第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午前問題1~5】

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※問題の引用:第55回理学療法士国家試験、第55回作業療法士国家試験の問題および正答について

 

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

 

1 病気Xの有無を調べる検査の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を表に示す。
 正しいのはどれか。2つ選べ。

1.病気Xに罹患している人で、検査が正しく陽性と判定された確率は85%である。
2.病気Xに罹患していない人で、検査が正しく陰性と判定された確率は95%である。
3.病気Xを判定する検査が陽性の場合、真に病気Xに罹患している確率は80%である。
4.病気Xを判定する検査が陰性の場合、真に病気Xに罹患している確率は15%である。
5.病気Xを判定する検査が陰性の場合、真に病気Xに罹患していない確率は90%である。

解答2.5
解説

用語説明

・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。

検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率」という。

・疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合を「偽陽性率」という。
・疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合を「偽陰性率」という。

1.× 病気Xに罹患している人で、検査が正しく陽性と判定された確率とは、感度のことである。つまり、表を見ると「85%」ではなく80%である。
2.〇 正しい。病気Xに罹患していない人で、検査が正しく陰性と判定された確率とは、特異度のことである。表を見ると「95%」で正しい。
3.× 病気Xを判定する検査が陽性の場合、真に病気Xに罹患している確率とは、陽性反応的中度(陽性的中率)のことである。つまり、表を見ると「80%」ではなく85%である。
4.× 病気Xを判定する検査が陰性の場合、真に病気Xに罹患している確率とは、偽陰性率のことであり、「1-感度」である。つまり、表で見ると「15%」ではなく20%である。
5.〇 正しい。病気Xを判定する検査が陰性の場合、真に病気Xに罹患していない確率とは、陰性反応的中度(陰性的中率)のことである。表を見ると90%で正しい。

 

 

 

2 心電図(下図)を別に示す。
この心電図の所見で正しいのはどれか。


1.心房細動
2.洞性徐脈
3.心室性期外収縮
4.心房性期外収縮
5. Ⅰ度房室ブロック

解答
解説


1.× 心房細動では、P波は見られず、f波(心房の細かなふるえが基線の揺れとして記録されたもの)が出現する。またRR間隔は不定である。図の特徴とは一致しない。
2.× 洞性徐脈の特徴として、洞結節からの興奮が緩徐となっている状態。図の特徴とは一致しない。
3.× 心室性期外収縮の特徴として、本来の洞結節からの興奮より早く心室で興奮が開始する(RR間隔が不定)。図の特徴とは一致しない。
4.〇 正しい。心房性期外収縮とは、本来の洞結節からの興奮より早く、心房内で興奮が開始し、本来より早く形の整ったQRS波が出るのが特徴である。図の特徴と一致する。
5. × 房室ブロックは、心房刺激が心室に伝わりにくくなった状態で、障害の程度によって第1度から第3度までの3段階にわけることができる。Ⅰ度房室ブロックの特徴として、RR間隔の延長(0.28秒)がある。図の特徴とは一致しない。

 

 

 

3 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)における右下肢関節の測定肢位で正しいのはどれか。

解答
解説
1.× 股関節屈曲は、「膝関節伸展位」ではなく膝関節屈曲位で行う。ちなみに、【基本軸】体幹と平行な線【移動軸】大腿骨(大転子と大腿骨外果の中心を結ぶ線)である。
2.× 股関節伸展は、「膝関節屈曲位」ではなく膝関節伸展位で行う。ちなみに、【基本軸】体幹と平行な線【移動軸】大腿骨(大転子と大腿骨外果の中心を結ぶ線)である。
3.〇 正しい。膝関節屈曲は、基本軸は大腿骨であり、移動軸は腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)である。注意点として、膝関節屈曲は股関節を屈曲位で行う。
4.× 足関節背屈は、「膝関節伸展位」ではなく膝関節屈曲位で行う。ちなみに、【基本軸】矢状面における腓骨長軸への垂直線【移動軸】足底面である。(2022年改定)
5.× 足部内返しは、「膝関節伸展位」ではなく膝関節屈曲位で行う。ちなみに、【基本軸】前額面における下腿軸への垂直線【移動軸】足底面である。

 

覚えなおしたい方はこちら↓

【暗記確認用】ROMのランダム問題

 

 

 

 

 

4 Danielsらの徒手筋力テストによる検査方法を図に示す。
 正しいのはどれか。

解答
解説
1.〇 正しい。前鋸筋の段階3は、図のように行う。検査者の抵抗を加えず肩甲骨下角の内外側縁を触診した状態で、被験者は肘関節伸展指で肩関節約130度屈曲する。
2.× 肩関節外旋筋群の段階4の抵抗部位が違う。「手背」ではなく指二本で前腕遠位部に抵抗をかける。
3.× 大胸筋の段階3の肢位が違う。「肘関節伸展位」ではなく肘関節90°屈曲位で行う。ちなみに、肩関節も90°外転する。
4.× 腕橈骨筋の段階4の肢位が違う。「前腕回外位(上腕二頭筋)」ではなく前腕回内回外中間位で行う。ちなみに、前腕回内位は上腕筋である。
5.× 腸腰筋の段階3の上肢の肢位が違う。上肢は、台の縁につかみ上体を安定させる。もしくは、身体の両脇で台上に手を置くかして身体を支える必要がある。図では、上肢が体幹より後方にあり、上体が後方へ倒れやすく不安定になっている。

 

 

 

 

5 80歳の女性。慢性心不全。NYHA分類classⅢである。急性増悪にて入院加療後、退院した。自宅でのADLは、Barthel Indexによる評価で、食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、着替え、排便、排尿は自立、歩行は歩行器使用にて45 m以上可能である。階段昇降は部分介助を要する。
 この患者のBarthel Indexの点数はどれか。(※不適切問題 解2個)

1. 75点
2. 80点
3. 85点
4. 90点
5. 95点

解答4もしくは5
採点方法:複数の選択肢を正解として採点する。
理由:設問が不明確で複数の選択肢が正解と考えられるため。 

解説

本症例のポイント

・80歳の女性(慢性心不全)
・NYHA分類classⅢ(心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの。安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの)。
・自宅でのADL(BI):食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、着替え、排便、排尿は自立、歩行は歩行器使用にて45m以上可能である。階段昇降は部分介助を要する。
→本症例は、食事(10点)、移乗(15点)、整容(5点)、トイレ動作(10点)、入浴(5点)、着替え(10点)、排便(10点)、排尿(10点)は自立である(合計75点)。減点対象は、歩行と階段昇降である。ただし、本問題での歩行の項目は点数を絞り切れないため不適切問題となった。

 減点項目になりそうなのは、①歩行は歩行器使用にて45 m以上可能である点(10~15/15点)と、②階段昇降は部分介助を要する点(5/10点)である。問題文から、歩行器使用とは書かれているが、車輪付き歩行器であるのか不明である。仮に、車輪がついていた場合、減点(10点)となる。したがって、判断ができず、選択肢4~5. 90~95点となる。

歩行

15点:介助なしで45m以上歩行可能(装具、義足、杖、松葉杖、車輪付きを除く歩行器の使用の有無は問わない)
10点:45m以上の介助歩行可能(車輪付きの歩行器の使用を含む)
ちなみに、厚生労働省が診療報酬に関わるADL評価書として記している様式では車輪の有無にかかわらず、歩行器使用で10点となる。

NYHA心機能分類

Ⅰ度:心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴が生じないもの。
Ⅱ度:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの。安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
Ⅲ度:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの。安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
Ⅳ度:心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。

詳しくにまとめました。参考にしてください↓↓

Barthel index (BI)とは?評価方法や評価項目は?【分かりやすく解説します】

 

6 COMMENTS

りゃっぴい

こんにちは。初めまして。
BIの問題で車椅子の使用で10点と書いてあるのですが、5点ではないのでしょうか?

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
匿名

コメント失礼します。
1問目の選択肢4の解説についてなのですが、偽陽性率ではなく、偽陰性率ではないでしょうか。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘の通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認お願い致します。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
匿名

「解説の間違い?」の確認をお願いします。

4.× 病気Xを判定する検査が陰性の場合、真に病気Xに罹患している確率とは、偽陽性率のことであり、100%から陰性反応的中度(陰性的中立)を引けば出る。15%ではなく、20%である。←10%ではないですか?間違っていたらすみません。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘の通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認お願い致します。
今後ともよろしくお願いいたします。

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