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21 臨床研究を実施する上で適切でないのはどれか。
1.研究対象はポスターを用いて募集した。
2.研究の内容について対象者に書面を見せながら口頭で説明した。
3.データ処理を匿名化で行った。
4.得られたデータはパソコンの共有フォルダで保管した。
5.対象者からの研究の同意への撤回請求に応じた。
解答4
解説
臨床試験で高いエビデンスを得るためには様々なバイアス(偏り)を排除しなければならない。そのため患者を無作為に抽出し、治療対照群と比較群で検討する無作為化(ランダム)比較試験の結果からは非常に有効なデータを得ることができる。半面、大規模になり時間がかかるため膨大な費用を要し容易には思考できないことがデメリットとしてあげられる。
1.〇 正しい。研究対象はポスターを用いて募集することは、研究対象者を無作為に抽出することにつながりバイアスを排除できる。
2.〇 正しい。研究の内容について対象者に書面を見せながら口頭で説明することにより、より正確に伝えられバイアスを排除できる。面接調査等で質問者が対象者に情報を聞き取る際に、正確に情報を得られないことによって生じるバイアスのことを「調査者バイアス」という。
3.〇 正しい。守秘義務の観点から、データ処理を匿名化で行うことは正しい。
4.× 適切でない。得られたデータはパソコンの共有フォルダで保管した場合、漏洩の危険性が高くなる。共有フォルダとは、同じネットワークに繋がっている複数台のパソコンで使える共通のフォルダのことである。つまり、共有フォルダを作る事で、同じWi-fiに繋がっている複数のパソコンでデータの受け渡しが簡単に行えるメリットがある。研究者以外にも閲覧できる可能性が高い。
5.〇 正しい。大規模な調査になるほど、費用や時間がかかる。そのため、対象者への負担も避けられない。そういった時にも対象者からの研究の同意への撤回請求・拒否などに速やかに応じられるよう準備が必要である。
22 ICFの評価点とその内容の組合せで正しいのはどれか。
1.活動と参加の能力の評価点:促進あるいは阻害する程度
2.環境因子の第一評価点:個人の遂行能力
3.身体構造の第一評価点:機能障害の程度や大きさ
4.身体構造の第二評価点:各身体部位における変化の性質
5.心身機能の第一評価点:構造障害の程度や大きさ
解答4
解説
1.× 活動と参加の能力の評価点は、実行状況と能力(個人の遂行能力)である。促進あるいは阻害する程度は、環境因子の第1評価点である。
2.× 環境因子の第一評価点は、促進あるいは阻害する程度である。個人の遂行能力は、活動と参加の能力の評価点である。
3.× 身体構造の第一評価点は、「機能障害の程度や大きさ」ではなく、構造障害の程度や大きさである。機能障害の程度や大きさは、心身機能の第1評価点である。
4.〇 正しい。身体構造の第二評価点は、各身体部位における変化の性質である。
5.× 心身機能の第一評価点は、「構造障害の程度や大きさ」ではなく、機能障害の程度、大きさである。構造障害の程度や大きさは、身体構造の第一評価点である。
(図引用:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」厚生労働省様HPより)
23 インシデントレポート収集の目的で正しいのはどれか。
1. 責任者を処罰する。
2. 監督官庁に報告する。
3. 医療事故発生防止策を検討する。
4. 施設管理者が解決策を検討する。
5. 当事者間でインシデントの原因を検討する。
解答3
解説
インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。インシデントレポートとは、いわゆるインシデントについて報告するレポートのことである。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。インシデントレポート収集の目的は、インシデントの発生を報告することによって再発防止に役立てるためである。よって、選択肢3. 〇 正しい。医療事故発生防止策を検討する。が正しい。
1. × 責任者を処罰する必要はない。
2. × 監督官庁に報告する必要はない。
4. × 「施設管理者」ではなく、医療事故防止対策委員会が解決策を検討する。
5. × 「当事者間」ではなく、医療事故防止対策委員会がインシデントの原因を検討する。
インシデントレポートとは、医療現場で事故に繋がりかねないような、ヒヤリとしたり、はっとした出来事に関する報告書のことをいう。作成の目的は、事例を分析して類似するインシデントの再発や医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することである。インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。
【目的】
①事実の確認
②原因の究明
③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する。
④将来の医療事故(アクシデント)の予防、再発の防止。
24 肺音で正しいのはどれか。
1.気管呼吸音は吸気より呼気の方が大きい。
2.気管支呼吸音は吸気のみに聴取される。
3.笛音(wheezes) は吸気初期に聴取されやすい。
4.捻髪音(fine crackles)は呼気に聴取されやすい。
5.肺胞呼吸音は呼気終末に強くなる。
解答1
解説
肺音は、呼吸に伴う気道中の空気の流れに生じる生理的な音である呼吸音と、正常な状態では通常聴取されない呼吸音以外の肺音である副雑音に分けられる。
1.〇 正しい。気管呼吸音は、吸気より呼気の方が長く・大きい。
2.× 気管支呼吸音は「吸気のみ」ではなく、吸気時・呼気時の持続時間が等しく高調な音が聴取される。肺胞呼吸音より高調で、呼気時にも明瞭に聴かれる。
3.× 笛音(wheezes:高音性) は、「吸気初期」ではなく呼気相に「ヒューヒュー」という音が聴取される。副雑音の連続性ラ音(気道狭窄による)に分類される。
4.× 捻髪音(fine crackles:細かい)は、「呼気」ではなく吸気相終期に「パリパリ」「パチパチ」という高調で短い音が聴取される。副雑音の断続性ラ音に分類される。
5.× 肺胞呼吸音は、「呼気終末」ではなく吸気の初めによく聴かれる。低調で柔らかい音である。
25 健常成人の血圧に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
1.背臥位では立位に比べて脈圧が小さい。
2.足関節上腕血圧比の基準値は1.5~2.0である。
3.上腕部では足部と比べて収縮期血圧が低くなる。
4.座位での測定はマンシェットを心臓の高さに合わせる。
5.Korotkoff 音が聞こえなくなった時点での圧を収縮期血圧とする。
解答3,4
解説
1.× 背臥位は立位に比べて脈圧が、「小さい」のではなく大きい。脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差である。血圧は重力の影響を受けるため体位に影響され、臥位が最も高く立位で低くなる。
2.× 足関節上腕血圧比の基準値は、「1.5~2.0」ではなく1.0~1.4である。足関節上腕血圧比は、動脈壁の硬さや動脈のつまりを評価することができる。0.9以下であれば、末梢動脈疾患の疑いがあり、1.4以上であれば石灰化の疑いとなる。
3.〇 正しい。上腕部では足部と比べて収縮期血圧が低くなる。なぜなら、①上腕部より下肢の動脈の方が深部を走行するため、②上腕部より下肢の動脈の方が走行距離が長いためなどがあげられる。10~20mmhgほど高くなる傾向にある。
4.〇 正しい。座位での測定はマンシェットを心臓の高さに合わせる。なぜなら、血圧は測定部位の高さによる影響を受けるためである。したがって、マンシェットの位置が高いほど血圧は低く、マンシェットの位置が低いほど血圧は高く測定される。
5.× Korotkoff 音が、「聞こえなくなった時点」ではなく聞こえた時点での圧を収縮期血圧とする。Korotkoff 音(コロトコフ音)とは、血液が心臓の拍動に合わせて断続的に流れ始めたときに発生する血管音である。