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1 Danielsらの徒手筋力テスト(段階3)の対象者の体位で正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、矢印は対象者の運動方向を示す。
1.体幹屈曲
2.肩伸展
3.肩甲骨内転と下方回旋
4.手関節伸展
5.股関節屈曲、外転、外旋と膝屈曲
解答1・3
解説
1.〇 正しい。体幹屈曲の段階3は、背臥位(両膝関節伸展位)である。ちなみに、段階5は後頭部で、段階4は胸の前で上肢を組む。段階2は背臥位で両膝関節屈曲位、両手は体側で行う。
2.× 肩伸展の段階3は、腹臥位(肩関節内旋:手掌は上向き)である。設問の図は、肩関節外旋位となっている。
3.〇 正しい。肩甲骨内転と下方回旋の段階3は、腹臥位である。肩関節内旋・内転、肘関節屈曲、手部を背の上に載せて測定する。
4.× 手関節伸展の段階3は、肘屈曲・前腕回内位で検査台に前腕を乗せて測定する。設問の図は、前腕中間位となっている。
5.× 股関節屈曲、外転、外旋と膝屈曲の段階3は、座位である。設問の図のように、背臥位で測定するのは、段階0~2である。
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【OT/共通】MMTについての問題「まとめ・解説」
2 43歳の女性。多発性硬化症。発症から3年経過。寛解と再燃とを繰り返している。四肢筋力は軽度低下し、表在感覚が軽度鈍麻している。疲労の訴えが多く、入院となった。最近徐々に視覚障害を生じてきた。
この患者に対する作業療法で最も適切なのはどれか。
1.針で布を縫う(裁縫)
2.鋸で板を切る(木工)
3.鍬で土を耕す(畑仕事)
4.木槌で刻印を打つ(革細工)
5.杼(ひ)で横糸を通す(機織り)
解答5
解説
・43歳の女性(多発性硬化症)
・発症から3年経過。
・寛解と再燃とを繰り返している。
・四肢筋力:軽度低下、表在感覚:軽度鈍麻。
・疲労の訴えが多く入院。
・最近:徐々に視覚障害を生じてきた。
→多発性硬化症の症状として、視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等である。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。
1~2.4.× 針で布を縫う(裁縫)/鋸で板を切る(木工)/木槌で刻印を打つ(革細工)より優先度が高いものが他にある。なぜなら、針/鋸/木槌を使用する分、危険であるため。多発性硬化症の症状として、視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等である。
3.× 鍬で土を耕す(畑仕事)より優先度が高いものが他にある。なぜなら、畑仕事は負荷量が大きすぎるため。本症例は、疲労の訴えが多く、入院している。多発性硬化症の症状として、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)がある。全身運動は、体温上昇を伴いやすい。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。
5.〇 正しい。杼(ひ)で横糸を通す(機織り)が、最も適切である。視覚に対する安全性・運動負荷量ともに実施可能である。またリズミカルに行うことで、小脳失調に対するアプローチにもなる。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
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【OT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」
3 80歳の男性。入院リハビリテーンョン中に胸部不快感を訴えたため心電図を施行した。入院時の心電図(A)と発作時の心電図(B)を下に示す。
考えられるのはどれか。
1.著変なし
2.徐脈
3.狭心症
4.心房細動
5.左室肥大
解答3
解説
第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
第aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
第aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
第aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。
第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。
(図:発作時Bの第Ⅱ誘導)
1.× 著変なしとはいえない。なぜなら、発作時の第Ⅱ誘導にST低下がみられるため。また、ST低下は、V4~V5誘導にて著明に観察されやすい特徴を持つ。
2.× 徐脈とはいえない。頻脈とは100回/分以上、徐脈とは50回/分以下を定義される。通常の記録(1秒=2mm)では、1mm=0.04秒に基づき、間隔を計測する。
3.〇 正しい。狭心症が考えられる。また、ST低下は、V4~V5誘導にて著明に観察されやすい特徴を持つ。
4.× 心房細動とはいえない。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
5.× 左室肥大とはいえない。左室肥大とは、左室心筋内の心筋細胞が肥大することにより、左室の壁の厚みが増加した状態のことをいう。さらに高血圧が持続することで、肥大は徐々に進行する。心電図の特徴として、①R波増高、②陰性T波やST-T波の変化がみられる。
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【OT専門のみ】心電図についての問題「まとめ・解説」
4 45歳の男性。2週前に下痢症状があった。2日前から両下肢に力が入りにくくなり、病院を受診し、Guillain-Barré症候群と診断された。意識は清明で、言語機能、認知機能に問題はなかった。四肢の腱反射は低下し、感覚障害を認め入院となった。入院後、上下肢筋力が低下し、座位や食事動作が困難となり、水を飲むときにむせるようになった。
入院5日目の時点で行わないのはどれか。
1.嚥下訓練
2.呼吸訓練
3.筋力増強訓練
4.関節可動域訓練
5.座位のポジショニング
解答3
解説
・45歳の男性(Guillain-Barré症候群)
・2週前:下痢症状
・2日前:両下肢に力が入りにくい。
・意識清明、言語機能、認知機能:問題なし。
・四肢腱反射:低下、感覚障害あり。
・入院後:上下肢筋力低下、座位や食事動作:困難
・水を飲むときにむせる。
→本症例は、Guillain-Barré症候群の急性期(症状進行中)である。この時期のリハビリテーションは、①拘縮予防、②関節可動域の維持と増大、③良肢位保持を行う。一方、筋力運動は過用性の筋力低下に注意する。
1~2.5.〇 嚥下訓練/呼吸訓練/座位のポジショニングを実施する。なぜなら、本症例は、水を飲む際にむせるようになっており、誤嚥予防・誤嚥性肺炎予防が必要であるため。呼吸訓練・体位排痰は、排痰に寄与する。Guillain-Barré症候群の症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。
3.× 筋力増強訓練は、入院5日目の時点で行わない。なぜなら、高負荷の筋力増強訓練(漸増抵抗運動など)を行うと、逆に過用性の筋力低下を起こしてしまうため。したがって、安定期に入った後に実施し、その期間でも体を動かすにしても、低負荷・高頻度の筋持久力訓練を行う。
4.〇 関節可動域訓練を実施する。なぜなら、関節拘縮の予防だけでなく、呼吸困難感の改善などにも期待できるため。
Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。
(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)
5 座位の発達段階の順序で正しいのはどれか。
1.A→C→B
2.B→A→C
3.B→C→A
4.C→A→B
5.C→B→A
解答4
解説
①支持基底面内に重心を保持する(静的)。
②支持基底面内なら重心を移動できる(動的)。
③支持基底面内から逸脱しても新たに支持基底面を形成できる(立ち直り)。
選択肢4.C→A→Bが座位の発達段階の順序である。C(支えなし座位保持)は、5~7か月で獲得できる。①支持基底面内に重心を保持する(静的)ことは難易度が最も低い。次に②支持基底面内なら重心を移動できる(動的)こと、③支持基底面内から逸脱しても新たに支持基底面を形成できる(立ち直り)がみられる。②動的はA(座位で一人で遊ぶ)ことに該当し、③立ち直りはB(座位でのリーチ動作)が獲得できたため行えることである。