第53回(H30) 作業療法士国家試験 解説【午後問題21~25】

 

21 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)について正しいのはどれか。

1.障害程度区分が示されている。
2.難病は障害者の範囲に含まれている。
3.在宅介護の対象に精神障害は含まない。
4.実施主体は都道府県に一元化されている。
5.電動車椅子は日常生活用具支給の対象となる。

解答2

解説

1.× 障害程度区分ではなく、障害支援区分である。
2.〇 正しい。難病は障害者の範囲に含まれている。2013(平成25)年4月より、障害者自立支援法は障害者総合支援法へと改正された。これにより障害者の範囲の見直しがされ、新たに難病等が追されて障害者福祉サービスの対象となった。
3.× 在宅介護の対象に精神障害は含まれる。あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
4.× 実施主体は都道府県ではなく市町村に一元化されている。
5.× 電動車椅子は日常生活用具支給ではなく補装具としてのカテゴリーの対象となる。障害者総合支援法により、日常生活用具、補装具が支給される。車椅子は補装具である。

障害者総合支援法のポイント

①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
市区町村が事業の母体である。

 

 

 

 

 

 

 

22 記述統計に用いる手法はどれか。

1.X2検定
2.度数分布
3.分散分析
4.多変量解析
5.Mann-whitneyのU検定

解答2

解説

 標本の各変数について平均値分散を求めたり、度数分布を調べたり、2 変数間の相関関係を示す散布図を描いたりする。相関係数を求めたり、クロス集計表を作成することもこれに含まれる。よって選択肢2.度数分布が正しい。度数とは、実際に得られたデータから「それぞれの階級に何人の人が含まれるか」を表した数であり、度数を表にしたものが度数分布である。

1.× X2検定は、2群の独立性を検定する。割合の違いを求めるノンパラメトリック検定である。
3.× 分散分析(F検定)は、”対応のないt検定”の前に2群の分散が等しいかを検定する。また、3群以上の平均値の差(分散分析)を検定する。つまり、1つまたは複数の因子の異なる水準間における平均値の差を検定する分析である(一元配置分散分析または二元配置分散分析)。また、3群以上の平均値の差の検定にも用いられる(多元配置分散分析)。
4.× 多変量解析は、複数の独立変数からなる多変量データを統計的に扱う手法である。交絡因子(要因と結果の関連に影響を与える因子)の調整方法の一つで、数学的モデリングによって行われる。
5.× Mann-whitneyのU検定は、2群をひとまとめにして順位をつけ、群別の順位の和を使って比較する検定である。つまり、2群の中央値の差を検定するノンパラメトリック検定である。

 

 

 

 

 

 

 

23 上肢の末梢神経障害でみられるのはどれか。

1.Barre徴候
2.Froment徴候
3.Kering徴候
4.Lasegue徴候
5.Romberg徴候

解答2

解説

1.× Barre徴候(バレー徴候)は、錐体路障害による軽微な不全麻痺で現れる。上肢・下肢・手のそれぞれで認められる。
2.〇 正しい。Froment徴候(ホフマン徴候)は、上肢の末梢神経障害(尺骨神経麻痺)でみられる。
3.× Kering徴候(ケルニッヒ徴候)は、髄膜刺激症状の一つである。背臥位で膝・股関節を90°に曲げ、他動的に膝関節を伸展させると、135°以上伸展できないものを陽性とする。
4.× Lasegue徴候(ラセーグ徴候)は、坐骨神経麻痺椎間板ヘルニアの鑑別に用いられる。背臥位で膝関節伸展位のまま股関節屈曲方向へ持ち上げると、股関節屈曲70°以下で疼痛を訴え、それ以上は挙上できないものを陽性とする。
5.× Romberg徴候(ロンベルグ徴候)は、深部感覚障害でみられる。被検者につま先を揃えてまっすぐ立ってもらい、開眼で体の動揺
をみる。次いで、閉眼で体の動揺をみる開眼時にはみられない動揺が、閉眼時にみられれば、Romberg徴候陽性とする。陽性であれば、脊髄後索障害、末梢神経障害、前庭神経系の障害を考える。開眼時・閉眼時ともに動揺がみられる場合は小脳障害を考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

24 作業における段階付けた目標機能の組み合わせで正しいのはどれか。

1.塗り絵の色の多さ―—遂行機能
2.織物の模様の複雑さ——注意機能
3.ビーズの指輪のビーズの大きさ——記憶機能
4.陶芸の粘土の硬さ——手指巧緻性
5.革細工の皮の厚さ——視覚運動協応

解答2

解説

1.× 塗り絵の色の多さは、遂行機能ではなく、選択的な注意機能を必要とする。遂行機能は、目的にかなった行動計画や、目的にかなった行動の実行のことである。
2.〇 正しい。織物の模様の複雑さは、注意機能である。 模様が複雑であればあるほど、作業工程が複雑となり注意機能を必要とする。
3.× ビーズの指輪のビーズの大きさは、記憶機能ではなく、手指の巧緻性視覚運動協応である。ビーズは粒が小さいほど手指の巧緻性を必要とする。
4.× 陶芸の粘土の硬さは、手指巧緻性ではなく、上肢・下肢・体幹筋力の強化である。
5.× 革細工の皮の厚さは、視覚運動協応ではなく、上肢・下肢・体幹筋力の強化である。革の厚さは主に筋力が、革細工の模様の複雑さは主に視覚運動協応を必要とする。

 

 

 

 

 

 

 

25 感覚検査について正しいのはどれか。

1.位置覚検査は手指では側面を把持して行う。
2.温冷覚検査は80℃の温水と0℃の冷水を用いる。
3.触覚検査は触れる時間間隔を一定にする。
4.振動感覚検査は筋腹に音叉をあてる。
5.静的2点識別覚検査は左右の同じ部位に同時に刺激を加える。

解答1

解説

1.〇 正しい。位置覚検査は手指では側面を把持して行う。なぜなら、上下に持つと、指の皮膚に上下方向への触圧覚刺激が感知され、正確な評価ができないためである。。
2.× 温冷覚検査は、0℃の冷覚と50℃の温覚が感じることができれば正常である。これらを感じない場合には、0℃60℃で検査を行い、感じることができれば鈍麻、感じることができなければ脱失と判定する。
3.× 触覚検査は触れる時間間隔を一定すると被験者は予想できてしまう。時折、フェイク(触れていないのに「これは感じませんか?」など)を入れる。したがって、触れる時間間隔は短すぎても長すぎても適切ではないが、特段の定めはない
4.× 振動感覚検査は筋腹ではなく骨突出部に音叉をあてる。具体的な部位として、皮下に骨が容易に触知できる鎖骨胸骨外果などの骨の突出部に音叉を振動させて当てるのが正しい。
5.× 静的2点識別覚検査は左右の同じ部位に同時に刺激を加えることはせず、右手なら右手のみ・左手なら左手のみで検査する。なぜなら、左右同時に行うとどちらが低下しているのか分からないためである。

 

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