第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午後問題66~70】

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66. 排便機構で正しいのはどれか。

1. 排便中枢は胸髄にある。
2. 外肛門括約筋は陰部神経支配である。
3. 下行結腸では逆蠕動運動がみられる。
4. 食事によって胃が拡張すると便意を生じる。
5. 内肛門括約筋は副交感神経の緊張で収縮する。

解答

解説
1. ×:排便中枢は、「胸髄」ではなく第2~4仙髄にある。
2. 〇:正しい。外肛門括約筋は、陰部神経支配(体性神経支配)である。ちなみに、内肛門括約筋は、下腹神経(交感神経)と骨盤神経(副交感神経)の支配である。
3. ×:逆蠕動運動がみられるのは、「下行結腸」ではなく上行結腸である。直腸壁に分布している骨盤神経を介して興奮が仙髄の排便中枢、大脳に伝わり便意を催す。
4. ×:食事によって、「胃が拡張」ではなく、直腸壁が伸張し、便意を生じる。詳しく説明すると、直腸に到達した内容物により、直腸内圧が30~40mmHg以上になると、直腸壁が伸張し、骨盤神経を介して興奮が仙髄の排便中枢、さらには大脳に伝わり便意が生じる。
5. ×:内肛門括約筋(平滑筋)は、骨盤内臓神経(副交感神経)の緊張で、「収縮」ではなく、弛緩する。

類似問題です↓
【共通問題のみ】排尿・排便(過程・神経)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

67. 血糖を上昇させる作用のあるホルモンはどれか。

1. アドレナリン
2. アルドステロン
3. カルシトニン
4. パラトルモン
5. プロラクチン

解答

解説
1. 〇:正しい。血糖を上昇させる作用のあるホルモンは、アドレナリンである。副腎髄質より分泌される。
2. ×:アルドステロンは、血圧上昇させる。副腎皮質から分泌される。
3. ×:カルシトニンは、骨吸収を抑制する働きを持つ。甲状腺から分泌される。
4. ×:パラトルモン(上皮小体ホルモン)は、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働き、逆に甲状腺から分泌されるカルシトニンはカルシウム濃度を減少させるように働く。
5. ×:プロラクチンは、乳腺の発育乳汁の産生に働く。脳下垂体前葉から分泌される。

 

 

 

 

68. 【採点除外問題】妊娠、出産で正しいのはどれか。(※解答なし)

1. 受精卵は着床してから分裂を開始する。
2. 胎盤は着床前から形成が開始される。
3. 妊娠中は、妊婦と胎児の血液の混合が起こる。
4. 妊娠中はプロラクチン分泌が抑制されている。
5. 分娩が始まるとオキシトシン分泌が減少する。

解答 解なし
理由:選択肢に誤りがあり、正解が得られないため。

解説
1. ×:受精卵は、「着床してから」ではなく、着床する前から分裂を開始する。分裂は受精後24時間以降、1~2日で開始する。着床するのは胞胚期で受精後6~7日である。
2. ×:胎盤は、「着床前から形成が開始される」のではなく、妊娠7週頃(受精後5週)から形成されはじめる。
3. ×:妊娠中は、妊婦と胎児の血液の混合が起こらない。なぜなら、胎盤では絨毛が母体血のプールに浸かっている(バリアの)ような構造になっているため。母児間の血液は直接混ざらないようになっている。
4. ×:妊娠中はプロラクチン分泌が、「抑制される」のではなく亢進される。なぜなら、プロラクチンは、脳下垂体前葉から放出され、妊娠後期~出産後にかけ、乳腺の発育と母乳の分泌を促すため。
5. ×:分娩が始まるとオキシトシン分泌が、「減少」ではなく増加する。オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。分泌を抑制・疎外するような環境にならないようにすることが大切である。

 

 

 

 

 

69. 通常歩行(4㎞/h)の代謝当量(METs)はどれか。

1. 1~2METs
2. 3~4METs
3. 5~6METs
4. 7~8METs
5. 9~10METs

解答

解説
1. ×:1~2METsは、安静座位、ゆっくりとした歩行 (1~2㎞/h)である。
2. 〇:正しい。通常歩行(4㎞/h)は、3~4METsである。他にも自転車(10㎞/h)、マスターテスト1/2などである。
3. ×:5~6METsは、速めの歩行(6㎞/h)、自転車(16㎞/h)、マスターテストSなどである。
4. ×:7~8METsは、ジョギング(8㎞/h)、自転車(19㎞/h)などである。
5. ×:9~10METsは、ジョギング(10㎞/h)、自転車(22㎞/h)などである。

(※参考:『身体活動のメッツ(METs)表』国立健康・栄養研究所様HPより)

 

 

 

 

 

70. 眼球運動を行う筋はどれか。

1. 外側翼突筋
2. 眼輪筋
3. 頬筋
4. 前頭筋
5. 内側直筋

解答

解説
1. ×:外側翼突筋は、下顎頭を前方に引く作用がある。
2. ×:眼輪筋は、作用は上下の眼瞼を閉眼する。
3. ×:頬筋は、口角を後方に引き、頬を歯に押し付けることで咀嚼を補助する。
4. ×:前頭筋は、眉弓を引き上げ前頭部に皺(しわ)を作る。
5. 〇:正しい。内側直筋は、眼球を内方に動かす。

眼球に関わる筋

上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋、上斜筋、下斜筋

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】咀嚼筋、頚部筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

2 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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