第53回(H30) 作業療法士国家試験 解説【午前問題6~10】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

6 手の写真(下図)を示す。
 上腕骨骨幹部骨折による神経麻痺によって生じやすいのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答4

解説

上腕骨骨幹部骨折では橈骨神経が障害され、下垂手を呈しやすい。

1.× ①:前腕の萎縮とMP関節が伸展位がみられる(虫様筋などの手内筋麻痺)ことから、C5より上位の頸髄損傷や、C6~8の広範な腕神経叢損傷が考えられる。
2.× ②:鷲手(鉤爪)であり、尺骨神経麻痺により生じる。鷲手(鉤爪)とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。
3.× ③:猿手であり、正中神経麻痺により生じる。猿手とは、母指球が萎縮し、母指が内転位となり、母指とその他の手指との対立運動が不能となる状態である。
4.〇 正しい。④:下垂手である。橈骨神経麻痺により、関節の背屈障害、および全指のMP関節伸展障害が起こる。
5.× ⑤:痙性が強い手の状態である。ウェルニッケマン肢位の手関節は掌屈位となり、手指は屈曲位となる。

 

 

 

 

 

 

7 検査の写真(下図)を示す。
 ASIAにおけるT1のkey muscleの検査はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答1

解説

1.〇 正しい。①の検査は小指外転筋である。は尺骨神経支配でT1レベルの key muscleである.
2.× ②の検査は母指外転筋である。長母指外転筋が橈骨神経支配でC6~8、短母指外転筋が正中神経支配でC7~8レベルである。
3.× ③の検査は示指伸筋である。示指伸筋が橈骨神経支配でC6~8、総指伸筋が橈骨神経支配でC6~8レベルである。
4.× ④の検査は中指末節の屈筋である。つまり深指屈筋でC8のkey muscleである。
5.× ⑤の検査は手背屈筋である。つまり長・短橈側手根伸筋でC6の key muscle である。

類似問題です↓
【OT専門のみ】ASIAについての問題「まとめ・解説」

 

 

8 図のような腕神経叢損傷で障害される動きはどれか。

1.肩甲帯の挙上
2.肘関節の屈曲
3.手関節の背屈
4.肩関節の外転
5.肩関節の水平伸展

解答2

解説

図の損傷部位より、外側神経束の損傷で筋皮神経正中神経が、内側神経束の損傷で正中神経尺骨神経が、それぞれ障害されていると考えられる。

1.× 肩甲帯の挙上は、副神経頸神経(C3~4) 支配である僧帽筋や肩甲背神経(C3~5)支配である肩甲挙筋が行う。
2.〇 正しい。肘関節の屈曲は、筋皮神経支配である上腕二頭筋・上腕筋が、橈骨神経支配である腕橈骨筋が行う。
3.× 手関節の背屈は、橈骨神経支配である長・短橈側手根伸筋が行う。
4.× 肩関節の外転は、肩甲上神経支配である棘上筋や、腋窩神経支配である三角筋が行う。
5.× 肩関節の水平伸展は、腋窩神経支配である三角筋・小円筋や、肩甲上神経支配である棘下筋が行う。

類似問題です↓
【PT/OT/共通】腕神経叢についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

9 7歳の男児。脳性麻痺の痙直型両麻痺。GMFCSレベルⅢ。床上を前方へ移動する様子(下図)を示す。
 考えられる状態はどれか。

1.頭部保持能力の低下
2.両側上肢の支持能力の低下
3.下部体幹の支持能力の低下
4.両側肩甲帯周囲筋の緊張性低下
5.左右股関節の交互分離運動能力の低下

解答5

解説

 痙直型両麻痺は、上肢の軽度の麻痺と下肢の重度の痙性麻痺が特徴である。画像は、上肢は交互に動かすことができるものの、下肢は交互に動かすことができず、移動がうまく行えていない。

1.× 頭部保持能力の低下は見られない。頭部は伸展位に保持されているため。
2.× 両側上肢の支持能力の低下は見られない。両側上肢で体幹を保持して移動できているため。
3.× 下部体幹の支持能力の低下は見られない。下部体幹の支持能力が低下すると腰椎前弯が強まる(腰部が落ち込む)ため。
4.× 両側肩甲帯周囲筋の緊張性低下は見られない。肩甲帯周囲の落ち込みや翼状肩甲もないため。
5.〇 正しい。左右股関節の交互分離運動能力の低下である。画像から、バニーホッピングがみられる。バニーホッピングとは、上下肢の交互運動は少なく、両下肢を屈曲位のまま前進する移動方法のこと。いわゆる両手が床についている「うさぎ跳び」である。(バニーホッピングのイメージとしては、うさぎ跳びのように飛び跳ねるものではなく、交互性の少ないほふく前進である。)

GMFCSのそれぞれレベルの大きな見出し

レベルⅠ:制限なしに歩く
レベルⅡ:制限を伴って歩く
レベルⅢ:手に持つ移動器具を使用して歩く
レベルⅣ:制限を伴って自力移動;電動の移動手段を使用しても良い
レベルⅤ:手動車椅子で移送される

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【PT/OT/共通】GMFCSについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

10 尺骨の骨幹部骨折での固定範囲で正しいのはどれか。

解答2

解説

1.3~5.× 骨折部位を挟んだ2関節を固定することが原則である。手関節・肘関節を固定しているものを選ぶ。
2.〇 正しい。骨折部位を挟んだ2関節を固定してあり適切である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)