第52回(H29) 理学療法士国家試験 解説【午前問題61~65】

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61 細胞膜電位について誤っているのはどれか。

1. 静止膜電位は負の値である。
2. 活動電位は全か無の法則に従う。
3. 活動電位の発火直後には不応期が存在する。
4. 脱分極で極性が正の部分をオーバーシュートという。
5. カリウムイオンは脱分極のときに細胞外から細胞内に移動する。

解答:5

解説

 一度活動電位が起こると、その後しばらくは次の活動電位を発生するための閾値は上昇する。この期間を不応期といい、大きな刺激電流を受けても興奮しない絶体不応期と、ある程度の刺激電流を与えると興奮する相対不応期とに分けられる。活動電位を発生させる最小の電気刺激の強さを閾値という。また、神経線維では絶体不応期は0.5~1ミリ秒程度である。

 

1.〇 正しい。静止膜電位は負の値(-60 ~ -90mV)である。
2.〇 正しい。活動電位は全か無の法則に従う。全か無の法則とは、神経線維は電気刺激が閾値未満では全く反応しないが、閾値以上では最大かつ同じ大きさの反応を示すこと。
3.〇 正しい。活動電位の発火直後には不応期が存在する。一度活動電位が起こると、その後しばらくは次の活動電位を発生するための閾値は上昇する。この期間を不応期といい、活動電位の発火直後に存在する。
4.〇 正しい。脱分極で極性が正の部分をオーバーシュートという。
5.× 脱分極のときに細胞外から細胞内に移動するのは、「カリウムイオン」ではなくナトリウムイオンである。

 

 

 

 

 

62 運動単位について誤っているのはどれか。

1. 1個の運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を運動単位という。
2. 1つの筋肉は多数の運動単位で構成される。
3. 1個の運動ニューロンが何本の筋線維を支配しているかを神経支配比という。
4. 上腕二頭筋より虫様筋の方が神経支配比は大きい。
5. 最も強い筋収縮は筋のすべての運動単位が同期して活動するときに起こる。

解答:

解説
運動単位とは、1個のα運動ニューロンとそれが支配する筋線維群とを指す。運動単位は、常に活動を共にする一つの機能単位を構成する。

 

1.〇 正しい。1個のα運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を運動単位という。
2.〇 正しい。1つの筋肉は多数の運動単位で構成される。筋によって支配する線維の数は異なる。1つの筋線維につき1個の神経筋接合部が存在する。
3.〇 正しい。1個の運動ニューロンが何本の筋線維を支配しているかを神経支配比という。
4.× 逆である。虫様筋より上腕二頭筋の方が神経支配比は大きい。指の動きなどの精密な働きをする筋ほど1つの運動神神経が支配する筋線維の数は少なく、神経支配比は小さい。
5.〇 正しい。最も強い筋収縮は筋のすべての運動単位が同期して活動するときに起こる。通常、小さな運動単位から活動を開始し、ついで閾値の高い大きな運動単位が順次活動していく。これをサイズの原理と呼ぶ。すべての運動単位が同調して活動すれば(同期化)、最も強い筋収縮が起こる。

 

 

苦手な人向けに、過去問をまとめました。
【PT/共通】骨格筋、筋収縮、運動単位についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

63 腱をたたいて骨格筋を急速に伸ばすと起こる筋単収縮に関与するのはどれか。

1. 筋紡錘
2. Pacini小体
3. Ruffini 終末
4. 自由神経終末
5. Meissner 小体

解答:1

解説

1.〇 正しい。筋紡錘は、腱をたたいて骨格筋を急速に伸ばすと起こる筋単収縮(伸張反射)に関与する。
2~5.✖ 皮膚の感覚受容器には、自由神経終末(痛覚)、メルケル触覚細胞、Meissner小体(マイスネル小体:触覚)、ファーター・Pacini小体(パチニ小体:振動や圧力)、クラウゼ小体、Ruffini終末(ルフィニ小体:皮膚の伸展)がある。それらは、触圧覚や痛覚などを伝える。

深部腱反射とは?

 深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。

 

 

 

 

 

64 健常者の安静時呼吸について正しいのはどれか。

1. 呼吸数は25/分程度である。
2. 呼気時の気道内圧は陽圧である。
3. 呼気時の胸腔内圧は陽圧である。
4. 呼気時に外肋間筋の収縮がみられる。
5. 吸気時に胸鎖乳突筋の収縮がみられる。

解答:2

解説

1.× 安静時の健康な成人の平均的な呼吸数は、「25/分」ではなく、毎分12~20回程度である。
2.〇 正しい。呼気時の気道内圧は陽圧である。呼気時では、横隔膜が弛緩し、胸腔内圧が上昇する。空気を吐き出すので、気道内圧は陽圧である。
3.× 呼気時では横隔膜が弛緩して胸腔内圧が上昇するが、陽圧になることはない。胸腔内圧は安静呼吸時には、-10cmH2O(吸気時)~-3cmH2O(呼気時)程度の陰圧である。
4.× 「呼気時」ではなく、吸気時に外肋間筋と横隔膜の収縮がみられる。外肋間筋の収縮は吸気時にみられる。
5.× 努力呼吸の吸気時に胸鎖乳突筋の収縮がみられる。

 

 

 

 

 

65 血液凝固因子はどれか。

1. アルブミン
2. トロンビン
3. ヘモグロビン
4. プラスミノゲン
5. エリスロポエチン

解答:2

解説

1.× アルブミンは肝臓で合成され、血漿中に最も多く含まれるたんぱく質である。凝固系には関わらない
2.〇 正しい。トロンビンは、血液凝固因子である。プロトロンビン(第Ⅱ因子)は、第Ⅴ、Ⅹ因子による活性化を受けてトロンビン(第Ⅱa因子)が生じる。
3.× ヘモグロビンは、接毛宮中に存在し、酸素を運ぶ機能をもつ。
4.× プラスミノゲンは、血栓など血液の凝固したものを溶解するプロテアーゼであるプラスミンの前駆体タンパク質である。
5.× エリスロポエチンは、赤血球の産生を促進する造血因子である。腎臓で産生されるたんぱく質である。

 

4 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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匿名

64番の選択肢4
呼気時ではなく、「呼気時」に外肋間筋と横隔膜の収縮がみられる。
がおかしいと思います。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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