全には開かなかった。
原因として考えられるのはどれか。
1. フックのゴムが弱い。
2. ケーブルハウジングが短かすぎる。
3. 残存肢の肩甲帯の筋力が低下している。
4. 前腕支持部のトリミングが不良である。
5. 切断肢の肩関節の回旋可動域に制限がある。
解答3
解説
①ケーブルシステムの不良(走行不良、またはケーブルハウジングが長すぎる場合が多い)
②ハーネスの調整不良。
③力源となる肩甲帯の問題。
1.× フックのゴムが弱い場合には問題とならない。フックのゴムの強弱は把持力を調整している。フックのゴムが強くて、力源の肩甲帯の力が弱い場合は問題となる。
2.× ケーブルハウジングが短かすぎると、肘90°屈曲位にした時点で手先具が開く。
3.〇 正しい。残存肢の肩甲帯の筋力が低下している場合、肘90°屈曲位で手先具が完全には開かない。なぜなら、肩関節屈曲・外転と肩甲骨の外転の動きで手先具を操作するため。肩甲帯の筋力低下によって手先具の開きが制限される。
4.× 前腕支持部のトリミングが不良である場合、肘継手を最大屈曲させて135°以上確保できないことが多い。
5.× 切断肢の肩関節の回旋可動域に制限がある場合でも義手の手先具開閉操作に影響しない。コントロールケーブルシステムの操作効率で異常が起こりやすい。
10 72歳の男性。Parkinson病でHoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ。60歳代前半に発症し、投薬治療で経過観察されていたが、小刻み歩行やすくみ足が出現し、1日複数回転倒するようになってきている。特に方向転換を必要とする箇所での転倒が多い。自宅の見取り図を示す。
転倒防止のための対応で誤っているのはどれか。
1. リビングでは椅子(A)を使用する。
2. トイレの扉(B)を引き戸に改修する。
3. 浴室の入り口側の壁の洗い場と浴槽の間(C)に縦手すりを設置する。
4. 浴槽内(D)に台を設置する。
5. ベッドへのアプローチのために床(E)にテープで目印をつける。
解答1
解説
0度 パーキンソニズムなし
Ⅰ度 一側性パーキンソニズム
Ⅱ度 両側性パーキンソニズム
Ⅲ度 軽~中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に一部介助不要になるが自力での生活可能。
Ⅳ度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
Ⅴ度 介助なしにはベッド又は車椅子生活
1.× リビングでは椅子(A)を使用する優先度は低い。なぜなら、Aの位置にある椅子に到達するまでに転倒してしまう可能性が高いため。したがって、トイレ側の椅子を使用するほうがよい。また、テーブルの位置と棚との間が狭いため、すくみ足が誘発されて危険と考えられる。
2.〇 正しい。トイレの扉(B)を引き戸に改修する。なぜなら、開き戸の開閉は、その場での方向転換を要し、姿勢保持反射障害がある患者にとっては転倒の原因となりやすいため。
3.〇 正しい。浴室の入り口側の壁の洗い場と浴槽の間(C)に縦手すりを設置する。なぜなら、縦手すりを設置することで、浴室内での方向転換や浴槽への出入りの際の安全性向上に寄与するため。
4.〇 正しい。浴槽内(D)に台を設置する。なぜなら、浴槽内に台を設置することで、重心移動が容易となり姿勢反射障害を伴うパーキンソン病患者も立ち上がりがしやすくなるため。
5.〇 正しい。ベッドへのアプローチのために床(E)にテープで目印をつける。パーキンソン病のすくみ足の誘発因子は狭路・障害物・精神的緊張などである。外的刺激である聴覚(リズム)や視覚(テープ)からアプローチすることで、すくみ足は改善しやすくなり安全に移動できるようになる。
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【OT専門のみ】パーキンソン病についての問題「まとめ・解説」