第52回(H29) 作業療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

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46 PTSD(外傷後ストレス障害)に関する支援方法として適切なのはどれか。

1. 体験に伴う認知の再構成を促す。
2. 集団の中で体験を語ることを避けさせる。
3. トラウマ体験は想起させないようにする。
4. 巧緻性を必要とする作業を用いて集中を促す。
5. フラッシュバックは短期間で治まる可能性が高いことを説明する。

解答1

解説

 PTSD(外傷後ストレス障害)における心的外傷とは、以下の状態が認められる。
①自分または他人の身体の保全に迫る危険を体験あるいは目撃したこと。
②そのとき、強い恐怖感や無力感を感じたこと。

【症状】
①外傷的な出来事の再現(フラッシュバックや夢など)
②外傷と関連した刺激の持続的回避と全般的反応性の麻痺
③覚醒亢進症状

 PTSD(外傷後ストレス障害)の治療には、認知行動療法グループ療法薬物療法などがある。

1.〇 正しい。体験に伴う認知の再構成を促す。PTSDの支援方法では、外傷体験を安心できる状況で想起させてその恐怖に慣れさせるとともに、出来事の記憶の中には様々な要素があることに気づかせ、世界がすべて危険であるとか自分は無力であると信じる必要はないというように、認知の再構成を促すことが重要である。
2.× 集団の中で体験を語ることを避けさせるのは不適切である。同じような体験をした人と一緒であれば、外傷体験も話しやすい。
くなり、「自分だけが悩んでいるのではない」と前向きにとらえることができるようになる(グループ療法)。
3.× トラウマ体験を想起させないようにするのは不適切である。「一人きりで体験を思い出す」のではなく、治療者やグループでトラウマ体験を回想することで、不安を感じても乗り越えることができる。
4.× 巧緻性を必要とする作業を用いて集中を促すのは不適切である。集中力を高めることは、PTSDの治療とあまり関係がない。
5.× フラッシュバックは短期間で治まる可能性が高いことを説明するのは不適切である。回復には数カ月かかることが多いので、安易に期待感をあおらない。

 

 

 

 

 

 

47 神経性無食欲症患者の入院治療について正しいのはどれか。

1. 活動量は目標体重に達してから増やす。
2. 早期から高カロリーの栄養補給を行う。
3. 全身状態の安定より先に行動療法を行う。
4. 食行動の問題が改善するまで入院は継続する。
5. 入院中に自己誘発性嘔吐がみられたときは退院させる。

解答1

解説

 神経性無食欲症はボディイメージの障害があり、痩せているのに太っていると思い込み、無謀なダイエットを続けて発症することが多い。

1.〇 正しい。活動量は目標体重に達してから増やす。なぜなら、神経性無食欲症は、肥満への恐怖により過活動となるためである。そのため、ボディイメージを修正し、目標体重に達してから活動量を増やすのがよい。
2.× 早期から高カロリーの栄養補給を行うことはしない。まずは経口摂取から開始し、決められた通りに食べれば太らないことを体験してもらうのがよい。高カロリーの栄養補給は、拒食が続いて身体的危機が迫っている段階で開始することが多い。
3.× 全身状態の安定より先に行動療法を行うことは不適切である。全身状態が安定してから行動療法を行う。神経性無食欲症は、時に極度の低栄養状態を呈する場面もあり、身体リスクも大きい。例えば、低体温電解質異常徐脈浮腫などが起こる。そのため、全身状態の安定が優先順位としては高い。
4.× 食行動の問題が改善するまでの入院継続は不適切である。なぜなら、食行動の問題は、日常生活を送る中で少しずつ改善しきていくものである。そのため、完全に食生活の問題が改善しなくても重篤な身体症状や精神症状がなくなれば、外来治療に移行していく。
5.× 入院中に自己誘発性嘔吐がみられたときでも退院させることはしない。入院中に食行動の問題があったとしても、重篤な身体症状や精神症状が持続している場合は入院を継続する。

 

 

 

 

 

48 小児自閉症患者に勧める活動として最も適切なのはどれか。

1. トランポリンで遊ぶ。
2. ままごとで父親役をする。
3. テレビを見ながら宿題をする。
4. 野球のキャッチボールをする。
5. 苦手な感覚を繰り返し受ける。

解答1

解説

小児自閉性障害の特徴
①人間関係の樹立が困難、②意思伝達の障害、③情動的な反復行動

1.〇 正しい。トランポリンで遊ぶ。小児自閉症の作業療法では、リズム感身体感覚を刺激するような遊びや運動、または家事など具体的な生活に関連するものがよい。
2.× ままごとで父親役をするのは不適切である。小児自閉症患者は、いわゆる「ごっこ遊び」を苦手とするので適切でない
3.× テレビを見ながら宿題をするのは不適切である。なぜなら、気が散ってしまうため。
4.× 野球のキャッチボールをするのは不適切である。なぜなら、相手のことを考えて相手の取りやすいボールを投げることが苦手であるため。
5.× 苦手な感覚を繰り返し受けるのは不適切である。なぜなら、感覚過敏があるため。

 

 

 

 

 

 

49 認知症患者の周囲を困らせる行動への対応で最も適切なのはどれか。

1. すぐに制止する。
2. 論理的に説得する。
3. 単独での行動を勧める。
4. 新たな住環境を用意する。
5. 行動のパターンから原因を探る。

解答5

解説

1.× すぐに制止するのは不適切である。すぐに制止せず、著しく危険でなければしばらくは行動を観察して原因を探るようにする。認知症患者もなにか目的があって行動をしている。
2.× 論理的に説得するのは不適切である。なぜなら言葉での説得は難しいためである。探し物であれば一緒に探したり、認知症患者が納得するように促す方がよい。ちなみに、説得とは、「よく話して、わからせること。説き伏せること」をいう。選択肢において、「論理的に説得する」ではなく、「説明する」であればまだ選択の余地はあっただろう。
3.× 単独での行動を勧めるのは不適切である。なぜなら、単独での行動は、他者との交流が減って孤独感を増し、問題行動の深刻化につながるためである。
4.× 新たな住環境を用意するのは不適切である。なぜなら、認知症患者は新しいことを覚えるのが困難であり、環境の変化によって症状の悪化や混乱を招くこと(リロケーションダメージ)もあるため。
5.〇 正しい。行動のパターンから原因を探る。周囲を困らせる行動への対応として、行動のパターンや作業、コミュニケーション、環境整備などを通してから原因目的を探ることは、患者の不安が軽減し症状の改善を目指すことにつながる。

 

 

 

 

 

 

50 患者に手本となる他者の振る舞いを見せて学んでもらう面接技術はどれか。

1. モデリング
2. コーチング
3. シェイピング
4. リフレーミング
5. プロンプティング

解答1

解説

1.〇 正しい。モデリングとは、患者に手本となる他者の振る舞いを見せて学んでもらうことである。良いやり方を具体的に示すその行動を見て模倣し、学習していく方法のことをロールプレイという。
2.× コーチングとは、「単に患者に教える」のではなく、①的確な問いかけを行う、②選択肢を示すこと、により患者が自ら考え、決定し、行動を起こすように支援する技術である。
3.× シェイピングとは、簡単な課題から始めて、褒美を与えながら段階的に最終的な目的に接近していく(最終的な形をつくること:shaping) 方法をいう。
4.× リフレーミングとは、ある枠組み(=フレーム)によってとらえられている物事を、その枠組みを外して新しい枠組み(=リフレーム)で見ると新たな展望が開けてくるといった技法である。たとえば、仕事で失敗したときに「自分はダメだ」と見るか、「次のために良い経験をした」と見るかで、感じ方が変わること。
5.× プロンプティング(促し:pronpting)とは、短い指示や非言語的な手掛かりを示して行動を促す方法である。例えば、子どもが自分で下着を着るように促したいとき、下着を指してジェスチャーし着ること促すことがプロンプティングである。

 

 

51問目からは、理学療法士・作業療法士【共通問題】となります。タイトルが「第53回(H30) 理学療法士国家試験 解説」となっていますが、ご了承ください。

 

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

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