第56回(R3) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題96~100】

 

96 男性に多いのはどれか。2つ選べ。

1.依存性パーソナリティ障害
2.演技性パーソナリティ障害
3.境界性パーソナリティ障害
4.強迫性パーソナリティ障害
5.反社会性パーソナリティ障害

解答4・5

解説
1.× 依存性パーソナリティ障害は女性に多い。患者は自分1人では何もできないという不安から他者に依存する傾向があり、過度に服従的である。
2.× 演技性パーソナリティ障害は女性に多い。患者は常に注目されていたいと願い、そうでない場合に抑うつ症状をきたす場合がある。感情表現が激しく話が誇張されていたり、関係性の割に馴れ馴れしい態度を取ったりする。
3.× 境界性パーソナリティ障害は女性に多い。患者は見捨てられ不安が強く、感情のコントロールが苦手である。しばしば衝動的な自傷行為や破壊行動に走ったりすることがあり、自殺率は一般人の40倍高いと言われている。
4.〇 正しい。強迫性パーソナリティ障害は男性に多い。患者は完全主義で柔軟性が欠如しており、あらゆるものごとが決められた方法で行われるべきだ、との考えに支配されたりする。その結果、余暇時間が無くなったり人間関係を破綻させたりすることもある。
5.〇 正しい。反社会性パーソナリティ障害は男性に多く、強い遺伝要素がある。患者は社会的、金銭的に無責任であり違法行為を犯しても罪悪感がない場合が多い。望みを叶えるためには手段を選ばず他者の権利にも無関心である一方で、最初はとても流暢に感じ良く話をすることから初対面の相手には魅力的にうつる傾向がある。

パーソナリティ障害

女性に多い:依存的なものや情緒が不安定で人を巻き込むもの(例:依存性・演技性・境界性)

男性に多い:頑固なものや反社会性を帯びたもの(例:強迫性・反社会性)

 

 

 

 

 

 

97 てんかん患者が複雑部分発作を起こして部屋を歩き回った際の対応として正しいのはどれか。

1.体をゆする。
2.大声をかける。
3.一緒に移動する。
4.割り箸を噛ませる。
5.室内に一人きりにする。

解答

解説

複雑部分発作の発作中

自動症:発作中は意識が消失し、口をもぐもぐさせたり、徘徊したり、その場に適応しない異常行動を生ずる。

発作中の行動は危険なもの以外は無理に抑制せず、周囲に危険物があれば取り除き、意識が回復するまで一定の距離を保って見守るのが良い。

1.× 発作中は、体をゆすったり押さえつけたりしても効果ない。むしろ、患者に怪我を与えてしまうことがあるため行わないほうが良い。
2.× 発作中は、大声をかけたり名前を呼んだりしても効果ない
3.〇 正しい。一緒に移動して、周囲の危険物に注意して体を打撲しないようにする。発作後、患者自身が発作前にいた場所と違うところにいることで発作を自覚する(健忘を伴う)ため、一緒に移動し発作後に必要に応じて声をかける。
4.× 発作中に口の中に物を入れてはいけない。割り箸などの硬い物を噛ませると口の中を傷つけたり歯が折れたり、嘔吐を誘発するため危険である。嘔吐後の誤嚥性肺炎となったケースもある。
5.× 室内に一人きりにするのは危険であるため、本人の安全に注意して見守る

 

 

 

 

 

 

98 疾患と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.Alzheimer型認知症:パーキンソニズム
2.血管性認知症:情動失禁
3.進行性核上性麻痺:他人の手徴候
4.大脳皮質基底核変性症:幻視
5.Lewy小体型認知症:アテトーゼ

解答

解説
1.× 「パーキンソニズム」は、Alzheimer型認知症ではなく、Lewy小体型認知症進行性核上性麻痺、多系統萎縮症の症状である。ちなみに、Alzheimer型認知症の主な症状として、妄想・作話・徘徊がみられる。
2.〇 正しい。血管性認知症は、「情動失禁」が生じる。前頭葉の機能が低下することで起こる。血管性認知症は、脳細胞の死滅によって起こる認知症であり、その部位や範囲によって症状は様々である。他の症状として、巣症状(失語、失行、失認など脳の局所性病変によって起こる機能障害)や階段状に認知障害が進行することが特徴である。
3.× 「他人の手徴候」は、進行性核上性麻痺ではなく、大脳皮質基底核変性症脳梗塞などでみられる。責任病変は、脳梁前部と右前頭葉内側部である。ちなみに、他人の手徴候とは、左手が本人の意思とは関係なく他人の手のように勝手に動く現象である。また、進行性核上性麻痺の特徴として、垂直性核上性注視麻痺・転倒・頸部後屈・パーキンソニズムが特徴である。
4.× 「幻視」は、大脳皮質基底核変性症ではなく、Lewy小体型認知症の症状である。ちなみに、大脳皮質基底核変性症は,大脳皮質と基底核が萎縮・変性し、他人の手徴候、肢節運動失行、パーキンソニズム、錐体外路症状、失行、認知症など多彩な症状を呈する。
5.× 「アテトーゼ」は、ゆっくりと体をねじるような動きが特徴的であり、脳性麻痺や錐体外路系の障害、代謝異常によって起こる不随意運動である。ちなみに、Lewy小体型認知症の特徴的な症状には、幻視、パーキンソニズム、睡眠障害、起立性低血圧がある。

Lewy小体型認知症とは?

Lewy小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動異自律神経障害などが特徴である。

 

 

 

 

 

 

99 アルコール依存症患者の断酒継続に有効とされるのはどれか。

1.催眠療法
2.集団療法
3.自律訓練法
4.来談者中心療法
5.修正型電気けいれん療法

解答

解説

アルコール依存症の治療

 アルコール依存症の集団精神療法では、自己の飲酒問題を認め、断酒の継続を行うことが治療上極めて有効である。自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)に、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていく。断酒継続のための自助グループ(当事者グループ)としてよく知られているものに、断酒会とAA(Alcoholics Anonymous:アルコール依存症者匿名の会)がある。断酒会は日本独自のもので、参加者は実名を名乗り、家族の参加も可能である。AAはアメリカで始まり、世界各地にある。匿名で参加し、家族は原則として同席しない。

1.× 催眠療法は、潜在意識にアプローチしやすいように催眠状態に入った状態で自分の内面と向き合いながら問題解決を目指す手法である。自己催眠も含まれ、例として自律訓練法がある。解離性障害の治療に用いられる。
2.〇 正しい。集団療法は、飲酒問題の認識、断酒の継続に極めて有効である。自助グループ(自助グループ・セルフヘルプグループ)による集団療法が行われている。集団療法とは、参加者同士の相互作用を利用し、各自の問題点を明らかにして治療を促進する方法である。
3.× 自律訓練法は、自己催眠法の手続きの一つで、自分に暗示をかけてリラックスを促し、心身を整える方法である。シェルツにより創始された自己催眠法の一種で、成人の心身症不安神経症強迫性障害に適応となる。
4.× 来談者中心療法とは、治療者が来談者(クライアント)を権威で従属させることなく、来談者自らが洞察を得られるように導くよう話を聞く手法である。ロジャーズによって考案された。適応は、神経症性障害である。
5.× 修正型電気けいれん療法(mECT)は、頭部に通電することで難治性の精神疾患の症状軽減を目指すものである。統合失調症(緊張病症候群)うつ病(昏迷や強い自殺念慮がある場合)による精神症状への適応がある。重症の場合や、薬物療法で十分な効果が得られない場合などに特に適用となることが多い。

 

 

 

 

 

 

100 うつ病について正しいのはどれか。

1.脱感作法を行う。
2.心理教育は行わない。
3.繰病相がないか確認する。
4.修正型電気けいれん療法は無効である。
5.薬物療法の第一選択はベンゾジアゼピン系薬物である。

解答

解説
1.× 脱感作法は、行動療法の一種で、恐怖症不安障害摂食障害の治療に用いられる。ジョセフ・ウォルピにより創始された古典的条件付けに基づく行動療法である。系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。ちなみに、うつ病へは認知行動療法を実施することが多い。
2.× 心理教育を行うこともある。心理教育を用い、自分の思考パターンや落ち込みやすい考え方をポジティブなものへと修正することで、気分を安定させる方法を学習していく。また、家族を含め病気への理解や服薬管理、自殺防止の指導、心理教育などを実施していく。
3.〇 正しい。繰病相がないか確認する。繰病相がある場合には「双極性障害」と呼ばれる。なぜなら、両者は薬物療法が異なるため。ちなみに、うつ状態で受診した患者が、治療中に躁状態となることがある。これを「躁転」という。
4.× うつ病は、修正型電気けいれん療法が無効ではなく、適応である。修正型電気けいれん療法(mECT)は、頭部に通電することで難治性の精神疾患の症状軽減を目指すものである。特に①不安・焦燥が大きい場合や②自殺企図の危険性の高い場合、③強い抑止を伴う場合などは、急速な症状の改善を期待して行われることが多い。抗うつ薬は、即効性がなく、効果の発現には1~3週間を要す。
5.× 薬物療法の第一選択は、抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:SSRI、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:SNRI)である。ちなみに、ベンゾジアゼピン系薬物は、睡眠薬抗不安薬に分類される。

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