第53回(H30) 作業療法士国家試験 解説【午前問題1~5】

 

※問題の引用:第53回理学療法士国家試験、第54回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

 

1 85歳の女性。右利き。突然の意識消失のため救急搬入された。入院後、意識は回復した。発症後2時間のMRI拡散強調像(下図)を示す。
 今後この患者に生じる可能性の高い症状はどれか。

1.拮抗失行
2.左右失認
3.運動性失語
4.社会的行動障害
5.左半身空間無視

解答5

解説

 MRI拡散強調像を見ると、右中大脳動脈領域(側頭葉頭頂葉)の脳梗塞であることが分かる。

1.× 拮抗失行とは、企画された一方の手の運動に対し、反対側の手が患者の意思に反して妨害的に働き、運動が中断するか、行為が完遂できない状態である。大脳皮質症候の一種である。大脳皮質基底核変性症などで生じる。
2.× 左右失認とは、左右が分からなくなる状態である。左頭頂葉角回の障害によって生じる。
生じる。
3.× 運動性失語とは、言語理解は可能であるが,非流暢な発語がみられる。前頭葉Broca野(運動性失語中枢)を中心とした前頭葉の障害によって生じる。
4.× 社会的行動障害とは、感情を適切にコントロールすることができなくなり、不適切な行動をとる状態であり、主に前頭連合野の障害によって生じる。主に、前頭葉の障害によって生じる。
5.〇 正しい。左半身空間無視とは、主に障害側の対側への注意が病的に低下し、存在しないかのように振る舞うことをいう。右頭頂葉の障害によって生じる。

 

 

 

 

 

 

2 図は深索反射を検査している場面である。
 正しいのはどれか。

1.反応は生涯続く。
2.満腹時には出現しにくい。
3.生後2ヶ月ごろに出現する。
4.刺激されると嚥下反射が起こる。
5.刺激と反対側へ頭部が回旋する。

解答2

解説

 探索反射は、児の口唇や頬を指で触れると刺激側に顔を向けて口で指を捕らえようとするもので、哺乳時に視覚的に乳首を探すことができない出生時から存在し、離乳食に移行し始める生後4~6ヵ月で消失する原始反射である。これによって母乳の摂取が可能となる。

1.× 反応は生涯続くわけではなく、生後4~6ヵ月で消失する
2.〇 正しい。満腹時には出現しにくい。加えて、排泄時にも出現しにくい。
3.× 生後2ヶ月ごろに出現するのではなく、出生時から存在している。
4.× 嚥下反射は口の中に入った母乳を飲み込む際に起こる。
5.× 刺激側へ頭部が回旋する。

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】反射中枢の組み合わせを完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

 

3 Danielsらの徒手筋カテストの段階5及び4の検査で、検査者の抵抗をかける手の位置で正しいのはどれか。2つ選べ。
 ただし、矢印は検査者の加える力の方向を示す。

解答2/4

解説

1.× 肩甲骨内転の段階5及び4の検査の抵抗位置は、肘直上で上腕骨遠位端に上方から抵抗を加える。
2.〇 正しい。肩関節外転の段階5及び4の検査の抵抗位置は、肘の直上で上腕骨下端に上方から抵抗を加える。
3.× 肩関節水平内転の段階5及び4の検査の抵抗位置は、肘のすく近位で上腕部に対し外側の方向に抵抗を加える。
4.〇 正しい。肩関節内旋の段階5及び4の検査の抵抗位置は、被験者の手首のすぐ上で前腕の掌側に抵抗を加える。
5.× 前腕回内の段階5及び4の検査の抵抗位置は、前腕遠位(手首のすぐ近く)の掌側面の橈骨上で、回外方向に抵抗を加える。握手のように手を握る方法(別法)では、被験者の手掌は下向きで検査者は手の握りを介して回内に抵抗を加える。

 

 

 

勉強頑張ろう!

 

 

 

 

4 29歳の男性。バイク転倒事故による右前頭葉脳挫傷および外傷性くも膜下出血。事故から2週間後に意識清明となり、作業療法が開始された。運動麻痺と感覚障害はない。礼節やコミュニケーション能力が保たれているが、感情表出が少なく、ぼんやりとしていることが多い。既知の物品操作方法は覚えているが、事故後の出来事に関する情報は忘れやすい。作業療法開始時間までに支度を整えることが難しく、しばしば時間に遅れる。
 この患者の状態を評価するために適切と考えられる評価法はどれか。2つ選べ。

1.BADS
2.RBMT
3.SLTA
4.SPTA
5.VPTA

解答1/2

解説

1.〇 正しい。BADS(Behavioral Assessment of the Dysexecutive Syndrome:遂行機能障害症候群の行動評価) は、前頭葉の遂行機能を評価する検査である。本症例は、交通事故による右前頭葉脳挫傷を呈しているため適切である。
2.〇 正しい。RBMT(Rivermead Behavioral Memory Test:リバーミード行動記憶検査)は、日常生活を想定して行う記憶検査である。認知症をはじめとする多くの疾患に対して、その記憶障害の性質や程度、リハビリテーションの効果の評価に用いられる。本症例は、”作業療法開始時間までに支度を整えることが難しく、しばしば時間に遅れる”様子もあることから適切である。
3.× SLTA(Standard Language Test of Aphasia:標準失語症検査)は、失語症の検査である。失語症は言語野(主に左脳)の障害で出現する。
4.× SPTA(Standard Performance Test for Apraxia:標準高次動作性検査)は、失行症および行為障害を系統的に評価する検査である。
5.× VPTA(Visual Perception Test for Agnosia:標準高次視知覚検査)は、視知覚機能の検査法である、視知覚障害は後頭葉を中心とした部位の損傷により出現する。

 

 

 

 

 

 

5 上腕能動義手の適合検査において、コントロールケーブルシステムの操作効率をチェックする計算式を以下に示す。
 コントロールケーブルシステムの操作効率(%)=A/B ×100
 Aにあたる計測はどれか。(※不適切問題)


  

解答 解なし(採点対象から除外する。 )
理由 設問が不適切で正解が得られないため。

解説

 コントロールケーブルシステムの”伝達効率”をチェックする計算式の問題である。問題文ではコントロールケーブルシステムの”操作効率”となっていたため不適切問題として扱われたと考えられる。解説では、仮に操作効率として問題が成り立っていた場合の説明をする。

公式

伝達効率(%) =A【手先具単体で手先を開くのに要する力 (kg)】/B【コントロールケーブルハンガーに加えた力(kg)】×100

1.× 回旋力に対する安定性のチェックである。
2.× バネ秤で引っ張る方向は、後方ではなく上方のハーネスの方向であるべきである。
3.× 下垂力に対する安定性のチェックである。
4.〇 正しい。【A:手先具単体で手先を開くのに要する力(kg)】に当てはまる。
5.〇 正しい。口元での手先具操作のチェックである。

 

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