第60回(R7) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題56~60】

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56 母指を橈側外転させた右手を図に示す。
 矢印の腱はどれか。2つ選べ。

1.短母指外転筋
2.短母指伸筋
3.長橈側手根伸筋
4.長母指外転筋
5.長母指伸筋

解答2・4

解説

・図の右矢印(タバコ窩真ん中を走行):短母指伸筋
・図の左矢印(タバコ窩橈側側を走行):長母指外転筋

解剖学的嗅ぎタバコ窩とは?

手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱と長母指外転筋の腱が並んで走行している。ここを解剖学的嗅ぎタバコ窩という。手背の母指基部の専用のタバコ粉末を置いて匂いをかぐ楽しみの一つで使用されていた部位であることから、その名がつけられた。手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱と長母指外転筋の腱が並んで走行している。ここから舟状骨も触知できる。

1.× 短母指外転筋の【起始】舟状骨結節、屈筋支帯の橈側端前面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜、【作用】母指外転、屈曲、【神経】正中神経である。

2.〇 正しい。短母指伸筋の腱が、図の右矢印である。短母指伸筋の【起始】橈骨中部背面、前腕骨間膜の背面、【停止】母指基節骨底背外側部、一部は指背腱膜に加わる、【作用】母指の基節骨の伸展、母指の外転、【神経】橈骨神経深枝である。

3.× 長橈側手根伸筋の【起始】上腕骨外側縁、外側上顆および外側上腕筋間中隔、【停止】第2中手骨底の背面橈側、【作用】手関節の背屈、橈屈である。

4.〇 正しい。長母指外転筋の腱が、図の左矢印である。長母指外転筋の【起始】尺骨と橈骨の中部背側面、前腕骨間膜背面、【停止】第1中手骨底背面外側付近、【作用】母指外転、【支配神経】橈骨神経深枝である。

5.× 長母指伸筋の【起始】尺骨体中部背面、前腕骨間膜背面、【停止】母指の末節骨底の背側、【作用】母指の伸展、内転、【支配神経】橈骨神経深枝である。

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57 筋とその停止部の組合せで正しいのはどれか。

1.肩甲挙筋:肩甲骨の肩甲切痕
2.小円筋:上腕骨の大結節
3.上腕筋:橈骨粗面
4.半膜様筋:腓骨頭
5.前脛骨筋:第2中足骨底

解答

解説
1.× 肩甲挙筋:肩甲骨の肩甲切痕
・肩甲挙筋の【起始】第1~(3)4頸椎の横突起後結節、【停止】肩甲骨の上角と内側縁の上部、【作用】肩甲骨を内上方に引く、【支配神経】頸神経叢の枝と肩甲背神経である。
・肩甲切痕は、肩甲上神経が通過する部位である。

2.〇 正しい。小円筋:上腕骨の大結節
・小円筋の【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋、【支配神経】腋窩神経:C5,C6である。

3.× 上腕筋:橈骨粗面
・上腕筋の【起始】上腕骨の内側および外側前面の下半、内・外側の筋間中隔、肘関節包前面(広い)、【停止】鈎状突起と尺骨粗面(肘関節包)、【作用】肘関節屈曲、【支配神経】筋皮神経(外側は橈骨神経)である。
・橈骨粗面は、上腕二頭筋の停止部である。上腕二頭筋の【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)、【神経】筋皮神経である。

4.× 半膜様筋:腓骨頭
・半膜様筋の【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部である。
・腓骨頭は、大腿二頭筋の停止部、ヒラメ筋の起始部、長腓骨筋の起始部である。

5.× 前脛骨筋:第2中足骨底
・前脛骨筋の【起始】脛骨外側面、下腿骨間膜、【停止】内側楔状骨と第1中足骨の底面、【作用】足関節背屈、内返し、【支配神経】深腓骨神経(L4~S1)である。
・第2中足骨底は、後脛骨筋の停止部、長腓骨筋の停止部である。

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58 皮質脊髄路に含まれるのはどれか。

1.海馬
2.視床
3.大脳脚
4.中心後回
5.内包前脚

解答

解説

皮質脊髄路とは?

皮質脊髄路は、随意運動の伝導路である。外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)は、大脳皮質—放線冠—内包後脚中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索である。

1.× 海馬とは、記憶を司っている部位である。Papez回路(パペッツ回路)のひとつである。Papez回路とは、大脳辺縁系にある常同と記憶に関与するサークル上の連絡路である。海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬傍回→海馬・・・というサークルをたどる。

2.× 視床とは、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(体性感覚、痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳皮質に送る一大中継基地を担う。

3.〇 正しい。大脳脚は、皮質脊髄路に含まれる。外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)は、大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索である。

4.× 中心後回(ブロードマンの脳地図の3,1,2野)は、感覚野をいう。ちなみに、外側皮質脊髄路は、中心前回(ブロードマンの脳地図の4野)である。

5.× 内包「前脚」ではなく後脚である。内包前脚とは、尾状核の頭部とレンズ核の間に位置し、前頭葉と橋を接続する前頭橋線維を含む。これらの線維は、運動機能においての役割と、特に前頭葉の運動計画に関与している。

まとめ

聴覚:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回

視覚:視神経→視交叉→外側膝状体→視放線→視覚野

・外側皮質脊髄路 (錐体路・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束―延髄で錐体交叉—脊髄の側索

・前皮質脊髄路(錐体路の一部・運動)
大脳皮質—放線冠—内包後脚—中脳の大脳脚—橋縦束—延髄—交叉せずに脊髄前索を下降(10~25%程度)
重要事項①延髄で交差せずに同側に下降すること、②支配はL2まで。

・前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

・外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)
感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野

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59 内頚動脈の分枝はどれか。

1.顎動脈
2.眼動脈
3.舌動脈
4.顔面動脈
5.椎骨動脈

解答

解説

内頚動脈と外頚動脈の枝

①内頚動脈の枝
後交通動脈、前大脳動脈、眼動脈、中大脳動脈

②外頚動脈の枝
顔面動脈、後頭動脈、浅側頭動脈、後耳介動脈、舌動脈、顎動脈、上甲状腺動脈、上行咽頭動脈

1.3~4.× 顎動脈/舌動脈/顔面動脈は、外頚動脈の分枝である。

2.〇 正しい。眼動脈は、内頚動脈の分枝である。

5.× 椎骨動脈は、左右の鎖骨下動脈の分枝である。

(※画像引用:岡山第一病院様より)

 

 

 

 

 

60 門脈に流入する血管はどれか。

1.肝静脈
2.奇静脈
3.腎静脈
4.脾静脈
5.総腸骨静脈

解答

解説

門脈とは?

門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。

したがって、門脈系とは、二つの毛細血管網を連結する静脈系を指す。代表的な門脈系には肝門脈系と下垂体門脈系がある。

1.× 肝静脈は、下大静脈に直接流入する。肝静脈とは、肝臓から血液を下大静脈に流出させる血管である。肝臓には門脈と肝動脈という流入血管があり、肝静脈は肝臓の唯一の流出血管である。

2.× 奇静脈とは、脊柱の右側を走行し上大静脈に合流する静脈をいう。ほかに、脊柱の左側を走行する静脈に半奇静脈と副半奇静脈がある。これらは上大静脈と下大静脈の連絡を担い、閉塞した際には奇静脈が側副血行路として機能する。

3.× 腎静脈は、下大静脈に直接流入する。腎静脈とは、腎臓から還流する静脈で腎臓と下大静脈をつないでいる。比較的太い血管であるため、塞栓は生じにくい。

4.〇 正しい。脾静脈は、門脈に流入する血管である。脾静脈は、上腸間膜静脈と合流して門脈を形成する。

5.× 総腸骨静脈は、下大静脈に直接流入する。総腸骨静脈とは、骨盤や下肢からの血液を集め、下大静脈へ流れる血管である。

下大静脈に直接流入するのは主に下半身(横隔膜以下の部)の静脈血

具体的には・・・
①肝静脈
②腎静脈
③右精巣(卵巣)静脈
④腰静脈
⑤総腸骨静脈
※左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。

 

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