【OT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

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【PT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」

【共通】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」

58回 午後2

2 43歳の女性。多発性硬化症。発症から3年経過。寛解と再燃とを繰り返している。四肢筋力は軽度低下し、表在感覚が軽度鈍麻している。疲労の訴えが多く、入院となった。最近徐々に視覚障害を生じてきた。
 この患者に対する作業療法で最も適切なのはどれか。

1.針で布を縫う(裁縫)
2.鋸で板を切る(木工)
3.鍬で土を耕す(畑仕事)
4.木槌で刻印を打つ(革細工)
5.杼(ひ)で横糸を通す(機織り)

解答

解説

本症例のポイント

・43歳の女性(多発性硬化症
・発症から3年経過。
・寛解と再燃とを繰り返している。
・四肢筋力:軽度低下、表在感覚:軽度鈍麻。
疲労の訴えが多く入院。
・最近:徐々に視覚障害を生じてきた。
→多発性硬化症の症状として、視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等である。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。

1~2.4.× 針で布を縫う(裁縫)/鋸で板を切る(木工)/木槌で刻印を打つ(革細工)より優先度が高いものが他にある。なぜなら、針/鋸/木槌を使用する分、危険であるため。多発性硬化症の症状として、視力障害複視小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等である。
3.× 鍬で土を耕す(畑仕事)より優先度が高いものが他にある。なぜなら、畑仕事は負荷量が大きすぎるため。本症例は、疲労の訴えが多く、入院している。多発性硬化症の症状として、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)がある。全身運動は、体温上昇を伴いやすい。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。
5.〇 正しい。杼(ひ)で横糸を通す(機織り)が、最も適切である。視覚に対する安全性・運動負荷量ともに実施可能である。またリズミカルに行うことで、小脳失調に対するアプローチにもなる。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

45回 午前10

10 42歳の女性。多発性硬化症による両側視神経炎を伴う四肢麻痺。筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。Danielsらの徒手筋力テストでは上肢近位部3+、遠位部4。有痛性けいれんがある。
 この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.木工作業で本棚を作る。
2.七宝焼きでピアスを作る。
3.ざる編みで籐カゴを作る。
4.卓上編み機でマフラーを編む。
5.小さな刻印で革に模様をつける。

解答3・4

解説

本症例のポイント

・42歳の女性(多発性硬化症)。
・両側視神経炎を伴う四肢麻痺、筋力低下。
・移動:車椅子。
・MMT:上肢近位部3+、遠位部4。
・有痛性けいれん。

1.× 木工作業で本棚を作る優先度は低い。なぜなら、視力低下・複視を伴い危険であるため。また、作業全体の上肢への負荷量が大きい。
2.× 七宝焼きでピアスを作る優先度は低い。なぜなら、細かい作業となり、視力が要求されるため。本症例では両側視神経炎を伴った四肢麻痺であり、視力が要求される細かい作業や筋力の必要な作業は困難である。
3.〇 正しい。ざる編みで籐カゴを作る。視力や筋力があまり要求されず実施できる。
4.〇 正しい。卓上編み機でマフラーを編む。卓上編み機は、視認性が低くても比較的使用が容易である。また、大きな力を必要せず、また細かい作業が少なく休みながらの作業が可能である。
5.× 小さな刻印で革に模様をつける優先度は低い。なぜなら、視力低下・複視を伴い危険であるため。また、細かい作業であり、巧緻性が必要な作業であるため。負荷が大きく本症例では筋力低下により木槌は使用できない可能性もある。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

46回 午後4

4 多発性硬化症患者の頭部MRIを下図に示す。
 矢印で示す病変部位と症状との組合せで正しいのはどれか。

1.①:左運動失調
2.②:Lhermitte徴候
3.③:右聴覚障害
4.④:視野障害
5.⑤:運動性失語

解答

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。①小脳半球(中小脳脚)の病変により、左運動失調(同側に小脳性運動失調)が出現する。小脳は、3対の脳脚により脳幹と結合している。それぞれの小脳脚は上小脳脚・中小脳脚・下小脳脚と呼ばれる。結合は上小脳脚で中脳と、中小脳脚で橋と、下小脳脚で延髄と結合している。中小脳脚は、大脳新皮質の感覚野・運動野からの下降路が橋核を介して小脳へ入力する線維が大半を占めている。
2.× ②中脳被蓋の病変により、眼球運動障害を起こすことが多い。ちなみに、Lhermitte徴候は、多発性硬化症(頸髄の病変)にみられる。Lhermitte 徴候(レルミット徴候)は、首の脊髄に病巣ができると、首を前に曲げたときに感電したような痛みや刺すような痛みが背中から両脚、片方の腕、体の片側へ走る感覚の事である。
3.× ③視放線の病変により、右1/4半盲などを起こすことが多い。ちなみに、聴覚障害は側頭葉内側の島回の病変で起こる。
4.× ④脳梁膨大部の病変により、認知機能障害・高次脳機能障害・失行などを起こすことが多い。また、純粋失読は、主に優位半球の後頭葉と脳梁膨大部や角回付近の障害でみられる。純粋失読(失書を伴わない失読とも呼ぶ)とは、自発書字や書取りがほぼ保たれているにもかかわらず、著しい失読を示すことが大きな特徴で、自筆の文章でも後では読みかえすことが困難である。視野障害は、後頭葉の病変で起こる。
5.× ⑤頭頂葉の白質の病変により、半側空間無視などが起こる。ちなみに、運動性失語は、右利きの患者の場合左前頭葉の Broca野を中心とする病変で起こる。

 

 

46回 午後34

34 片麻痺、感覚鈍麻および異常感覚で発症した多発性硬化症患者の急性増悪期から回復段階初期にかけての対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.感覚障害への再教育
2.運動麻痺に対するPNF
3.起き上がり動作時の介助
4.疼痛緩和のための温熱療法
5.筋力低下に対する漸増抵抗訓練

解答1・3

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。感覚障害への再教育を実施する。なぜなら、本症例は、設問から「片麻痺、感覚鈍麻および異常感覚」を呈しているため。知覚再教育では、過誤神経支配に対する局在の修正と物体の識別、知覚-運動学習を行う。知覚再教育を実施する際には、触覚閾値、局在能、支配密度を調べ、末梢神経の回復を予測しながら実施する。知覚再教育の効果は、より高いレベルの知覚機能を、より短時間に獲得できることである。
2.× 運動麻痺に対するPNF(固有受容性神経筋促通法)は、現時点では負荷量が強すぎる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。負荷のかかる運動は、症状の悪化を招く可能性があるので禁忌である。
3.〇 正しい。起き上がり動作時の介助を実施する。なぜなら、多発性硬化症は脱力・筋力低下を呈し、さらに起き上がり動作時に、有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)が生じる可能性も高いため。
4.× 疼痛緩和のための温熱療法は禁忌である。なぜなら、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)が特徴としてあげられるため。
5.× 筋力低下に対する漸増抵抗訓練は禁忌である。なぜなら、漸増抵抗訓練は負荷量が強く、易疲労性を考慮しにくいため。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。

 

 

 

47回 午後35

35 増悪期の多発性硬化症患者への対応で適切でないのはどれか。

1.温浴
2.体位変換
3.良肢位保持
4.視覚ガイド
5.心理カウンセリング

解答

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 温浴は、増悪期の多発性硬化症患者への対応で適切でない。なぜなら、ユートホフ現象(Uhthoff現象:体温上昇によって症状悪化)に配慮しなければならないため。温浴や運動は症状が一時的にひどく出現したり、別の場所に症状がでてしまう。
2~3.〇 正しい。体位変換/良肢位保持は、増悪期の多発性硬化症患者への対応である。なぜなら、有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)に配慮しなければならないため。また、痙縮・褥瘡予防にも寄与する。
4.〇 正しい。視覚ガイドは、増悪期の多発性硬化症患者への対応である。なぜなら、視覚障害(視神経炎)を合併することが多いため。
5.〇 正しい。心理カウンセリングは、増悪期の多発性硬化症患者への対応である。なぜなら、多発性硬化症は様々な心理的・感情的な障害が生じ、うつ病や躁鬱状態となることも多いため。

 

 

 

48回 午前11

11 38歳の女性。32歳時に四肢脱力が出現、多発性硬化症の診断を受け寛解と増悪を繰り返している。2週前に痙縮を伴った上肢の麻痺にて入院。大量ステロイドによるパルス療法を行った。
 この時点での痙縮の治療手段で正しいのはどれか。

1.超音波療法
2.赤外線療法
3.低周波療法
4.ホットパック
5.パラフィン療法

解答3

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 超音波療法は、超音波を用いた機械的振動によるエネルギーを摩擦熱に変換することによって特定の部位を温める両方の1つである。体温上昇により症状が悪化する。
2.× 赤外線療法では、赤外線が有する温熱効果を利用し、血流の増加や褥瘡治療にも用いられる。光線療法の1つであるが、温熱効果があり、体温上昇により症状が悪化する。
3.〇 痙縮の治療手段で正しい。なぜなら、低周波療法は、体温上昇しないため。低周波療法は、一定のリズムで断続する電流を人体に通電し治療効果を図る電気刺激療法の1つである。高周波では強縮となるが、低周波では単収縮となる。
4.× ホットパックは、シリカゲルを厚手の布袋に詰めたものを熱水(80~90℃)に浸した後、バスタオルでくるみ患部に当て、温熱刺激を与えるものであり、温熱療法の1つである。体温上昇により症状が悪化する。
5.× 熱伝導率の小さいパラフィンを用いて、関節を温めて血行を促し、炎症や痛み、こわばりを抑制する温熱療法の1つである。体温上昇により症状が悪化する。

 

 

49回 午前32

32 多発性硬化症について正しいのはどれか。

1.高齢者に多い。
2.脱髄が主病変である。
3.症状に日内変動がみられる。
4.初発症状として眼瞼下垂が多い。
5.脳神経系では聴覚が障害されやすい。

解答2

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 「高齢者」ではなく、若年~中年女性に多い。
2.〇 正しい。中枢神経系の白質に炎症性の脱髄性病変が多発する疾患である。
3.× 日内変動はみられない。ちなみに、日内変動がみられるのは重症筋無力症である。
4.× 急激な視力の低下が初発症状であることが多い。ちなみに、眼瞼下垂がみられるのは重症筋無力症である。
5.× 球後視神経炎、核間性眼筋麻痺(MFL症候群)のため視覚が障害されやすい。

 

重症筋無力症とは?

 重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。

(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)

 

 

 

50回 午前28

28 多発性硬化症で正しいのはどれか。

1.男性に多い。
2.再発は少ない。
3.灰白質が病変となる。
4.60歳前後の発症が多い。
5.Uhthoff徴候が認められる。

解答5

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 「男性」ではなく女性に多い。15~50歳で発症するが、20~30歳代が発症のピークである。
2.× 再発することが診断基準に含まれている。多発性硬化症は、中枢神経に時間的(多発性)・空間的(多巣性)に病変を生じる脱髄疾患である。
3.× 「灰白質」ではなく白質が主体の病変となる。なぜなら、白質は髄鞘に富むため。脱髄とは髄鞘の脱落である。
4.× 「60歳前後」ではなく20~30歳代の発症が多い。
5.〇 正しい。Uhthoff徴候(ユートホフ現象)が認められる。Uhthoff徴候(ユートホフ現象)とは、体温上昇によって症状悪化することである。したがって、温熱療法は禁忌である。

 

 

 

51回 午後24

24 多発性硬化症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 男性に多い。
2. 発症は50代に多い。
3. 脱髄病変がみられる。
4. 視力低下が出現する頻度が高い。
5. 運動負荷に制限を設ける必要はない。

解答3/4

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 「男性」ではなく女性に多い。
2.× 発症は、「50代」ではなく15~50歳に多い。その中でも20~30歳代が発症のピークである。
3.〇 正しい。脱髄病変がみられる。多発性硬化症は、中枢神経に時間的(多発性空間的(多巣性に病変を生じる脱髄疾患である。
4.〇 正しい。視力低下が出現する頻度が高い視神経炎
5.× 運動負荷に制限を設ける。なぜなら、疲労や体温上昇は症状の悪化を招くため(ユートホフ現象)。

 

 

53回 午前35

35 多発性硬化症に対する作業療法で正しいのはどれか。

1.MS fatigueに対して、Borg指数15に運動強度設定する。
2.Uhthoff徴候に対して、室温を25度以下に設定して運動を行う。
3.筋力低下に対して、漸増抵抗運動を行う。
4.視力障害を伴う協調性運動障害に対して、Frenkel体操を行う
5.有痛性強直性けいれんに対して、他動的関節可動域訓練を行う。

解答2

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× MSは、多発性硬化症のこと。fatigueは、倦怠感と訳される。多発性硬化症の倦怠感に対して、Borg指数15に運動強度設定するのは誤っている。Borg (ボルグ)指数は、自覚的な運動強度を6~20で表し、その10倍の数値がおおよその心拍数となる。15は“きつい”に分類されるため比較的負荷の大きい運動にあたる。
2.〇 正しい。Uhthoff徴候に対して、室温を25度以下に設定して運動を行う。Uhthoff徴候とは、疲労や体温上昇によって症状が一過性に悪化することである。室温を適度に保ち、体温の上昇を招くようなことを避けるように指導することが必要である。
3.× 漸増抵抗運動のような負荷のかかる運動は、過用性筋力低下により症状の悪化を招く可能性があるので禁忌である。
4.× Frenkel体操は、視覚で代償して運動制御を促通する運動療法であり、脊髄病性運動失調などに対して行われる。多発性硬化症(MS)による視覚障害は、球後視神経炎を初発症状として呈することが多いため適応されない。
5.× 自動的あるいは他動的に関節を動かす刺激が発作を誘発し、痛みやしびれを伴って四肢が強直発作を示すものを有痛性強直性けいれんという、他動的関節可動域運動はこれを誘発するため不適切である。

 

 

 

54回 午後9

9 38歳の女性。32歳時に四肢脱力が出現、多発性硬化症の診断を受け寛解と増悪を繰り返している。2週前に痙縮を伴う上肢の麻痺にて入院。大量ステロイドによるパルス療法を行った。
 この時点での痙縮の治療手段で正しいのはどれか。

1. TENS
2. 超音波療法
3. 赤外線療法
4. ホットパック
5. パラフィン療法

解答

解説

本症例のポイント

・38歳の女性(32歳:多発性硬化症)。
・寛解と増悪を繰り返している。
・2週前入院:痙縮を伴う上肢の麻痺が要因。
大量ステロイドによるパルス療法を行った。
→本症例は、多発性硬化症であるため有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。温熱療法は行わず、痙縮の治療手段を選択する。ちなみに、ステロイドパルス療法とは、ステロイドを短期間で大量に用いることにより作用を強め「劇的な効果を得る」ことを目的とした治療法である。治療全体でのステロイドの用量を減少させることができ、短期間の大量投与は副作用も少ないことが知られている。急性期治療後のステロイド内服は長期にならないよう漸減中止することが望ましい。なぜなら、ステロイドの長期内服による合併症を予防するため。

1.〇 正しい。TENS (Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:経皮的電気神経刺激療法)は、温熱を出さず慢性疼痛の緩和痙縮改善に効果がある。疼痛部位の支配神経などに電極を配置し、経皮的に低周波による電気刺激を加える方法である。
2.× 超音波療法は、温熱療法である。ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)を引き起こす可能性が高いため控える必要がある。超音波を用いた機械的振動によるエネルギーを摩擦熱に変換することによって特定の部位を温める温熱療法の一つである。
3.× 赤外線療法は、温熱療法である。ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)を引き起こす可能性が高いため控える必要がある。赤外線が有する温熱効果を利用し、血流の増加や褥瘡治療にも用いられる。
4.× ホットパックは、温熱療法である。ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)を引き起こす可能性が高いため控える必要がある。シリカゲルを厚手の布袋に詰めたものを熱水(80~90℃)に浸した後、バスタオルでくるみ患部に当て、温熱刺激を与えるものである。
5.× パラフィン療法は、温熱療法である。ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)を引き起こす可能性が高いため控える必要がある。熱伝導率の小さいバラフィンを用いて、関節を温めて血行を促し、炎症や痛み、こわばりを抑制する。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

55回 午後7

7 42歳の女性。多発性硬化症による両側視神経炎を伴う四肢麻痺。筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。MMTは上肢近位部で段階3、遠位部で段階4。有痛性けいれんがある。
 この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。

1. ビーズで指輪を作る。
2. 木工作業で本棚を作る。
3. 卓上編み機でマフラーを編む。
4. 小さな刻印で革に模様をつける。
5. ネット手芸でティッシュボックスを作る。

解答3

解説

本症例のポイント

・42歳の女性(多発性硬化症)
・両側視神経炎を伴う四肢麻痺。
・筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。
・MMT:上肢近位部で段階3、遠位部で段階4。
・有痛性けいれん
→本症例は、両側視神経炎を伴っているため、視力低下もしくは複視を来していると考えられる。また、歩行不能、上肢の筋力MMT3~4レベル、有痛性けいれんも生じていることから座位の作業かつ視認性や巧緻性を求めない作業療法が適切である。多発性硬化症の患者にリハビリテーションを実施する際には、疲労や心理的ストレスを避けるように注意が必要である。

1.× ビーズで指輪を作る優先度は低い。なぜなら、細かい作業や筋力の必要な作業は困難であるため。
2.× 木工作業で本棚を作る優先度は低い。なぜなら、両側視神経炎により視力低下・複視を伴い危険であるため。また、作業全体の上肢への負荷量が大きい。
3.〇 正しい。卓上編み機でマフラーを編む。卓上編み機は、視認性が低くても比較的使用が容易である。また、大きな力を必要せず、また細かい作業が少なく休みながらの作業が可能である。
4.× 小さな刻印で革に模様をつける優先度は低い。なぜなら、視力低下・複視を伴い危険であるため。また、細かい作業であり、巧緻性が必要な作業であるため。負荷が大きく本症例では筋力低下により木槌は使用できない可能性もある。
5.× ネット手芸でティッシュボックスを作る優先度は低い。なぜなら、細かい作業や筋力の必要な作業は困難であるため。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

56回 午後10

10 39歳の女性。多発性硬化症。発症から4年が経過。寛解と再燃を繰り返している。MMTは両側の上肢・下肢共に4。軽度の両側視神経炎を伴い、疲労の訴えが多い。
 この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。

1. 陶芸で菊練りを行う。
2. 木工作業で椅子を作る。
3. ビーズ細工でピアスを作る。
4. 卓上編み機でマフラーを編む。
5. 細かいタイルモザイクのコースターを作る。

解答4

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 陶芸で菊練りを行う優先度は低い。なぜなら、菊練りは全身の筋力を使う作業であるため。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。ちなみに、菊練りとは陶芸において上の空気を抜く作業である。
2.× 木工作業で椅子を作る優先度は低い。なぜなら、本症例は軽度の両側視神経炎を伴い、危険性が高いため。木工作業は金槌や釘などを使用する。また、作業全体の上肢への負担も大きすぎる。
3.× ビーズ細工でピアスを作る優先度は低い。なぜなら、本症例は軽度の両側視神経炎を伴うため。視力や巧緻性・筋持久力を求めない作業が望ましい。
4.〇 正しい。卓上編み機でマフラーを編む。なぜなら、視力や巧緻性・筋持久力を求めない作業であるため。また、細かい作業が少なく休みながらの作業が可能である。
5.× 細かいタイルモザイクのコースターを作る優先度は低い。なぜなら、視力や巧緻性が必要な作業であるため。

 

 

57回 午後34

34 多発性硬化症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.脱髄病変がみられる。
3.発症は70代以上に多い。
4.神経症状の進行は稀である。
5.視力低下が出現する頻度が高い。

解答2・5

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 男性ではなく「女性」に多い。ちなみに、男女比は1:2~3である。
2.〇 正しい。脱髄病変がみられる。多発性硬化症とは、中枢神経系の種々の部位に多発性の脱髄病変を起こし多彩な症状がみられる。
3.× 発症は、70代以上ではなく「15~50歳に多く、約30歳がピーク」に多い。
4.× 神経症状の進行は稀ではなく「寛解・増悪を繰り返す。長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
5.〇 正しい。視力低下が出現する頻度が高い。視覚障害(視神経炎)を合併することが多い。

 

 

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