第52回(H29) 理学療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

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41 腰椎分離症で分離するのはどれか。

1. 横突起
2. 棘突起
3. 椎間板
4. 椎弓
5. 椎体

解答:

解説

 腰椎分離症は、運動に関連して発症することが多く、スポーツをしている子ども(若年~青年)に多い。物理的な負担がかかる行動(ジャンプや腰が回旋する運動)を繰り返すことで、椎弓狭部(関節突起間部)に疲労骨折が生じて、腰椎分離症(骨癒合しないまま偽関節の状態)が引き起こされる。多くは保存的な治療(スポーツ活動中止・装具の使用)で改善がみられる。よって選択肢4.椎弓が正しい。

脊椎分離症・脊椎分離すべり症とは?

脊椎分離症」・・・疲労骨折などにより、椎骨が椎弓の関節突起間部で分離したものをいう。

脊椎分離すべり症」・・・脊椎分離症から、さらに分離した椎体が前方に転位したものをいう。

【特徴】
日本人男性の約8%にみられ、また成長期のスポーツ選手の腰痛の原因の30~40%を占める。L5に好発し、腰部から殿部の痛みと圧痛・叩打痛がみられる。Kempテスト(ケンプテスト)で他動的に体幹を後側屈・回旋させると椎弓根が狭窄され下肢に放散痛が生じる (Kemp徴候)。

【X線45° 斜位像】
椎間関節や椎弓根の狭窄を確認する。脊椎分離(テリアネックサイン)が特徴的である。

【治療】
①若年での発症が多いこと、②症状が腰部に限局し下肢症状がないことから、保存的治療(安静・コルセット装着・消炎鎮痛)が優先になる。重度の障害がある場合に手術が検討される。

 

 

 

 

 

42 Duchenne型筋ジストロフィーについて誤っているのはどれか。

1. 小学校3〜4年では書字動作は保たれる。
2. 小学校高学年ではトイレ動作に介助が必要である。
3. 小学校高学年での歩行消失後は四つ這い生活を積極的に指導する。
4. 小学校高学年から中学校では美術の時間に補助具の工夫が必要である。
5. 中学校から高校ではパソコンの入力装置に工夫が必要である。

解答:3

解説

1.〇 正しい。小学校3〜4年では、書字動作は保たれる。なぜなら、小学校3〜4年では歩行期であり、ステージ3~4と考えられるため。緻密運動は化膿である。
2.〇 正しい。小学校高学年では、トイレ動作に介助が必要である。なぜなら、小学校高学年では車椅子期であり、ステージ5~7と考えられるため。自力でのトイレ動作は困難である。
3.× 小学校高学年での歩行消失後は、四つ這い生活を積極的に指導するのは困難である。「四つ這い生活」ではなく車椅子操作を積極的に指導する。なぜなら、小学校高学年では車椅子期であり、ステージ5~7と考えられ、四つ這い指導はステージ5での理学療法であるため。ステージ6以降では四つ這いは不可能であり、できる範囲での移動動作や姿勢変換動作を用いて、ADL維持に努めることが望ましい。
4.〇 正しい。小学校高学年から中学校では美術の時間に補助具の工夫が必要である。なぜなら、小学校高学年では車椅子期であり、ステージ5~7と考えられ四肢・体幹筋力が低下しているため。
5.〇 正しい。中学校から高校ではパソコンの入力装置に工夫が必要である。なぜなら、中学校から高校では臥床期であり、ステージ5~8と考えられるため。他にも、車いすやコンピューター入力支援、環境改善等の生活援助が必要である。

厚生省「筋萎縮症」対策研究会による障害段階分類

ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立ち上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立ち上がり不能
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助

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43 心不全のない急性心筋梗塞患者の退院後運動指導として適切なのはどれか。

1. 1日10分程度のジョギング
2. 等尺性収縮による筋力増強
3. 心拍数を増加させない運動
4. Borg指数16 レベルの運動
5. 週3日以上の有酸素運動

解答:5

解説

修正Borg指数とは?

修正Borg指数は、自覚的運動強度の指標である。修正Borg指数は、運動したときのきつさを数字と簡単な言葉で表現し、標準化したものである。0~10の数字で表し、0に近づくと楽と感じ、10に近づくときついという解釈になる。4~5が運動の目安となり、7~9が運動の中止基準となる。

1.× 「1日10分程度のジョギング」ではなく、一回が30~60分程度の有酸素運動が望ましい。運動療法は、一回が30~60分程度の有酸素運動が望ましく、時間や頻度は体調を見極めてから行う。Borg指数13レベル(ややきつい)程度で行う。
2.× 「等尺性収縮による筋力増強」ではなく、等張性運動(自動運動・歩行・トレッドミルなど)が望ましい。等尺性運動は、著明に血圧が上昇し心臓に負担がかかるため不適切である。
3.× 「心拍数を増加させない運動」ではなく、安静時心拍を上回る運動が必要である。目標心拍数を予測最高心拍数の60~70%相当とした運動が検討される。
4.× Borg指数「16レベルの運動」ではなく、Borg指数13レベル(ややきつい)程度で行う。Borg指数13レベル(ややきつい)程度の運動が、無酸素性作業閾値(AT)に近いため適している。
5.〇 正しい。週3日以上の有酸素運動が望ましい。週3~5回が望ましい。

 

 

 

 

 

44 白杖を使用している視覚障害者の介助について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 平地歩行時は、介助者の手を把持する。
2. バスに乗るときは、介助者が先に乗る。
3. 階段を下りるときは、介助者が一段先に下りる。
4. 混雑した電車に乗るときは、介助者が後から乗る。
5. 手前に引いて出入りするドアでは、介助者が先に入る。

解答:2,3

解説

視覚障害者の介助をしているときは、介助者が視覚障害者の『杖代わり』になっていることを理解しておく。したがって、バスや階段は、必ず先に介助者が移動する。視覚障害者は、介助者の肩に把持している手で、段差の大きさなど伝わりより安全に移動できる。

 

1.× 平地歩行時は、「介助者の手」ではなく肘・肩を把持する。目の不自由な人を誘導するときは、軽く肘の上を持ってもらう。誘導する人の背が低いときは、軽く肩を持ってもらう。誘導する人は、目の不自由な人の半歩前を歩くようにする。
2.〇 正しい。バスに乗るときは、介助者が先に乗る。
3.〇 正しい。階段を下りるときは、介助者が一段先に下りる。下りる前に「下りの階段です」と一声かける。
4.× 混雑した電車に乗るときは、介助者が「後」ではなくに乗る。半歩後ろにいる視覚障害者は電車とホームの間に足を落としやすいため注意を払う。
5.× 手前に引いて出入りするドアでは、介助者が「先」ではなくに入る。

 

 

 

 

 

45 生活習慣病に含まれないのはどれか。

1. 高血圧症
2. 脂質異常症
3. 糖尿病
4. 脳卒中
5. 肺炎

解答:5

解説

 食習慣が理由で発症する疾患として、糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧症、大腸がん、歯周病などがあげられる。運動不足が原因となる疾患は、糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧症などがあげられる。よって、選択肢5. 肺炎が生活習慣病に含まれない。肺炎は、高齢者では主に免疫力の低下が原因である。

1.× 高血圧症は、食生活や運動習慣、喫煙による生活習慣が関与する。
2.× 脂質異常症は、食生活や運動習慣による生活習慣が関与する。
3.× 糖尿病は、食生活や運動習慣による生活習慣が関与する。
4.× 脳卒中の原因として、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙が関与する。

生活習慣病とは?

生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・伸展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。

 

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