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31 Parkinson病患者(Yahrの重症度分類ステージⅢ)のADL指導で最も適切なのはどれか。
1.屋内はスリッパを履く。
2.毛足の長いカーペットを敷く。
3.髭剃りはカミソリを利用する。
4.スロープよりも階段を利用する。
5.屋外ではロフストランド杖を利用する。
解答4
解説
ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。
1.× あえて、屋内はスリッパを履く必要はない。なぜなら、スリッパは、すり足歩行になりやすく、段差・障害物にも引っかかりやすくなるため。つまり、スリッパの使用は、転倒リスクを上げる。
2.× あえて、毛足の長いカーペットを敷く必要はない。なぜなら、カーペットの厚みや毛の長さにより足が引っかかり、転倒やつまずきのリスクを高めるため。
3.× あえて、髭剃りはカミソリを利用する必要はない。なぜなら、Parkinson病の固縮や無動により、カミソリのような鋭利な道具を使うと、怪我をするリスクが高いため。したがって、通常のカミソリより電動カミソリのほうが、安全性が高い。
4.〇 正しい。スロープよりも階段を利用する。なぜなら、矛盾性運動(逆説的運動)があげられるため。矛盾性運動(逆説的運動)とは、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができること、リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えさせたりすると、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。階段昇降は、歩行の改善、下肢筋力強化の効果も期待される。
5.× あえて、屋外ではロフストランド杖を利用する必要はない。なぜなら、ロフストランド杖は、握力低下や肘関節伸展筋力が弱い人が対象となる杖であるため。また、パーキンソン病は、すくみ足や小刻み歩行がみられ、杖歩行はうまく使えないことが多い。
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
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32 金銭管理が含まれている評価法はどれか。2つ選べ。
1.FAI
2.SF-36
3.老研式活動能力指標
4.興味・関心チェックリスト
5.介護予防事業の基本チェックリスト
解答3・5
解説
1.× FAI(Frenchay Activities Index)は、手段的ADLに該当する15項目の活動内容(①食事の用意、②食事の後片付け、③洗濯、④掃除や整頓、⑤力仕事、⑥買い物、⑦外出、⑧屋外歩行、⑨趣味、⑩交通手段の利用、⑪旅行、⑫庭仕事、⑬家や車の手入れ、⑭読書、⑮仕事)における活動性の評価方法である。FAT原法では、3~6カ月の活動頻度を面接調査により0~3点に点数化し、45点を満点とした評価を行う。
2.× SF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)は質問紙法により、対象者の健康関連QOLを包括的に評価する尺度である。8つの健康概念を測定する。【測定項目】①身体機能、②日常生活役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常生活役割機能(精神)、⑧心の健康である。下位尺度は100点満点でスコア化され、スコアが高いほどQOLが高い。
3.〇 正しい。老研式活動能力指標は、金銭管理が含まれている評価法である。老研式活動能力指標(TMIG Index of Competence)は、より高次の生活能力を評価するために開発された13項目の多次元尺度である。「手段的自立 (項目①~⑤)」、「知的能動性(項目⑥~⑨)」、「社会的役割(項目⑩~⑬)」の3つの活動能力を測定する。この尺度は、「社会的役割」の活動能力が含まれることにより、在宅老人の生活機能の評価をより正確に行うことができる。
「手段的自立」
①バスや電車を使って一人で外出できますか
②日用品の買い物ができますか
③自分で食事の用意ができますか
④請求書の支払いができますか
⑤預貯金の出し入れが自分でできますか
「知的能動性」
⑥年金などの書類が書けますか
⑦新聞を読んでいますか
⑧本や雑誌を読んでいますか
⑨健康情報についての記事や番組に関心がありますか
「社会的役割」
⑩友人の家を訪ねることがありますか
⑪家族や友達の相談にのることがありますか
⑫病人を見舞うことがありますか
⑬若い人に自分から話しかけることがありますか
(※図引用:「興味・関心チェックリスト」厚生労働省様HPより)
4.× 興味・関心チェックリストとは、個人の興味や関心の対象を把握するためのツールである。日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握するために活用する。
5.〇 正しい。介護予防事業の基本チェックリストは、金銭管理が含まれている評価法である。3「預貯金の出し入れをしていますか」というものが金銭管理に該当する。
(※図引用:「表4 基本チェックリスト 」厚生労働省HPより)
33 前腕能動義手を図に示す。
名称で正しいのはどれか。
1.ハンガー
2.クロス・バー
3.ベース・プレート
4.ハーネス
5.リテーナー
解答3
解説
1.× 「ハンガー」ではなくハーネスである。
2.× 「クロス・バー」ではなくリテーナーである。
3.〇 正しい。ベース・プレートである。
4.× 「ハーネス」ではなくケーブルハウジングである。
5.× 「リテーナー」ではなくクロス・バーである。
34 脊髄小脳変性症と比較した場合の多発性硬化症の特徴はどれか。
1.痙縮
2.運動失調
3.嚥下障害
4.構音障害
5.有痛性強直性けいれん
解答5
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1.× 痙縮は、脊髄小脳変性症・多発性硬化症、共に同程度みられる症状である。なぜなら、脊髄小脳変性症も多発性硬化症も、錐体路障害(上位運動ニューロン障害)に障害をきたすため。
2.× 運動失調は、脊髄小脳変性症に特徴的である。なぜなら、主に小脳の障害により生じているため。一方、多発性硬化症でも小脳の脱髄病変により運動失調が起こることがあるが、その頻度や典型度は脊髄小脳変性症より低い。
3~4.× 嚥下障害/構音障害は、脊髄小脳変性症・多発性硬化症、共に同程度みられる症状である。なぜなら、脊髄小脳変性症では小脳や脳幹の神経細胞が徐々に変性すること、多発性硬化症では神経線維の脱髄による伝導障害が起こるため。
5.〇 正しい。有痛性強直性けいれんは、脊髄小脳変性症と比較した場合の多発性硬化症の特徴である。有痛性強直性けいれんとは、自動的あるいは他動的に関節を動かす刺激が発作を誘発し、痛みやしびれを伴って四肢が強直発作を示すものである。
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
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35 ASIA機能障害尺度〔ASIA Impairment Scale(AIS)〕で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.握力を測定する。
2.触覚を評価する。
3.関節可動域を測定する。
4.運動は6段階で評価する。
5.第4頸髄節の運動を評価する。
解答2・4
解説
(※図引用:ASIA AMERICAN SPINAL INJURY ASSOCIATIONより)
ASIA(American Spinal Injury Association:米国脊髄損傷協会)の脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価法は、運動機能スコアと知覚機能スコアの得点結果から、①神経損傷高位、②機能障害スケール、③臨床症状分類を判断できるように構成されている。
【ASIAの機能障害尺度の運動障害】
A(完全麻痺):S4~5の知覚・運動ともに完全麻痺。
B(不全麻痺):S4~5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存。
C(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満。
D(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており、主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上。
E(正常):運動、知覚ともに正常。
1.× 握力を測定「しない」。主要な筋肉を徒手筋力テスト(MMT)で評価する。
2.〇 正しい。触覚を評価する。
3.× 関節可動域を測定「しない」。運動機能スコア(MMT)と知覚機能スコア(触覚)を評価する。
4.〇 正しい。運動は6段階で評価する。なぜなら、主要な筋肉を徒手筋力テスト(MMT)で評価するため。徒手筋力テスト(MMT:manual muscle testing)は、筋力を測定するための方法のひとつである。筋収縮のまったくみられない場合「0」、正常を「5」として6段階で評価する。
0(Zero:ゼロ):「筋収縮のまったくみられない」状態である。
1(trace:不可):「関節の運動は起こらないが、筋のわずかな収縮は起こる。筋収縮がみえる、または触知できる」状態である。
2(poor:可):「重力を除けば全可動域動かせる」状態である。
3(fair:良):「重力に打ち勝って全可動域動かせるが、抵抗があれば行えない」状態である。
4(good:優):「ある程度、徒手抵抗を加えても、全可動域動かせる」状態である。
5(normal:正常):「強い抵抗(最大抵抗)を加えても、完全に運動できる」状態である。
5.× 「第4頸髄節」ではなく第5頸髄節の運動(肘関節屈曲)を評価する。ちなみに、下肢は第2腰髄節(股関節屈曲)から評価する。
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