第53回(H30) 作業療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

 

41 「持続性・安定性」の下位尺度が含まれる社会機能の評価法はどれか。

1.ESCROW Profile
2.GAF
3.LASMI
4.Rehab
5.SOFAS

解答3

解説

1.× ESCROW Profile(E:環境、S:社会交流、C:家族構成、R:経済状況、O:総合判断・予後、W:就労など)は、社会的不利の評価法である。
2.× GAF(Global Assessment of Functioning:機能の全体的評定尺度)は、心理・社会・職業的機能について0~100の数字で評価する方法である。評価は過去1週間の最低レベルを評点とする。数字が大きいほど健康度が高い。
3.〇 正しい。LASMI(Life Assessment Scale for the Mentally ill:精神障害者社会生活評価尺度)は、日常生活、対人関係、労働または課題遂行能力、持続性・安定性、自己認識の5つの大項目からなる評価尺度である。
4.× Rehab(Rehabilitation Evaluation Hall and Baker:精神科リハビリテーション行動評価尺度)は、病棟・デイケア・社会復帰施設などで観察した行動を評定するものである。比較的項目数が少なく(23項目)、簡便で繰り返し使用できるのが特徴である。
5.× SOFAS(Social and Occupational Functioning Assessment Scale:社会的職業的機能評定尺度)は、精神科患者の社会的・職業的機能を1~100までの整数値で表現した尺度で、数値が高いほど機能が高い。

 

 

 

 

 

 

42 作業療法中に「脳が溶けて流れ出す」と辛そうに訴える患者の症状として考えられるのはどれか。

1.作為体験
2.被害妄想
3.思考奪取
4.体感幻覚
5.連合弛緩

解答4

解説

1.× 作為体験は、「させられ体験」ともいう。「自分の思考や行為が他人によってのやつられている」という訴えが目立つ。
2.× 被害妄想は、思考内容の障害である。現実ではありえないような内容であり、「何者かに危害を加えられている」と感じる体験である。
3.× 思考奪取とは、自我意識の障害であり,「自分の思考が何者かに抜き取られる」と感じる体験である。
4.〇 正しい。体感幻覚とは、通常感じない身体の異常な感覚であり、知覚障害に分類される.
5.× 連合弛緩は、思考形式の障害である。個々の思考に問題はないが、思考間のつながりがうまくいかず、全体としてのまとまりがなくなった状態をいう。

 

 

 

 

 

 

43 作業療法中に腹痛を訴える身体表現性障害の患者への対応として適切なのはどれか。

1.軽い身体活動を勧める。
2.痛みの原因について話し合う。
3.積極的に話しかけて注意をそらす。
4.痛みが完全に治るまで安静を促す。
5.身体的所見に異常がないことを説明する。

解答1

解説

 身体表現性障害の特徴は、症状の原因に身体的問題はないといわれても、執拗に検査を求め、繰り返し身体症状を訴えるものである。自分に注意を引こうとする行動みられることもあるが、原因となるストレスについては無関心であることが多い。

1.〇 正しい。軽い身体活動を勧める。自己のこの症状へのとらわれを軽減できるとされている。
2.× 痛みの原因は、心理的によるものであり、話し合ってもすぐには本人は納得できない。
3.× 積極的に話しかけるより、軽い身体活動などで症状へのとらわれを軽減する方が有効である。
4.× 痛みの原因は、心理的によるものであり、安静していても痛みへのとらわれは持続するので有効な方法ではない。
5.× 身体的所見に異常がないことを説明しても、症状が心理的原因によるもので今の段階では本人は納得できない。

 

 

 

 

 

 

44 認知症の重症度を判定することを目的に、記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況および趣味・関心、介護状況の6項目について5段階で評価するのはどれか。

1.CDR
2.FAST
3.HDS-R
4.WMS-Ⅲ
5.NMスケール

解答1

解説

1.〇 正しい。CDR(Clinical Dementia Rating:記憶を中心とした認知機能障害の重症度評価尺度) は、対象者の診察や、対象者を知る者からの行動観察情報により行動を評価する。検査は、①記憶、②見当識、③判断力と問題解決、④社会適応、⑤家庭状況および趣味・関心、⑥介護状況の6項目について5段階で評価する。
2.× FAST:(Functional Assessment Staging:Alzheimer型認知症の病状ステージを生活機能の面から観察により分類した評価尺度)は、1(正常)~7(高度)の7段階で評価する。
3.× HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知機能をみる質問紙法による簡易精神機能検査である。
4.× WMS-Ⅲ(Wechsler Memory Scale-Third Edition:ウェクスラー記憶検査)とは、記憶の包括的検査であり、13の下位検査により言語性記憶、視覚性記憶、総合、注意・集中力、遅延再生の5つの指標を求めることができる。
5.× NMスケール(N式老年者用精神状態尺度)は、意思疎通を必要とせず、日常生活における行動を観察することによって知的機能障害の重症度を評価することが可能である。高齢者の日常生活の状況を家事・身辺整理、関心・意欲・交流、会話、記銘・記憶、見当識の5項目に分け、それぞれを7段階で評価する。

 

 

 

 

 

 

45 緊張型統合失調症の昏迷の治療として用いられるのはどれか。

1.EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)
2.NEAR(Neuropsychological and Educational Approach to cognitive Remediation)
3.TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children)
4.電気けいれん療法
5.暴露反応妨害法

解答4

解説

1.× EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)は、トラウマ的で苦痛な体験を再処理し、経験を適応的に統合する他力を促す手法であり、PTSDに対して行われる。
2.× NEAR(Neuropsychological and Educational Approach to cognitive Remediation)は、統合失調症患者を対象とし、記憶力、集中力、物事の段取りを考えて実行する能力などの認知機能の回復を図るためのリハビリテーションである。動機づけを高めるため、コンピュータゲームを使用するところに特徴がある。
3.× TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children)は、自閉症患者の自立のため、患者とその家族・関係者(教師やグループホームなどの支援者)を対象にする包括的プログラムである。
4.〇 正しい。電気けいれん療法、無けいれん(修正型)電気療法(m-ECT)は、うつ状態躁状態興奮幻覚・妄想状態などに対し効果がある。麻酔をかけて行う。重症の患者さんや、薬物療法で十分な効果が得られない人などに特に適応されることが多い。
5.× 暴露反応妨害法は、曝露療法と反応妨害の組合せである。患者が恐怖に感じる対象に直面させ(曝露)、逃避行動をとらせないようにし(反応妨害)、恐怖が強くなっても逃避行動をとらないようになることを目的としたもので、強迫性障害の治療として用いられることがある。

 

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