第55回(R2) 作業療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

 

1 Daniels らの徒手筋力テスト(段階3)を図に示す。
 検査肢位で正しいのはどれか。
 ただし、関節可動域には異常がないものとする。

解答3

解説
1.× 肩関節水平外転の検査肢位は、腹臥位で前腕を下垂(肩関節を90°外転し、肘関節を90°屈曲位)した状態で測る。設問は、肩関節外旋も伴っている。
2.× 足関節底屈は、立位で検査側の片脚立位をとる。立位で持ち上げ動作が全可動域1回行えれば段階3である。設問は、背臥位で測定している。
3.〇 正しい。肩甲骨内転と下方回旋は設問のように行う。腹臥位で頭を楽な方に向け検査側の肩関節を内旋、内転し、肘を屈曲し、手背を腰にあてる。手背を持ち上げ、全可動域挙上できれば段階3と判断する。検者は肩甲骨の内側縁の下を触診する。
4.× 手関節屈曲は、前腕回外・手関節中間位にする。手指伸展位で手指および母指の力は抜き、抵抗なしで全可動域屈曲できれば段階3と判断する。設問は、手指屈曲位で測定している。
5.× 股関節内旋は、座位で行う。下肢を最大内旋の最終肢位に保持できれば段階3と判断する。設問は、腹臥位で行っている。

 

 

 

 

 

 

2 42歳の女性。左の末梢性顔面神経麻痺と診断された。味覚の異常を訴えている。舌の異常部位を網かけにした図を示す。
 症状がみられる部位として正しいのはどれか。

1. A
2. B
3. C
4. D
5. E

解答3

解説

舌は運動神経および知覚神経

味覚:舌の前2/3「顔面神経」、後1/3「舌咽神経」、喉頭蓋を迷走神経が司っている。

知覚(痛覚):舌の前2/3「三叉神経」、後1/3「舌咽神経」が司っている。

顔面神経傷害:障害側の舌の前2/3に味覚障害が生じる。

1.× A(左後方1/3の味覚)は、舌咽神経の支配である。
2.× B(舌縁)でも味覚は、舌の前2/3「顔面神経」、後1/3「舌咽神経」が司っている。
3.〇 正しい。C(左前2/3の味覚)は、左の末梢性顔面神経麻痺で起こる。障害側と同側の障害となる。
4.× D(右半分)の味覚は、舌の前2/3「顔面神経」、後1/3「舌咽神経」が司っている。本症例は、左の末梢性顔面神経麻痺であるため、右側に障害は生じない。
5.× E(両側の前2/3)の味覚は、両側の顔面神経支配領域である。本症例は、左の末梢性顔面神経麻痺であるため、右側に障害は生じない。

 

 

 

 

 

 

3 54歳の男性。勤務中に突然の気分不快を訴え病院を受診し、脳梗塞による左片麻痺にて入院となった。妻と子供との3人暮らしで家事は妻が担っていた。職業は会社員で事務仕事を行い、会社までは電車で通勤していた。3か月が経過して、ADLは自立し、患者は復職を希望するようになった。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ、手指Ⅱ、下肢Ⅴで病院内外の杖歩行は自立している。認知機能に明らかな問題はない。
 この時点でのIADL 評価で優先すべきなのはどれか。

1. 買い物
2. 公共交通機関の利用
3. 食事の用意
4. 火の始末
5. ベッドメイキング

解答2

解説

本症例のポイント

・54歳の男性(脳梗塞、左片麻痺)
・妻と子供との3人暮らしで家事は妻が担う
・職業:会社員(事務仕事)、通勤は電車
・3か月経過:ADL自立、復職希望
・Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ、手指Ⅱ、下肢Ⅴで病院内外の杖歩行は自立している。
認知機能に明らかな問題はない
上肢Ⅲ:坐位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展
手指Ⅱ:自動的手指屈曲わずかに可能
下肢Ⅴ:立位での股伸展位、またはそれに近い肢位、免荷した状態で膝屈曲分離運動。立位、膝伸展位で、足を少し前に踏み出して足関節背屈分離運動
→本症例は、復職希望である。通勤手段は電車であった。現在、認知機能に明らかな問題はなく、病院内外の杖歩行は自立しているため、作業療法での目標も「病前の職業復帰」があげられる。

1,3~5.× 買い物/食事の用意/火の始末/ベッドメイキングの優先度は低い。なぜなら、発症前から家事は妻が担っていたため。
2.〇 正しい。公共交通機関の利用がこの時点でのIADL評価で優先すべきである。なぜなら、本症例は、設問から「3か月が経過して、ADLは自立し、患者は復職を希望」している。認知機能も明らかな問題はないことから、復職に際し、電車通勤が再開できるか否かは重要である。通勤という行為は他の人に代わってもらうわけにはいかないため、電車通勤が困難な場合は、タクシーやバスなども検討していく必要がある。

 

 

 


 

 

 

4 2人の幼児が砂場で遊ぶ様子を図に示す。
 遊びの発達段階で正しいのはどれか。

1. ごっこ遊び
2. 傍観者遊び
3. 平行遊び
4. 連合遊び
5. 協調遊び

解答3

解説

1.× ごっこ遊び(2~5歳)は、ままごと電車ごっこなど周囲の様々な生活や自然をまねることによって楽しむ遊びである。模倣遊びともいう。
2.× 傍観者遊び(2~3歳頃)は、他児の遊びに関心をもち、言葉をかけたり、じっと見ていたりするが遊びには入らない。これによって遊び方を理解し、だんだんまねて遊ぶようになる。
3.〇 正しい。平行遊び(2歳頃)である。平行遊びは、他児の近くで同じようなおもちゃで遊ぶが、他の子どもへの働きかけはない。つまり、同じ場所で他児と同じような行動をしているが、お互いには関係なくばらばらに遊ぶことである。
4.× 連合遊び(幼児期)は、他児と一緒に遊ぶが、遊びの役割がはっきりせず役割分担がなされていないが連帯感が見られる。
5.× 協調遊び(幼児期~思春期)は、野球共同制作など共通の目的のもとに組織化されたグループであり、ルールや役割分担がある。幼児期(1歳~6歳ぐらいまで)は、子ども同士の遊び(協調遊び)は困難であるが、発達に伴い、集団での遊びに変化がみられるようになる。

芸術療法とは?

芸術療法とは、幼いころ、だれもが経験したことのある「ごっこ遊び」や「なぐり描き」、「粘土遊び」、「砂遊び」といった表現活動の意味や役割を生かした心理療法である。表現活動の相違によって、絵画療法、音楽療法、心理劇、箱庭療法、舞踏療法、詩歌療法、コラージュ療法、造形療法などがあるが、芸術療法は、これらの多彩な技法の総称である。

 

 

 

 

 

 

5 69歳の男性。慢性心不全。心肺運動負荷試験の結果を受け、主治医から3METsまでの運動制限の指示があった。
 選択する活動で適切なのはどれか。

1. 屋内の掃除
2. 家具の運搬
3. ペンキ塗り
4. 階段を上がる
5. 歩行(107m/分)

解答1

解説
1.〇 正しい。屋内の掃除は、3~4METsである。
2.× 家具の運搬は、ときに6METs以上の高い強度が必要となる。
3.× ペンキ塗りは、4~5METsである。
4.× 階段を上がるのは、5~6METsである。
5.× 歩行(107 m/分:6km/時)は、5~6METsである。

(※参考:『身体活動のメッツ(METs)表』国立健康・栄養研究所様HPより)

 

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