第53回(H30) 作業療法士国家試験 解説【午後問題26~30】

 

26 評価法の説明で正しいのはどれか。

1.SF-36はコーピングスキルを評価する。
2.COPMは作業遂行の主観的経験を評価する。
3.興味チェックリストは興味の満足感を評価する。
4.意志質問紙は精神的ストレスの程度を評価する。
5.老健式活動能力指標は高齢者の運動能力評価を目的とする。

解答2

解説

1.× SF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)は、コーピングスキルではなく、質問紙法により、対象者の健康関連QOLを包括的に評価する尺度である。コーピングスキルとは、ストレスに対処する技術のことである。
2.〇 正しい。COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)は、作業遂行の主観的経験を評価する。対象者の重要視する作業とその作業遂行能力を把握し、それを基に援助することを目的として行われる。患者が改善したいと考える活動とその重要度、現状の出来栄えや満足度を各々10段階評価で、患者が主観的に評価する。
3.× 興味チェックリストは、興味の満足感を評価するものではない。対象者のニーズを把握するため、各活動項目に対して興味の有無、また興味がある場合、関心の強さを評価する。
4.× 意志質問紙は、精神的ストレスの程度を評価するものではない。作業や活動への取り組み度集中度合いを観察し、14項目に対して各4点満点、計56点満点で評価するものである。
5.× 老健式活動能力指標は、高齢者の運動能力評価を目的とするものではない。手段的日常生活動作(IADL)13項目の質問に対して「はい」または「いいえ」で答えさせる。例えば、「1,バスや電車を使って一人で外出できますか?」「2.日用品の買い物ができますか?」などである。

 

 

 

 

 

 

 

27 日本生活における半側空間無視の評価法であるCatherine Bergego scale に含まれる内容はどれか。

1.左に身体が傾く。
2.左右を間違える。
3.模写をすると左側を書き忘れる。
4.髭剃りの時に左に顔が向いてしまう。
5.移動時に左側にいる人や物にぶつかる。

解答5

解説

CBS(Catherine Bergego scale)とは?

CBS(Catherine Bergego scale)とは、半側空間無視患者の ADL 上での問題点を見つけるための評価である。

①整髪または髭剃りのとき、左側を剃り忘れる。
②左側の袖を通したり、上履きの左側を履いたりするときに困難さを感じる。
③皿の左側の食べ物を食べ忘れる。
④食事の後、口の左側を拭くのを忘れる。
⑤左を向くのに困難さを感じる。
⑥左半身を忘れる。
⑦左側からの音や左側にいる人に注意をすることが困難である。
⑧左側にいる人や物にぶつかる。
⑨よく行く場所やリハビリテーション室で左に曲がるのが困難である。
⑩部屋や風呂場で左側にある所有物を見つけるのが困難である。

※以上の10項目について、【無視なし:0点】【軽度無視(時々):1点】【中等度無視(ほとんど):2点】【重度無視:3点】で評価し、得点が高いほど無視が重度であることを示す。観察評価における各項目の得点の合計が1~10点を軽度の無視、11~20点を中等度の無視、21~30点を重度の無視と評価する。

(原著:Azouvi P, Olivier S, et al.: Behavioral assessment of unilateral neglect: study of the psychometric properties of the Catherine Bergego Scale. Arch Phys Med Rehabil. 2003; 84: 51-57. doi: 10.1053/apmr.2003.50062.

 以上の事から、選択肢5.移動時に左側にいる人や物にぶつかる。がCatherine Bergego scale に含まれる内容である。

 

 

 

 

 

 

 

28 Parkinson病においてADLは自立で労働が制限されるときのHoehn&Yahrの重症度分類ステージはどれか。

1.Ⅰ
2.Ⅱ
3.Ⅲ
4.Ⅳ
5.Ⅴ

解答3

解説

Hoehn&Yahrの重症度分類ステージ

0度:パーキンソニズムなし
Ⅰ度:一側性パーキンソニズム。日常生活(労働を含む)に介助を要しない。
Ⅱ度:両側性パーキンソニズム。日常生活(労働を含む)がやや不便であるが制限はされない。
Ⅲ度:軽~中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活(労働を含む)に一部介助(制限)が必要になるが自力での生活可能。
Ⅳ度:高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
Ⅴ度:介助なしにはベッド又は車椅子生活

よって、本症例はADL自立で、労働が制限されているため、選択肢3.Ⅲが正しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

29 筋萎縮性側索硬化症について正しいのはどれか。

1.感覚障害が出現する。
2.筋の繊維束攣縮はない。
3.針筋電図で多相波は出ない。
4.脊髄前角細胞の障害がない。
5.上位運動ニューロンは障害される。

解答5

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.× 感覚障害は見られない。陰性症状である。
2.× 筋の繊維束攣縮はみられる。下位運動ニューロン障害がみられるためである。
3.× 針筋電図で多相波が起こる。他にも中枢潜時の延長、刺激閾値の上昇、誘発電位の振幅低下などが報告されている。
4.× 脊髄前角細胞の障害がある。肉眼的に脊髄前根や前角の萎縮、および前角の変性がみられる。
5.〇 正しい。上位運動ニューロンは障害される。上位運動ニューロン・下位運動ニューロンが同時に障害される。

 

 

 

 

 

 

 

30 心筋梗塞に特徴的な心電図所見で正しいのはどれか。

1.F波の出現
2.P波の増高
3.QRS波の脱落
4.PQ間隔の延長
5.異常Q波の出現

解答5

解説

 心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に【ST上昇→異常Q波→冠性T波】がみられるようになる。よって、選択肢5.異常Q波の出現が正しい。異常Q波は、心筋梗塞発症後2~6時間後からみられ、通常、半永久的に残る。心筋梗塞における特徴的な心電図変化の一つである。

1.× F波の出現は、鋸歯状波(粗動波)のことであり、その名の通り“ぎざぎざの波形”である。心房粗動(AFL)で認める。
2.× P波の増高は右心房系の負荷を示す。
3~4.× QRS波の脱落とPQ間隔の延長は、房室ブロックでみられる。

 

 

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