【OT専門のみ】心電図についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

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【OT/共通】MMTについての問題「まとめ・解説」

【共通問題のみ】心電図についての問題「まとめ・解説」

 

45回 午後5

5 作業療法中に動悸を訴えたため、心電図のモニター監視を開始した。意識は清明。心電図を図に示す。
 対応として適切なのはどれか。

1.作業療法を継続する。
2.安静にして様子をみる。
3.心臓マッサージを行う。
4.直ちに主治医に連絡する。
5.直ちに自動体外式除細動器(AED)を使用する。

解答

解説

本症例のポイント

P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。したがって、心室性期外収縮を疑える。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。図は3連発であり、Lown分類Grade4b(3連発以上、心室頻拍VT)に相当するため、すぐに医師に連絡し適切な指示を仰ぐ必要がある。また、多源性による心室性期外収縮の連発やRonTなどを伴うものはVT(心室性頻拍)を経てVF(心室細動)に移行しやすく突然死の原因となる。緊急治療の対象となる。

1.× 作業療法を継続する優先度は低い。なぜなら、多発、連続する心室性期外収縮は、生命予後を悪化させる可能性もあるため。すぐに医師に連絡し適切な指示を仰ぐ必要がある。
2.× 安静にして様子をみるより、優先度の高いものが他にある。なぜなら、本症例は設問から「業療法中に動悸を訴え、心電図に治療を要する不整脈が認められている」状態であるため。安静するのは正しいが、「様子をみる」のではなく「すぐに医師に連絡」する。
3.× 心臓マッサージを行う優先度は低い。なぜなら、心臓マッサージ (胸骨圧迫)は、心肺停止状態に適応となるため。
4.〇 正しい。直ちに主治医に連絡する。図は3連発であり、Lown分類Grade4b(3連発以上、心室頻拍VT)に相当するため、すぐに医師に連絡し適切な指示を仰ぐ必要がある。また、多源性による心室性期外収縮の連発やRonTなどを伴うものはVT(心室性頻拍)を経てVF(心室細動)に移行しやすく突然死の原因となる。緊急治療の対象となる。
5.× 直ちに自動体外式除細動器(AED)を使用する優先度は低い。なぜなら、自動体外式除細動器(AED) は、①心室細動 (VF)、②無脈性心室頻拍(VT)に適応となるため。電気ショックを与え、洞調律と有効な心拍出を回復する(正常なリズムに戻す)心肺蘇生のための機器である。

Lownの分類(心室性期外収縮の重症度評価)

Grade0:心室性期外収縮なし
Grade1:散発性(1個/分または30個/時間未満)
Grade2:散発性(1個/分または30個/時間以上)
Grade3:多源性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)
Grad4a:2連発
Grade4b:3連発以上
Grade5:短い連結期(R on T現象)

 

 

 

46回 午前4

4 動悸を訴えた患者の心電図を示す。
 考えられるのはどれか。

1.心房細動
2.心房粗動
3.心室細動
4.心室粗動
5.心室頻拍

解答

解説

1.× 心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
2.〇 正しい。心房粗動が考えられる。心房粗動の特徴は、①規則正しいRR間隔、②幅の狭いQRS波、③P波の代わりに規則正しい心房粗動波(F波)が認められる。
3.× 心室細動は、脈のかたちが一定ではなく不規則で、心室がけいれんを起こし1分間の脈拍数が300など数えられないくらい速くなった状態である。心室頻拍は血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動になると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
4.× 心室粗動は心室細動に比べ規則正しい大きな波形が現れる心室頻拍から移行するので心室頻拍をみたら放置してはならない。
5.× 心室頻拍の特徴は、①脈拍数は上昇、②幅広いQRS波が規則正しく出現、③RR間隔は狭くなっている。脈が突然1分間に180など急激に速くなっているものの、心電図の波形が一定のものをいう。

 

 

48回 午後4

4 67歳の男性。外来でふらつきを訴えた。心電図を下図に示す。
 所見として考えられるのはどれか。

1.洞不全症候群
2.洞性徐脈
3.心房粗動
4.心室頻拍
5.完全房室ブロック

解答5

解説


1.× 洞不全症候群は、Ⅰ~Ⅲ群に分類され、洞徐脈(心拍数50/分以下)、洞停止(P波脱落)などがみられる。
2.× 洞性徐脈は、洞結節からの興奮が緩徐となっている状態であり、RR間隔が延長していく。
3.× 心房粗動は、正常P波が消失し、代わりに鋸状のF波が出現する。
4.× 心室頻拍は、心室性期外収縮が3回以上続くものであり、P波が見えない例が多く、幅広いQRS波が規則正しく連続して出現するものである。
5.〇 正しい。図は、完全房室ブロックである。PP間隔、RR間隔は等しいがPR間隔が不規則であり、P波とQRS波が連動せず無関係に出現している。

 

 

49回 午前6

6 70歳の男性。急性心筋梗塞を発症した。心電図を下図に示す。
 所見として考えられるのはどれか。2つ選べ。

1.PQ延長
2.ST上昇
3.冠性T波
4.異常Q波
5.心室期外収縮

解答2/4

解説
 心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共にST上昇→異常Q波→陰性T波が見られるようになる。この特徴的な心電図所見を記憶しておくと良い。
V₁~V₃に異常Q波、V₁からV₄に著名なST上昇が見られるため、発症後2~6時間後の前壁中隔の急性心筋梗塞であり、左前下行枝の購読が疑われる。

1.× PQ延長間隔は、一定である。
2.〇 正しい。V₁~V₄でST上昇が見られる。ST上昇は心筋梗塞の発症直後にみられる。
3.× 冠性T波は、発症後1~4週間以降にみられる。この心電図では見られない。
4.〇 正しい。異常Q波は、心筋梗塞発症後2~6時間後からみられ、通常、半永久的に残る。
5.× 心室期外収縮はみられない。心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。

 

 

 

50回 午前23

23 心電図を下図に示す。
 この患者に最も生じやすいのはどれか。

1.脳出血
2.脳血栓
3.脳塞栓
4.ラクナ梗塞
5.くも膜下出血

解答3

解説

 本症例の心電図は、①RR間隔不整、②f波の出現、③P波の消失の特徴がある。したがって、心房細動と判断できる。心房細動は、弁膜症・心筋症・虚血性心疾患・先天性心疾患・甲状腺機能亢進症などに伴って生じることが多い。そのほか、高血圧・糖尿病・加齢なども危険因子である。また、心房細動は、左房内で血栓形成をおこし、脳塞栓を合併しやすい。したがって、選択肢3.脳塞栓が正しい。脳塞栓の原因としては、心原性の脳塞栓が多い。その原因疾患としては、心房細動・弁膜症・心内膜炎・急性心筋梗塞・粘液腫などである。

 

1.× 脳出血の原因は、高血圧(60%)・脳動静脈奇形・脳動脈癌などである。
2.× 脳血栓脳血栓は、頭蓋内外の主幹動脈のアテローム硬化が原因である。
4.× ラクナ梗塞とは、細い脳動脈穿通枝の閉塞のことである。原因は、高血圧・脂質異常症・糖尿病などがある。
5.× くも膜下出血の原因は、脳動脈痛(80%)・脳動静脈奇形(10%)・もやもや病、その他外傷などがある。

 

 

51回 午後5

5 72歳の男性。心筋梗塞後の心電図を下図に示す。
 この心電図でみられるのはどれか。

1. F 波
2. 異常Q 波
3. δ 波
4. PQ 延長
5. ST 低下

解答2

解説

心筋梗塞の時間経過とともにみられる特徴

心筋梗塞の時間経過とともにみられる特徴として、①T波の増高、②ST上昇異常、③Q波、④陰性T波の順番でみられるようになる。
→本症例の心電図から、ST上昇、異常Q波、冠性T波(対称性の陰性T波)が認められ、心筋梗塞後の心電図として読み取れる。心筋梗塞とは、心筋が壊死に陥った状態である。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。

1.× F 波は、鋸歯状波(粗動波)のことである。「ぎざぎざの波形」のような形となる。心房粗動で認める。
2.〇 正しい。異常Q波が認められる。異常Q波の判断基準として、Q波の幅が0.04秒以上、またはQ波の深さがR波の高さの4分の1以上となる場合である。ちなみに、冠性T波(対称性の陰性T波)とは、左右対称の陰性T波(下向きのT波)のことである。
3.× δ 波(Δ、デルタ)波は、QRS波の起始部が緩やかに上昇し、三角形状の波が本来のQRS波の前に追加されたような形を示すものである。WPW症候群で認める副伝導路による波形である。
4.× PQ 延長は、房室ブロックで認められる波形である。PQ間隔の正常値は、0.12~0.20秒である。本症例の心電図ではPQ間隔は、0.12~0.20秒(1マス以内)に収まっているため正常である。
5.× 「ST低下」ではなくST上昇を認める。ちなみに、ST低下は狭心症に見られる。

心電図の見方

第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。

第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。

 

 

52回 午後2

2 72歳の男性。以前から心電図異常を指摘されていた。心電図(下図)を別に示す。
 正しいのはどれか。

1. 心房細動
2. 心房粗動
3. WPW 症候群
4. 洞不全症候群
5. Ⅰ度房室ブロック

解答5

解説

本症例のポイント

 本症例の心電図の特徴として、リズムは整、PR間隔は一定、P波やQRS波の数や形は不変である。ただ、PR間隔>0.2秒と延長していることが分かる。(基準値:PR間隔0.12秒、心電図は1マス0.04秒:5マス0.2秒)。

よって、選択肢5.Ⅰ度房室ブロックの所見である。房室ブロックは、心房刺激が心室に伝わりにくくなった状態で、障害の程度によって第1度から第3度までの3段階にわけることができる。

1.× 心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
2.× 心房粗動の心電図の特徴は、①規則正しいRR間隔、②幅の狭いQRS波、③P波の代わりに規則正しい心房粗動波(F波)が認められる。F波2~4つにQRS波1つの割合で現われる。除細動の適応となる。
3.× WPW症候群は、心房と心室とを直接連結する副伝導路(いわゆるKent束)の存在により心室の早期興奮が生じる病態であり、頻拍性不整脈(PSVT)の原因となる。心電図上は、PR(PQ)間隔短縮QRS延長δ波(デルタ波)を認める。逆伝導のみの例では不顕性WPW症候群もある。心臓突然死の原因の一つと考えられており重要である。合併症がない場合は無症状である。
4.× 洞不全症候群は、Ⅰ~Ⅲ群に分類され、洞徐脈(心拍数50/分以下)、洞停止(P波脱落)などがみられる。したがって、心電図の特徴は、P波の消失、P波の間隔の延長などがみられる。

 

 

 

 

54回 午後4

4 心電図を別に示す。この心電図の所見で正しいのはどれか。2つ選べ。


1. 頻脈
2. 心房粗動
3. PR間隔延長
4. 上室性期外収縮
5. 心室性期外収縮

解答4.5

解説

心電図の見方

今回設問で提示された心電図は、第Ⅰ誘導、第Ⅱ誘導、第Ⅲ誘導、aVR誘導、aVL誘導、aVF誘導である。
第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。

第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。

 図の心電図は、3つ目中間にそれぞれ異常周波が見られる。
1.× 頻脈(心拍数100回/分)ではない。心電図の背景は1mm刻みの方眼紙は、5mmごとに太い線になっている。1mmは1コマといい、1コマつまり1mmは、0.04秒である。大きなマスの1コマで0.2秒となる。したがって、大きなマスの5コマで1秒となる。図から、250mm(250コマ)で、QRS波は12回確認できる。つまり、10秒間(250÷5÷5)に12回の脈拍数である。脈拍数は70回/分程度であり、正常である。
2.× 心房粗動は、正常P波が消失し、代わりにノコギリ状のF波(心房粗動波)が現れる。RR間隔が等しくなる。そのような特徴はない。
3.× PQ間隔の正常は、0.12~0.20秒である。PR間隔延長は見られず、この心電図でも正常である。
4.〇 正しい。心電図の3つ目の異常波形である。上室性期外収縮は、洞結節の興奮よりも早期に心房から興奮が出現する不整脈である。つまり、先行するP波と本来より早いQRS波が特徴である。
5.〇 正しい。心電図の中間の異常波形である。心室性期外収縮は、洞調律の心室興奮より早期に異所性の心室興奮が起こる不整脈である。つまり、P波がなく、幅広く変形したQRS波が特徴である。

 

 

 

55回 午前7

7 心電図をモニターしながら訓練を行った際の訓練前と訓練中の心電図を下図に示す。
 変化に関する所見で正しいのはどれか。

1. 二段脈
2. 心房粗動
3. 心室頻拍
4. ST の低下
5. 上室性頻拍

解答4

解説

1.× 二段脈は、洞調律や上室性調律と心室性期外収縮が交互に出現することである。原因として、狭心症や心筋梗塞、弁膜症、心筋症などの心疾患や心不全をはじめとして、ストレスや疲労、カフェイン・アルコールの摂取、加齢など様々なものがある。ジギタリス中毒に伴う。
2.× 心房粗動の特徴は、①規則正しいRR間隔、②幅の狭いQRS波、③P波の代わりに規則正しい心房粗動波(F波)が認められる。
3.× 心室頻拍の特徴は、①脈拍数は上昇、②幅広いQRS波が規則正しく出現、③RR間隔は狭くなっている。脈が突然1分間に180など急激に速くなっているものの、心電図の波形が一定のものをいう。
4.〇 正しい。STの低下は、主に心筋虚血によってみられる。心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に「ST上昇→異常Q波→陰性T波」が見られるようになる。心筋梗塞とは、心筋が壊死に陥った状態である。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。
5.× 上室性頻拍の特徴は、①規則正しいRR間隔、②幅の狭いQRS波の連続を認める。心房や房室結節に起因する上室性不整脈である。150/分ほどの頻脈となる。

 

 

56回 午前5

5 75歳の男性。糖尿病でインスリン療法中。胸部不快感で受診した。半年前と今回の心電図を下図に示す。
 今回発症したと考えられる病態はどれか。

1. 狭心症
2. 心筋梗塞
3. 心房細動
4. 房室ブロック
5. 心室性期外収縮

解答2

解説

本症例の心電図

半年前の心電図(心房細動):①QRS波が不規則、②基線が細かく波打つようであること

今回の心電図(心筋梗塞):ST上昇、異常Q波(Q波の幅が0.04秒以上、または、Q波の深さがR波の高さの1/4であることで判断できる)がみられている。

1.× 狭心症は、ST低下がみられる。
2.〇 正しい。心筋梗塞が、今回発症したと考えられる病態である。
3.× 心房細動は、半年前の心電図でみられている。特徴として、①QRS波が等間隔にならずに、不規則に現れること、②基線が細かく波打つようであることである。
4.× 房室ブロックの基線は直線的である。また、房室ブロックは、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型に分けられる。心電図では、PQ間隔の延長、QRS波の脱落、P波は明確などがみられる。
5.× 心室性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心室で興奮が開始していることをいう。つまり、P波が認められず、幅広い変形したQRS波がみられる。

心筋梗塞とは?

心筋が壊死に陥った状態のこと。
心電図の特徴は、STの上昇である。
リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。

 

 

 

 

58回 午後3

3 80歳の男性。入院リハビリテーンョン中に胸部不快感を訴えたため心電図を施行した。入院時の心電図(A)と発作時の心電図(B)を下に示す。
 考えられるのはどれか。

1.著変なし
2.徐脈
3.狭心症
4.心房細動
5.左室肥大

解答

解説

心電図の見方

第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
第aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
第aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
第aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。

第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。

(図:発作時Bの第Ⅱ誘導)

1.× 著変なしとはいえない。なぜなら、発作時の第Ⅱ誘導にST低下がみられるため。また、ST低下は、V4~V5誘導にて著明に観察されやすい特徴を持つ。
2.× 徐脈とはいえない。頻脈とは100回/分以上、徐脈とは50回/分以下を定義される。通常の記録(1秒=2mm)では、1mm=0.04秒に基づき、間隔を計測する。
3.〇 正しい。狭心症が考えられる。また、ST低下は、V4~V5誘導にて著明に観察されやすい特徴を持つ。
4.× 心房細動とはいえない。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
5.× 左室肥大とはいえない。左室肥大とは、左室心筋内の心筋細胞が肥大することにより、左室の壁の厚みが増加した状態のことをいう。さらに高血圧が持続することで、肥大は徐々に進行する。心電図の特徴として、①R波増高、②陰性T波やST-T波の変化がみられる。

 

 

 

59回 午後8

8 80歳の男性。糖尿病で治療中。意識混濁と呂律緩慢のため救急車で搬入された。
 初診時の心電図と頭部MRI拡散強調像を下に示す。
 この疾患の再発予防に使用される最も適した薬剤はどれか。

1.硝酸薬
2.β遮断薬
3.抗凝固薬
4.ステロイド薬
5.抗てんかん薬

解答

解説

本症例のポイント

・80歳の男性(糖尿病で治療中)
・意識混濁と呂律緩慢のため搬送。
・初診時の心電図:心房細動の所見
・頭部MRI拡散強調像:左中大脳動脈領域に高信号。
→本症例は、心房細動により心原性脳塞栓症(脳梗塞)が疑われる。心房細動とは、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。心房細動を洞調律に戻す非薬物療法には、カテーテルアブレーションのほかに電気的除細動という方法もある。電気的除細動を行うのは、心房細動が起こると①血圧が急に下がって強い症状のために動けなってしまうような場合、②抗不整脈薬が有効でない場合、③肥大型心筋症・心アミロイドーシスや心不全などがあるため抗不整脈薬を使うよりも電気的除細動の方が安全と判断される場合などである。

→拡散強調像(DWI画像)は、発症後1~3時間以内の超急性期の梗塞巣を確認できるとされる。なぜなら、水分子の拡散運動(自由運動度)を画像化したものであるため。拡散が低下した領域が高信号として描出される。発症から4~5時間以内の脳梗塞に対しては、血栓溶解療法(t-PA療法)という治療が行われる。初期対応は予後に大きく関わるため迅速に対応する必要がある。

1.× 硝酸薬は、血管を拡張させる薬である。狭心症に適応となる。ちなみに、狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。
2.× β遮断薬は、気管支を収縮させる薬である。慢性心不全に適応となる。通常、慢性心不全の方は心機能が低下しているため、交感神経が活発化している。しかし、長期間このような状態が続くと、心不全はだんだんと悪化していく。β遮断薬は、この神経の働きを抑えることで、無理をしている心臓の動きを少し休める作用がある。
3.〇 正しい。抗凝固薬が再発予防に使用される。本症例は、心房細動により心原性脳塞栓症(脳梗塞)が疑われる。血栓塞栓予防薬(抗凝固薬)は、血圧の低下にも寄与し塞栓の形成を予防する。
4.× ステロイド薬は、抗炎症作用と免疫抑制作用があげられる。
5.× 抗てんかん薬は、てんかん、双極性障害に適応となる。てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こる。抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがある。

副腎皮質ステロイド薬とは?

【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。

【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)

ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。

(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)

 

 

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