第58回(R5)作業療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

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45 疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。

1.アルコール依存症:AA
2.覚醒剤依存症:コリンエステラーゼ阻害薬
3.大麻依存症:ビタミンB1(チアミン)補充
4.タバコ依存症:SMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)
5.ヘロイン依存症:ニコチン置換療法

解答

解説
1.〇 正しい。アルコール依存症の治療として、AA(Alcoholics Anonymous:アルコール依存症者匿名の会)を行う。アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。アルコール依存症の集団精神療法では、自己の飲酒問題を認め、断酒の継続を行うことが治療上極めて有効である。自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)に、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていく。断酒継続のための自助グループ(当事者グループ)としてよく知られているものに、断酒会とAA(Alcoholics Anonymous:アルコール依存症者匿名の会)がある。断酒会は日本独自のもので、参加者は実名を名乗り、家族の参加も可能である。AAはアメリカで始まり、世界各地にある。匿名で参加し、家族は原則として同席しない。
2.× コリンエステラーゼ阻害薬は、「覚醒剤依存症」ではなく、重症筋無力症に対し行うことが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害し神経末端のアセチルコリンの濃度を上昇させることで副交感神経を興奮させ、神経筋接合部の活動を促進する。また近年は認知症への薬としての研究も進んでいる。ちなみに、重症筋無力症は、アセチルコリン抗体により、神経筋接合部でアセチルコリンとアセチルコリン受容体の結合が阻害され、神経伝達障害がみられる自己免疫疾患である。
3.× ビタミンB1(チアミン)補充は、「大麻依存症」ではなく、ビタミンB1不足によっておこる中枢神経障害(ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群)や脚気(末梢神経障害や心不全)などを改善する。アルコール多飲、栄養障害などにより起こる。症状として、意識障害・眼球運動障害・混迷・記憶障害・作話を来す。
4.× SMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)は、「タバコ依存症」ではなく、薬物・アルコール依存症に対して行われる。神奈川県立精神医療センターのせりがや病院にて開発された。精神刺激薬の覚醒剤への薬物依存症を主な対象とし認知行動療法の志向をもつ外来の治療プログラムである。薬物・アルコールにおける基礎的な知識を学びつつ、断薬・断酒に向けた工夫や対処方法を考える。他の仲間と一緒に薬物およびアルコール依存症について学び、考え、振り返ることで、依存症からの回復を目指すものとなっている。
5.× ニコチン置換療法は、「ヘロイン依存症」ではなく、タバコ依存症に対して行われる。ニコチン置換療法とは、禁煙時に出現するニコチン離脱症状(タバコが吸いたい、イライラするなど)に対して喫煙以外の方法でニコチンを体内に補給し、その症状を軽くすることで無理なく禁煙につなげる方法である。治療薬にはニコチンパッチ(医療用医薬品及び一般用医薬品)とニコチンガム(一般用医薬品)がある。ちなみに、麻薬とは、一般的にモルヒネヘロインのようなケシから生成される麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイドを指す。副作用は、呼吸抑制・便秘・悪心・嘔吐・眠気などである。

 

 

 

 

 

46 亜急性期の統合失調症患者への作業療法で適切なのはどれか。

1.患者の行動範囲を速やかに拡大する。
2.身体的負荷の高い活動から開始する。
3.患者が訴える妄想はその都度訂正する。
4.回復のイメージについて心理教育を行う。
5.対人交流が必要となる活動を多く提供する。

解答

解説

亜急性期とは?

亜急性期は、急性期と消耗期の中間に位置する。したがって、亜急性期は、急性期から引きずってきた幻覚・妄想などの症状がみられることもあり、休養中心で、簡単な身辺処理から促すことが必要となる。

1.× 患者の行動範囲を「速やか」ではなく緩やかに拡大する。なぜなら、行動範囲を速やかに拡大した場合、身体的・精神的な疲弊につながり症状の悪化につながりかねないため。
2.× 身体的負荷の「高い」ではなく低い活動から開始する。亜急性期は、急性期から引きずってきた幻覚・妄想などの症状がみられることもあり、休養中心で、簡単な身辺処理から促すことが必要となる。
3.× 患者が訴える妄想はその都度訂正する必要はない。修正や否定するのではなく、その訴えを理解し、受容する姿勢が求められる。なぜなら、理解や受容が、安全な環境の提供精神の安定につながるため。
4.〇 正しい。回復のイメージについて心理教育を行う。心理教育とは、まず統合失調症の症状や原因を学ぶところから始まり、治療に対する薬物療法での薬剤の作用、副作用から日常生活における注意点を指導するといった治療に対して前向きに取り組んでいくための教育を行うものである。
5.× 対人交流が必要となる活動を多く提供する必要はない。なぜなら、身体的・精神的な疲弊につながり症状の悪化につながりかねないため。対人交流が必要となる活動は、統合失調症の維持期に実施することが多い。

”統合失調症とは?”

統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。

(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)

 

 

 

 

 

47 自傷や社会的問題行動が絶えない境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応として適切でないのはどれか。

1.適宜治療目標を確認する。
2.患者の治療への主体的参加を促す。
3.疾患に伴う問題を率直に説明する。
4.治療関係で生じる転移を利用する。
5.薬物療法も含めた統合的治療を検討する。

解答

解説

境界性パーソナリティ障害とは?

 境界性パーソナリティ障害では、感情の不安定性と自己の空虚感が目立つ。こうした空虚感や抑うつを伴う感情・情緒不安定の中で突然の自殺企図、あるいは性的逸脱、薬物乱用、過食といった情動的な行動が出現する。このような衝動的な行動や表出される言動の激しさによって、対人関係が極めて不安定である。見捨てられ不安があり、特定の人物に対して依存的な態度が目立ち、他者との適切な距離が取れないなどといった特徴がある。

【関わり方】
患者が周囲の人を巻き込まないようにするための明確な態度をとる姿勢が重要で、また患者の自傷行為の背景を知るための面接が必要である。

1.〇 正しい。適宜治療目標を確認する。なぜなら、治療目標を定期的に確認することで、治療の進捗と方向性を明確にできるため。境界性パーソナリティ障害は、よく枠組みを超えた要求をすることがあるが、それに応じてしまうと、応じきれなかったときに、感情が不安定で衝動的な行動が起こりやすい。したがって、治療の目標を明確にして、治療的枠組みをしっかりと構築する。
2.〇 正しい。患者の治療への主体的参加を促す。なぜなら、パーソナリティー障害は、見捨てられ不安があり、特定の人物に対して依存的な態度が目立ち、他者との適切な距離が取れないなどといった特徴がある。主体的な参加を促すことで、依存的な態度の脱却を促すことができる。
3.〇 正しい。疾患に伴う問題を率直に説明する。率直とは、自分の気持などを飾ったり隠したりすることなく、ありのままであることを意味する。ありのままで説明することにより、特定の治療者への依存を防ぐことができる。
4.× 治療関係で生じる転移を利用する必要はない。なぜなら、転移を利用することは、さらなる特定の人物に対して依存的な態度が助長される可能性が高いため。転移とは、患者が今までの生活史における重要人物(親、学校の先生)に示してきた感情や態度を治療者に向けることをいう。一方、逆転移とは治療者が患者に向けることである。
5.〇 正しい。薬物療法も含めた統合的治療を検討する。なぜなら、境界性パーソナリティ障害では、感情・情緒不安定の中で薬物乱用といった情動的な行動が出現することもあるため。また、境界性パーソナリティ障害の治療として、精神療法が中心であるが、衝動性や感情不安定には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、感情調整薬(リチウム、カルバマゼピン)、少量の抗精神病薬などの薬物療法が有効である。

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48 認知症患者の認知機能を高めるための介入法として最も適切なのはどれか。

1.回想法
2.ピアサポート
3.マインドフルネス
4.バリデーション療法
5.リアリティオリエンテーション

解答

解説
1.× 回想法とは、アルバムや昔の遊び道具や生活用品などを使い(昔懐かしい駄菓子を食べる、童謡などのなじみの歌を聴くなど)して、その当時のエピソードを思い出して話してもらい、人生を振り返り思い出を語ることにより、気持ちを安定させたり、感情・意欲を高揚させたりする方法である。
2.× ピアサポートとは、自助グループ活動の一つであり、同じ問題や障害を背景にもつ人が、仲間同士として支え合うこという。ピアサポートを行う人たちのことを、「ピアサポーター」という。
3.× マインドフルネス(マインドフルネスストレス低減法:瞑想)とは、意識的に現在の瞬間に、そして瞬間瞬間に展開する体験に判断を加えず注意を払うことである。今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに捕らわれのない状態で、ただ観ることである。脳をリラックスさせ、リラックス状態になることで副交感神経が優位となる。カバットジン,J.によって提唱された「注意集中」とも言い換えることができ、心の動きに惑わされることなく、刻一刻と変化する内的状態を冷静に観察することである。
4.× バリデーション療法とは、認知症の高齢者と適切なコミュニケーションをとり症状改善尊厳回復を目指す療法である。バリデーションとは、確認する、認めるという意味で、認知症患者のつくる虚構の世界を否定せずに、受容し、また、患者が好む感覚をみつけて、それを使うなどの様々な技法が含まれる。
5.〇 正しい。リアリティオリエンテーション(現実見当識訓練)は、認知症患者の認知機能を高めるための介入法である。リアリティオリエンテーション(現実見当識訓練)とは、「今がいつなのか?」「ここはどこなのか?」「周りの人が誰なのか?」がわからない見当識障害の症状があると、患者さんは強い不安を感じる。医療スタッフが日常会話の中で患者さんに正しい情報を繰り返し伝えることにより、現実見当識の維持が期待できる。これを「リアリティ・オリエンテーション法」いう。例)「〇〇さん、ちょっと外を見てください、今日はいいお天気ですね。」

認知症の患者に対する対応

認知症の患者に対する対応では、バリデーション(本人の思いを肯定し、共感的・受容的態度で安心感を与えることを基本とし、信頼関係を構築すること)という考え方を用いると良いとされている。
【バリデーションを構成する要素】
・傾聴する(相手の言葉を聞いて、反複する。)
・共感する(表情や姿勢で感情を汲み取り、声のトーンを合わせる)
・誘導しない(患者にペースを合わせる。)
・受容する(強制しない、否定しない)
・嘘をつかない、ごまかさない

 

 

 

 

49 就労継続支援A型事業で正しいのはどれか。

1.利用期間は3年である。
2.雇用契約に基づいた就労を提供する。
3.ジョブコーチの配置が義務付けられている。
4.利用開始時点の年齢制限は定められていない。
5.対象は一般就労を6か月継続している者である。

解答

解説

就労継続支援A型とは?

就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。

1.× 利用期間は、「3年」ではなく制限なしである。ちなみに、就労移行支援事業は、利用期間2年と定められている。
2.〇 正しい。雇用契約に基づいた就労を提供する。就労継続支援A型の対象者は、就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者である。
3.× ジョブコーチ(職場適応援助者)の配置が義務付けられているわけではない。職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は、障害者の職場適応に課題がある場合に、職場にジョブコーチが出向いて、障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応を図ることを目的としている。ジョブコーチの種類として、①配置型ジョブコーチ:地域障害者職業センターに配置される、②訪問型ジョブコーチ:障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用される、③企業在籍型ジョブコーチ:障害者を雇用する企業に雇用されるものに分けられる(※参考:「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について」厚生労働省HPより)。ちなみに、地域障害者職業センターの役割は、障害者に対し、①職業相談・職業評価、②職業指導(ジョブガイダンス)、③職業準備支援、④職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援、⑤リワーク支援など行っている。
4.× 利用開始時点の年齢制限は「定められていない」のではなく定められている。利用開始時点の年齢が、65歳未満の者であるものが対象となる。
5.× 対象は一般就労を6か月継続している者であるのは、「就労継続支援A型事業」ではなく就労定着支援事業である。就労定着支援とは、就労移行支援、就労継続支援などの利用を経て、通常の事業所に新たに雇用され6か月を経過したもので3年が限度である。障害者の就労や、就労に伴って生じている生活面での課題を解決し、長く働き続けられるようにサポートする。就労に伴う環境変化などの課題解決(①生活リズム、②家計や体調の管理など)に向けて、必要な連絡調整や指導・助言などの支援を実施する。

障害者総合支援法に基づく障害者の就労支援事業

①就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。

②就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。

③就労継続支援B型(非雇用型):利用制限なし
【対象者】就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
② 就労移行支援事業を利用したが、企業等又は就労継続事業(A型)の雇用に結びつかなかった者
③ ①、②に該当しない者であって、50歳に達している者、又は試行の結果、企業等の雇用、就労移行支援事業や就労継続支援事業(A型)
の利用が困難と判断された者
【サービス内容】
通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援。平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表。

(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

50 医療安全対策で適切なのはどれか。

1.患者が作業療法室内を自由に移動することを認めない。
2.自傷行為がある患者でも希望があれば切り絵をさせる。
3.易怒性のある患者の作業療法は、複数の患者とともに行う。
4.無断離院のリスクがある対象者の作業療法は、当面1対1で行う。
5.早期の改善のために、患者が過負荷になっても励まして作業療法を継続する。

解答

解説

1.× 患者が作業療法室内を自由に移動することを「認めることもある」。患者が認知面や移動面が自立している場合、自主トレーニングもかねて作業療法室内に自由に来てもらい、作業療法を行うこともある。適切な監視や介入を行うことで安全性を確保する。
2.× 切り絵の希望があっても、自傷行為がある場合は行わない。なぜなら、切り絵で使用するカッターナイフで自傷行為を助長しかねないため。自傷行為がある患者には、安全性を確保できる作業や道具を提供するべきである。
3.× 易怒性のある患者の作業療法は、「複数の患者とともに」ではなく個別に行う。なぜなら、易怒性のある患者は、他の患者への影響を及ぼしかねないため。
4.〇 正しい。無断離院のリスクがある対象者の作業療法は、当面1対1で行う。なぜなら、1対1で行うことで、無断離院のリスクを減らし、密接な監視とケアが行えるため。ちなみに、無断離院とは、入院中の患者さんが主治医の許可や外出手続きを経ずに、病院を出てしまうことである。
5.× 患者が過負荷になっても励まして作業療法を継続することは、早期の改善のためならない。なぜなら、過負荷や励ますこと自体が負担となるため。特に、うつ病患者の性格的特徴として、几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多いことがあげられる。対応として、心理的な負担となるため、激励せず、工程がはっきりし、短期間で完成でき、安全で受身的で非競争的であるものを選択する。

興奮・攻撃性への対応

【挑発的な態度・振舞いを避ける】
①凝視を避ける。ただし,完全に目をそらさずアイコンタクトは保つ
②淡々とした表情を保つ
③高慢,威圧的な印象を与えることを避けるため,姿勢や態度に注意する。特に,腰に手を当てたり,腕組みをしない
④ゆっくりと移動し,急な動作を行わない。身体の動きは最小限にし,身振り手振りが多過ぎることや,そわそわと身体を揺すったり,身体の重心を移動させるのを避ける。

【相手のパーソナルスペースを尊重し,自分自身が安全なポジションを保つ】
①患者に対応する前に,暴力発生を誘発したり,けがの原因になる,あるいは武器として使用される可能性のある所持品(ネクタイ,スカーフ,装飾品,ペン,ハサミ,バッジなど)を除去する
②いかなる時も相手に背を向けない
③通常より広いパーソナルスペース(最低でも腕の長さ2本分以上)を保つ
④対象の真正面に立つのを避け,およそ斜め 45°の立ち位置とする
⑤両手は身体の前面に出し,手掌を相手に向けるか,下腹部の前で軽く組むなど,相手に攻撃の意思がないことを示し,万一の攻撃・暴力発生に備える
⑥出入口を確認し,自分と対象の双方の退路を保つ位置に立つ。出入口やドアの前に立ちふさがらない
⑦壁やコーナーに追い詰められないようにする
⑧警告なしに相手に触れたり,接近しない
(引用:「興奮・攻撃性への対応」日本精神科救急学会様HPより)

 

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