第53回(H30) 作業療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

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46 うつ病の回復初期の患者への対応で最も適切なのはどれか。

1.就労を勧める。
2.チームでのスポーツを勧める。
3.休憩を早めに取るように勧める。
4.物事は自分で判断するように促す。
5.行動の結果の良し悪しを明確に伝える。

解答3

解説

 うつ病では自己評価の低下、意識の低下、精神運動抑制などの症状がみられる。回復期の初期では、負担が少なく患者の自信を回復させるような作業を行う。また、病前のようには作業できないことへの配慮も必要である。

1.× 就労を勧めるには時期尚早である。
2.× チームでのスポーツは、他者との優劣がわかりやすく自信喪失につながりやすいため、避けるべきである。
3.〇 正しい。休憩を早めに取るように勧める。うつ病患者は、疲労感を感じやすい傾向にあるためである。
4.× 物事は自分で判断するように促すのは時期尚早である。それがかえってストレスをうけ病状を悪化させる恐れがある。この時期では、自己決定をする場面を減らすことが必要である。
5.× 行動の結果の良し悪しを明確に伝えることはしない。うつ病の患者は、「全か無か」の考えにとらわれているため、良し悪しを明確に伝えるとそれを助長してしまう。物事には両面があることを伝えるべきである。

 

 

 

 

 

 

47 他罰的であり「病状が良くならないのは、親の接し方が悪いため」と攻撃的になる境界性パーソナリティ障害の患者への作業療法士の対応として適切でないのはどれか。

1.単独で患者と関わる。
2.患者の親への心理的支援を行う。
3.治療契約の重要さを患者と確認する。
4.攻撃を向けられたとも同じ態度をとる。
5.患者自身の困難に共感的な態度で接する。

解答1

解説

 境界性パーソナリティ障害の患者は、対人関係が不安定で、集団作業では問題を起こすことが多い。特定の人物に対して強い依存心を抱く傾向があり、またそれが裏切られたと感じたときには強い怒りをきたす。このため、患者とは一定の距離を保ち、過度の依存を形成しないよう注意が必要である。

1.× 単独で患者と関わると、境界性パーソナリティ障害患者の特徴でもある治療者を操作しようとしたり、独占しようとしたりする傾向を助長する可能性があるため適切ではない。
2.〇 正しい。患者の親への心理的支援を行う。本問では、身近な存在である親に対して強い怒りを表出することがあるため、親に対して患者本人への対応の仕方を助言するなどの心理的支援を行うと良い。
3.〇 正しい。治療契約の重要さを患者と確認する。治療の開始にあたって、治療者と患者の間で、治療目標や方法、治療の期間、面接ルールなどについてなされる取り決めや約束を治療契約という治療契約を確認することによって治療の枠組みを再度しっかりと構築し、過度な依存関係を作らないことが重要である。
4.〇 正しい。攻撃を向けられたとも同じ態度をとる。患者は治療者の態度に敏感であり、その変化により情緒が不安定になる。患者から攻撃を受けた場合でも同じ態度をとることで、患者は安心できる。
5.〇 正しい。患者自身の困難に共感的な態度で接する。その態度は、すべての疾患の患者において重要である。

 

 

 

 

 

 

48 わが国のアルコール関連問題について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.成人の飲酒者の割合は、男性より女性が多い。
2.アルコール依存症は、自殺のリスクを高める。
3.女性の有病率は減少傾向にある。
4.妊娠している女性の飲酒は、胎児性アルコール症候群の危険因子である。
5.未成年者への学校でのアルコール教育は、三次予防としての取り組みである。

解答2/4

解説

1.× 成人の飲酒者の割合は、女性より男性が多い。「節度のある適正な飲酒」は、1日平均純アルコールで約20gであるのに対し、約60g以上を消費する成人男性は4.1%、成人女性では 0.3%である(厚労省調査)。
2.〇 正しい。アルコール依存症は、自殺のリスクを高める。アルコール依存症は、一般人口の約10倍である。ちなみに、うつ病は一般人口の約30倍である。
3.× 近年は女性や高齢者の患者数が増加している。
4.〇 正しい。妊娠している女性の飲酒は、胎児性アルコール症候群の危険因子である。胎児性アルコール症候群とは、妊娠中の母親の習慣的なアルコール摂取によって生じていると考えられている先天性疾患の一つ。 神経発達症の一種である。
5.× 未成年者への学校でのアルコール教育は、「三次予防」ではなく一次予防としての取り組みである。未成年者へのアルコール教育は、教育により生涯にわたってのアルコールの影響を防止するものである。

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。
一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。(※健康日本21において)

 

 

 

 

 

 

49 IPS(individual placement and support)モデルによる援助付き雇用の原則として適切なのはどれか。
 2つ選べ。

1.医療や生活支援と連携する。
2.障害が重くても支援の対象となる。
3.長期間訓練してしてから職場開拓を始める。
4.企業から提案があった業務に合わせて求職活動を行う。
5.企業に採用された後は職場の担当部署に以降の支援を任せる。

解答1/2

解説

IPSとは?

IPSとは、個別の就労活動支援と職場定着支援を中心とした就労支援モデルです。正式名称は「Individual Placement and Support」といい、日本語に訳すと「個別職業紹介とサポート」になります。IPSモデルの理念は、「どんなに重い精神障害を持つ人であっても、本人に働きたいという希望さえあれば、本人の興味、技能、経験に適合する職場で働くことが出来る」「就労そのものが治療的であり、リカバリーの重要な要素となる」という信念に基づいています。

IPSモデルの基本原則
IPSには下記7つの基本原則があります
① 就労支援対象についての除外基準なし
② 短期間、短時間でも企業への就労を目指す
③ 施設内でのトレーニングやアセスメントは最小限とし、迅速に職場開拓(就職活動など)を実施する
④ 就労支援と医療保健の専門家でチームを作る
⑤ 職探しは本人の技能や興味に基づく
⑥ 就労後のサポートは継続的に行う
⑦ 生保や年金など経済的側面の相談、支援も行う

(引用:「IPSモデルとは?」多摩地域IPS就労支援センター様HPより)

1~2.〇 正しい。医療や生活支援と連携する。障害が重くても支援の対象となる。は基本原則に基づいている。
3.× 長期間訓練ではなく、迅速に職場開拓を始める。
4.× 企業から提案があった業務に合わせてではなく、本人の趣味や好みに合わせて求職活動を行う。
5.× 企業に採用された後は、職場の担当部署に以降の支援を任せるのではなく、サポートは継続して行う

 

 

 

 

 

 

50 臨床実習に参加する学生の行動で、患者の個人情報保護する上で最も適切なのはどれか。

1.患者の情報を自宅で親と話題にする。
2.実習で使用したメモをゴミ箱に捨てる。
3.患者の生年月日をレポートに記載する。
4.患者情報を指導者と共有する時はスタッフルームで行う。
5.患者を特定できるような訓練内容を指導者にメールで報告する。

解答4

解説

個人情報保護法とは?

個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。

1.× 患者の情報を自宅で親と話題に「してはならない」。なぜなら、親であっても第三者であるため。患者の個人情報(プライバシー)の保護は、学生であっても医療者に課せられた義務である。
2.× 実習で使用したメモは、「ゴミ箱」ではなく「シュレッダー」に捨てる。なぜなら、個人が特定されないよう個人情報の部分をわからないようするため。シュレッダーがない場合は、粉々に破ったり、個人情報保護するスタンプ使用する。
3.× 患者の生年月日をレポートに記載する必要はない。なぜなら、インターネットを使用すれば、生年月日、イニシャル、会社名などの情報でも個人を特定しかねないため。
4.〇 正しい。患者情報を指導者と共有する時はスタッフルームで行う。なぜなら、スタッフルームは、患者の情報が他の患者や職員の耳に入る可能性が低く、情報を共有する場として適切であるため。
5.× 患者を特定できるような訓練内容を指導者にメールで報告すべきではない。誤送信により情報漏えいしてしまった場合は、ニュースになりかねない。「患者情報 メール」と検索すると誤送信による情報漏えいのニュースがたくさん出てくるため、個人情報の管理は責任を持って行う。

 

 

51問目からは、理学療法士・作業療法士【共通問題】となります。タイトルが「第53回(H30) 理学療法士国家試験 解説」となっていますが、ご了承ください。

 

 

※問題の引用:第53回理学療法士国家試験、第53回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

 

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