第54回(H31) 作業療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

 

46 TEACCHプログラムが対象としているのはどれか。

1. 自閉症
2. 素行障害
3. 選択性緘黙
4. チック障害
5. 反応性愛着障害

解答
解説

 TEACCH(Treatment and Education of Autistic and Related Communication Handicapped Children)プログラムは、自閉症患者とその家族、関係者(教師やグループホームなどの支援者)を対象にする包括的プログラムである。自閉症患者の人生を長期的かつ包括的に支援することで、自閉症患者の自立を目指すものである。よって、1.〇 自閉症が正しい。
2.× 素行障害(conduct disorder:CD)は、社会的な規範に対する反復的かつ複数の分野にわたる問題行動によって規定される疾患概念である。それは、被虐待児に発現の親和性が高く、発達障害の子どもにも同じ傾向があるとされる。
3.× 選択性緘黙(場面緘黙)とは、学校や会社など特定の状況下で話すことができないという疾患のこと。緘黙(かんもく)と読む。性格によるものではなく、対人コミュニケーションに対する強い不安が根底にあるとされている。
4.× チック障害(チック症)とは、本人の意思とは関係なく(不随意)・急に(突発的に)運動や発声が反復して起こる病態で、それぞれ運動性チック、音声チックと呼ばれる。 複数のタイプの症状が長期間続く場合は、トゥレット症候群と呼ぶ。 
5.× 反応性愛着障害(Reactive attachment disorder:RAD)とは、人と目を合わせず抱きつく、養育者に近づいたり逃げたり逆らったりするなど、通常では見られない不安定で複雑な行動態様を示す愛着障害の一種である。

 

 

 

47 強直間代けいれんの発作時の対応で正しいのはどれか。

1. 上下肢を抑える。
2. タオルを嚙ませる。
3. 発作の様子を記録する。
4. 刺激を加えて意識障害の程度を判定する。
5. 発作終了後、直ちに抗てんかん薬を服用させる。

解答
解説

 強直間代けいれん発作(大発作)は、全般性てんかん及び症候群の特発性(原発性)全般発作の一つである(他、小発作:欠神発作、ミオクロニー発作)。十数秒間の全身性の強直期(体幹四肢を伸展する強直発作)に続いて、数十秒持続する間代期(四肢を激しく動かす間代発作)が出現し、この間は意識が消失する。発作後は、数分間のもうろう状態を示し、その後睡眠に移行することもある。対応として、何もせずに入念に観察するのが良い。
1.× 上下肢を抑えるのは適切ではない。骨折やその他外傷の恐れがあるため行わない。
2.× タオルを嚙ませるのは適切ではない。窒息の恐れがあるため行わない。
3.〇 正しい。発作の様子を記録する。記録内容としては、①けいれんの発作様式、②持続時間、③現在の様子などで、あとで医師に報告できるようにする。
4.× 刺激を加えて意識障害の程度を判定するのは適切ではない。突然の意識消失はみられるが、入眠後に意識が戻ることが多いので、意識障害の程度の判定は必ずしも必要がない。
5.× 発作終了後、直ちに抗てんかん薬を服用させるのは適切ではない。発作直後は意識がもうろうとしていることが多く、無理に薬を服用させると誤嚥のおそれがあるため。

 

 

 

 

48 認知症患者に対する作業プログラムを作成する上での留意点で適切なのはどれか。

1. 活動の時間帯は覚醒水準に応じて設定する。
2. 新しい事に挑戦していくような活動を用いる。
3. 活動は多少幼稚になっても、可能な限り単純化する。
4. 生活史よりも、現在の状態を重視して活動を選択する。
5. 患者同士で作品への感想を述べ合う場面は作らないようにする。

解答
解説
1.〇 正しい。活動の時間帯は覚醒水準に応じて設定する。個人の生活リズムに合わせて対応し、1日のりズムが確立したら、レクリエーションなどの活動を生活の中に組み入れることが大切である。
2.× 新しい事に挑戦していくような活動ではなく、馴染みのある活動が良い。新しい活動を覚えることや慣れることに、困惑や混乱が生じやすいためである。
3.× 活動は、単純化する必要があるが、幼稚にする必要はない。幼稚な作業により、尊厳や自尊心を傷つける恐れがあるためである。
4.× 現在の状態を視ることも大切だが、生活史を考慮することも同時に重視して活動を選択する。馴染みの活動を取り入れるためにも、生活史を考慮することを重視する。
5.× 患者同士で作品への感想を述べ合う場面は作るようにする。そのことで共感や自尊心を尊重することへとつながる。

 

 

勉強頑張ろう!

 

 

 

49 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)で、精神保健審判員(必要な学識経験を有する医師)とともに処遇を決定する職はどれか。

1. 検察官
2. 裁判官
3. 都道府県知事
4. 社会復帰調整官
5. 精神保健参与員

解答
解説

 医療観察法の対象:精神障害のために善悪の区別がつかず、刑事責任を問えない状態で殺人・放火・強盗・強姦・強制わいせつ・傷害等を行った人で、不起訴処分や無罪、または執行猶予となった人。目的:対象者に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進する。審判:鑑定入院の後で、裁判官と精神保健審判員からなる合議体が処遇の審判を下す。

1.× 検察官・都道府県知事は関与しない。
2.〇 裁判官が適当である。。裁判官と精神保健審判員からなる合議体が処遇の審判を下す。
4.× 社会復帰調整官とは、法務省管轄の保護観察所に配属され、鑑定入院時より関与し、対象者(精神障害者)の生活環境調査を行う職業の事である。指定入院医療機関の退院決定からは、対象者の社会復帰に向けてのケア会議を開催するなど、本法での中心的な役割をもつ。保護観察所長は社会復帰調整官の長である。
5.× 精神保健参与員とは、対象者の医療資源の利用や社会復帰の可能性に関して、合議体(裁判官と精神保健審判員)に助言する役割を持つ。

 

 

 

 

50 精神障害者の雇用や就労支援で適切なのはどれか。

1. 就労移行支援の標準利用期間は1年間である。
2. 精神障害者は法定雇用率の算定基礎に含まれている。
3. 障害者就業・生活支援センターは、利用者と雇用契約を締結しなければならない。
4. 個別化された援助付き雇用プログラムは、就労後より就労前の訓練を重視している。
5. 就労定着支援では、職場定着に必要な業務上のスキルアップに特化した専門支援を提供する。

解答
解説
1.× 就労移行支援の標準利用期間は、1年間ではなく、2年(特例で3年)ある。就労移行支援事業は、就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して就業のために必要な知識や技能を身につけさせる事業である。

2.〇 正しい。精神障害者は法定雇用率の算定基礎に含まれている。雇用義務の対象となるのは従業員45.5人以上の企業であり、障害者届用率は2.2%以上(国・地方公務員は2.5%、都道府県の教育委員会は2.4%) が義務づけられている(平成30年4月1日以降)。障害者雇用率制度において、雇用義務の対象となるのは身体障害者および知的障害者であり、精神障害者は雇用義務の対象ではないが、各企業の実雇用率の算定時には障害者数に算入することができる。

3.× 障害者就業・生活支援センターは、就業およびそれに伴う日常生活上の支援を必要とする障害者に対し、センター窓口での相談義務や職場・家庭訪問などを実践している場所となる。利用者と雇用契約を行う場所ではない。
4.× 個別化された援助付き雇用プログラム(IPS:Individual Placement and Support)の特徴は、症状の重さは問題にせず、本人の好みや意欲に基づき職を選択し、障害者雇用ではなく一般就労を目指すものである。訓練は、就労後も就労前と同様に継続される。
5.× 就労定着支援は、障害者の就労や、就労に伴って生じている生活面での課題を解決し、長く働き続けられるようにサポートするものである。

 

個別化された援助付き雇用プログラム(IPS:Individual Placement and Support)の基本原則

①症状が重いことを理由に就労支援の対象外としない。
②就労支援の専門家と医療保険の専門家チームを作る。
③職探しは、本人の興味や好みに基づく。
④保護的就労ではなく、一般就労をゴールとする。
⑤生活保護や障害年金などの経済的な相談に関するサービスを提供する。
⑥働きたいと本人が希望したら、迅速に就労支援サービスを提供する。
⑦終業後のサポートは継続的に行う。

 

 

51問目からは、理学療法士・作業療法士【共通問題】となります。タイトルが「第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説」となっていますが、ご了承ください。

 

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