第57回(R4) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題56~60】

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56 心臓について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.右房室弁は三尖弁である。
2.冠静脈洞は左心房に開口する。
3.大動脈弁には腱索が付着する。
4.Valsalva洞は肺動脈の起始部に位置する。
5.左冠動脈は心室中隔前方2/3に血液を送る。

解答1・5

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.〇 正しい。右房室弁は三尖弁である。ちなみに、3尖は三尖弁(右房室弁)・大動脈弁・肺動脈弁である。
2.× 冠静脈洞は、「左心房」ではなく「右心房」に開口する。冠状静脈洞は心臓壁にある静脈の主幹で、心臓の後面にある冠状溝中に存在し、回旋枝と伴走する。
3.× 腱索が付着するのは、「大動脈弁」ではなく、「房室弁(僧帽弁と三尖弁)」である。乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。
4.× Valsalva洞は、「肺動脈の起始部」ではなく「大動脈の起始部」に位置する。大動脈弁の直上にある大動脈の底の場所である。そこの壁が薄くなり、次第に瘤のように膨れてくるのをValsalva洞動脈瘤という。
5.〇 正しい。左冠状動脈(左前下行枝)は、心室中隔前方2/3に血液を送る。

冠動脈の主な支配領域

右冠状動脈(後下行枝):洞房結節、房室結節、右心室、心臓の後壁および下壁に。
左冠状動脈(左前下行枝・左回旋枝):左心房・右心室の前壁・左心室の前壁と後壁・心室中隔の大部分に。

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【共通のみ】冠状動脈(心臓の構造)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

57 胃の解剖について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.胃体部に胃底腺がある。
2.食道と胃の境に噴門が位置する。
3.角切痕から近位部が幽門前庭である。
4.胃酸を分泌する腺は胃底部に多くみられる。
5.大弯は肝胃間膜によって肝臓と結合している。

解答1・2

解説

(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)

1.〇 正しい。胃体部に胃底腺がある。胃底腺の分布する領域は、胃底部から胃体部であり、胃全体の2/3を占めている。胃底腺は胃粘膜を構成する外分泌腺の一種であり、胃酸、ペプシノーゲン、粘液を産生する3種類の細胞からなる複合管状腺である。
2.〇 正しい。食道と胃の境に噴門が位置する。ちなみに、幽門は十二指腸に連なる。また、噴門は第11胸椎や第7肋骨の位置に、第一腰椎の高さにあるのは幽門である。
3.× 角切痕から近位部は、幽門前庭ではなく「噴門」がある。遠位から順に幽門、幽門前庭、前庭部、胃角部となる。角切痕は幽門前庭部、胃角部の間に位置しており、近位部は胃角部となる。
4.× 胃酸を分泌する腺は、胃底部ではなく「胃体部」に多くみられる。胃酸は胃の近位3分の2(胃体部)に存在する壁細胞から分泌される。ちなみに、胃酸分泌に至る前として、食物によって引き起こされ、食物が胃の遠位3分の1(前庭部)に存在するガストリン分泌G細胞に対する迷走神経刺激に影響を及ぼす。
5.× 肝胃間膜によって肝臓と結合しているのは、大弯ではなく「小弯」である。ちなみに、大弯は、大網を介して横行結腸と結合する。間膜を2種類有するのは胃のみである。また、肝胃間膜と肝十二指腸間膜は、ともに肝臓の下面から胃(小弯)と十二指腸表面に連続する間膜である。

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58 副腎髄質から分泌されるホルモンはどれか。

1.レニン
2.アンドロゲン
3.コルチゾール
4.アルドステロン
5.ノルアドレナリン

解答

解説

副腎髄質から分泌されるホルモン

①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。

1.× レニンは、腎臓から分泌される。腎血流量の減少により作動し、血圧上昇させる働きがある。ちなみに、他にもエリスロポエチンや活性型ビタミンDが分泌される。
2~4.× アンドロゲン(男性ホルモン)/コルチゾール/アルドステロンは、副腎皮質から分泌される。
5.〇 正しい。ノルアドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンである。①アドレナリン、②ノルアドレナリン、③ドーパミンがあり、これらを総称してカテコールアミンという。

 

 

 

 

 

59 光が角膜から網膜に達する経路で正しいのはどれか。

1.硝子体:前眼房:瞳孔:水晶体
2.水晶体:瞳孔:前眼房:硝子体
3.前眼房:瞳孔:硝子体:水晶体
4.前眼房:瞳孔:水晶体:硝子体
5.瞳孔:前眼房:水晶体:硝子体

解答

解説

(※看護roo!様HP~看護師イラスト集~より)

光が角膜から網膜に達する経路は、「前眼房→瞳孔→水晶体→硝子体」である。ちなみに、水晶体のために中央部が少し前方に突出している。 これより前方のスペースを前眼房、後方のスペース(水晶体より前)を後眼房と呼ぶ。 瞳孔とは、眼の中心にある黒目の部分である。水晶体は、眼の中でレンズの役割を担う器官である。硝子体は、眼球の内圧を維持し、網膜の安定性維持の働きを持つ。

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60 右手背部の写真を下に示す。
 矢印が示す腱はどれか。

1.短母指伸筋腱
2.長母指伸筋腱
3.母指内転筋腱
4.短母指外転筋腱
5.長母指外転筋腱

解答

解説

(※画像引用:The Bone Identity ~整形外科医のブログ~様HPより)

 

1.× 短母指伸筋腱ではない。ちなみに、短母指伸筋の【起始】橈骨中部背面、前腕骨間膜の背面、【停止】母指基節骨底背外側部、一部は指背腱膜に加わる。
2.〇 正しい。長母指伸筋腱は、矢印が示す腱である。ちなみに、長母指伸筋の【起始】尺骨体中部背面、前腕骨間膜背面、【停止】母指の末節骨底の背側である。
3.× 母指内転筋腱ではない。ちなみに、母指内転筋の【起始】横頭:第3中手骨掌面の全長
斜頭:有頭骨を中心とした手根骨、第2~3中手骨底の掌側面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜である。
4.× 短母指外転筋腱ではない。ちなみに、短母指外転筋の【起始】舟状骨結節、屈筋支帯の橈側端前面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜である。
5.× 長母指外転筋腱ではない。ちなみに、長母指外転筋の【起始】尺骨と橈骨の中部背側面、前腕骨間膜背面、【停止】第1中手骨底背面外側付近である。

解剖学的嗅ぎタバコ入れとは?

 手背の母指基部の専用のタバコ粉末を置いて匂いをかぐ楽しみの一つで使用されていた部位であることから、その名がつけられた。手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱と長母指外転筋の腱が並んで走行している。

 

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