第51回(H28) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題95~100】

 

96 病名と症状の組合せで正しいのはどれか。

1. 前頭側頭型認知症 — 脱抑制
2. 進行性核上性麻痺 — 取り繕い
3. 皮質基底核変性症 — 認知の変動
4. Lewy小体型認知症 — 肢節運動失行
5. Alzheimer型認知症 — 垂直性眼球運動障害

解答1

解説

1.〇 正しい。前頭側頭型認知症は、脱抑制などの特徴的な人格変化や行動異常がみられる。脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のこと。
2.× 進行性核上性麻痺は、大脳基底核および脳幹の変性疾患である。垂直性核上性眼球運動障害(初期には、眼球運動の随意的上下方向運動が遅くなり、ついには下方視ができなくなる。)とパーキンソニズムが中核症状となる。認知症を呈することもあるが、前頭側頭型認知症に近い特徴がみられることが多い。「取り繕い」はAlzheimer型認知症などでみられる。取り繕いとは、記憶障害をその場の雰囲気に合わせてうまく受け答えする反応である。
3.× 皮質基底核変性症は、大脳半球の萎縮と基底核の変性が病態である。錐体外路症状・失行・認知症など多彩な症状を呈する。「認知の変動」は、Lewy小体型認知症の症状である。
4.× Lewy小体型認知症は、認知の変動・鮮やかな幻視・パーキンソニズムなどが特徴的な症状である。「肢節運動失行」は皮質基底核変性症の特徴である。肢節運動失行とは、洋服のボタンを掛ける時や手袋を着用する等の単純な動作、歩行の際の特に歩き出しが拙劣となる症状で、運動拙劣症とも呼ばれる。
5.× Alzheimer型認知症は、認知・記憶が主として障害される。垂直性眼球運動障害(初期には、眼球運動の随意的上下方向運動が遅くなり、ついには下方視ができなくなる。)は、進行性核上性麻痺で認められる。

 

 

 

 

 

97 統合失調症の前駆期にみられるのはどれか。

1. 聴覚過敏
2. 奇異な妄想
3. 滅裂な思考
4. 感情の平板化
5. 緊張病症候群

解答1

解説

 統合失調症の「前駆期」とは、幻聴や妄想などの明らかな統合失調症の症状が出現する前の時期である。前駆期の症状としては、身体症状(睡眠障害・頭重感・倦怠感など)、非特異的な精神症状(不安・抑うつ・集中困難・思考力の低下・知覚過敏など)、軽微な陽性症状(錯覚・奇異な思考など)がみられる。

 

1.〇 正しい。聴覚過敏は、前駆期でみられる。
2.× 奇異な妄想は、急性期である。
3.× 滅裂な思考は、急性期である。
4.× 感情の平板化は、消耗期である。
5.× 緊張病症候群とは、①緊張病性興奮、②緊張病性昏迷、③カタレプシー、④反響言語・動作、⑤常同、⑥しかめ面などの奇異な表情の症状が含まれる。緊張病症候群は、主に緊張型統合失調症にみられる症状の総称である。多くは急性期~消耗期で現れる。

統合失調症の経過

前駆期:身体症状(睡眠障害・頭重感・倦怠感など)、非特異的な精神症状(不安・抑うつ・集中困難・思考力の低下・知覚過敏など)、軽微な陽性症状(錯覚・奇異な思考など)。

急性期:幻覚(幻聴が多い)、妄想、自我障害(させられ体験、思考吹入、思考察知)、自閉、興奮。

消耗期:抑うつ、疲労感、意欲低下、感情の平板化、引きこもり。

回復期:周囲への関心、意欲の増加

 

 

 

 

 

98 笑いなどの強い情動で突然に筋緊張が低下し脱力する。
 このような症状がみられるのはどれか。

1. 欠神てんかん
2. 側頭葉てんかん
3. ナルコレプシー
4. 血管迷走神経失神
5. Jackson型てんかん

解答3

解説

 問題文の「笑いなどの強い情動で突然に筋緊張が低下し脱力する」症状は、情動脱力発作(カタプレキシー)のことである。激しい情動を契機にレム睡眠の時と同様の「筋トーヌスの低下」が起こり、立位が保てずしゃがみ込んでしまう。なかでも喜びや幸福感、愛情といった「陽性の情動」によって引き起こされやすい。

 

1.× 欠神てんかんは、小児期の女児に多くみられるてんかん発作である。特徴は、突然の意識消失数秒後の回復を特徴とし、脳波では3Hz棘徐波複合がみられる。
2.× 側頭葉てんかんは、単純部分発作複雑部分発作、二次性全般化のいずれかが起こる。症例の多くは、複雑部分発作で、30秒~5分の自動症の発作があり、発作中の行動の記憶がない。自動症としては、口部自動症(口をもぐもぐさせる)や行動性自動症(手足を動かしたり、徘徊する)がみられる。
3.〇 正しい。ナルコレプシーとは、日中に突然起こる強い眠気が特徴の脳疾患(睡眠障害)である。怒りや笑いなどの感情が誘因となって起こる情動脱力発作(カタプレキシー)が出現することが多い。入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り(意識はあるが抗重力筋の活動が著しく低下するため動けない)、睡眠の断片化による中途覚醒やリアルな悪夢のためうなされることも多い。
4.× 血管迷走神経失神は、若年者に多く、原因としては注射前後、長時間の直立不動、過度の緊張などがあり、失神前に悪心・ふらつき・発汗を呈する。失神の原因として最も頻度が高い。
5.× Jackson型てんかん(Jackson発作)は、一次運動野(中心前回)に始まったてんかん発作が隣接部位に進展・波及し、手→腕→肩などと痙攣が移動する。

 

 

 

 

 

99 見捨てられ不安を特徴とするのはどれか。

1. 依存性パーソナリティ障害
2. 演技性パーソナリティ障害
3. 回避性パーソナリティ障害
4. 境界性パーソナリティ障害
5. 自己愛性パーソナリティ障害

解答4

解説

 見捨てられ不安とは、親や恋人など自分にとって重要な人物から見捨てられるのではないかという不安をいう。

 

1.× 依存性パーソナリティ障害は、面倒をみてもらいたいという過剰な欲求をもち、分離に対する恐怖をもつ特徴を持つ。
2.× 演技性パーソナリティ障害は、過度な情動性を示し、人の注意をひこうとする特徴を持つ。
3.× 回避性パーソナリティ障害は、否定的評価に対して過敏で、社会的な交流を避けようとする特徴を持つ。
4.〇 正しい。境界性パーソナリティ障害である。境界性パーソナリティ障害は、対人関係(見捨てられ不安)・自己像、および感情の不安定と著しい衝動性を特徴とする。
5.× 自己愛性パーソナリティ障害は、自分が素晴らしいと思い、自己中心的に振る舞うという特徴を持つ。

 

 

 

 

 

100 全般的な知能に大きな低下はなく、文字を読めば分かるが書くことができない。
このような症状がみられるのはどれか。

1. 学習障害
2. 行為障害
3. 広汎性発達障害
4. Tourette症候群
5. 注意欠如・多動性障害

解答1

解説

 問題文の「全般的な知能に大きな低下はなく、文字を読めば分かるが書くことができない」という症状は、「特異的書字障害」に当たる。同じ年齢、同等の知的能力の子どもに期待されるよりも、著しく文字を書くことが困難な障害である。

 

1.〇 正しい。学習障害は、全般的な知能発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算するまたは推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す障害を指す。ただし、学習機会が欠如した場合や知的障害、後天性の脳疾患は除かれる。
2.× 行為障害は、反社会的・攻撃的あるいは反抗的な行動パターンが反復し、持続する障害である。注意欠陥・多動性障害(ADHD)の併存が多い。
3.× 広汎性発達障害は、生後5年以内に明らかとなるコミユニケーションの質的な障害、および限局・常同・反復した関心や活動の幅によって特徴づけされる障害である。例として、小児自閉性障害アスペルガー症候群Rett症候群などが挙げられる。
4.× Tourette症候群(トゥレット障害)とは、複数の運動チック音声チックが同時に存在し、1年以上継続する状態を指す。汚言症がみられることがある。汚言症とは、卑猥語や罵倒語(汚言、醜語、糞語、猥言、猥語)を不随意的に発する症状。
5.× 注意欠如・多動性障害(ADHD)では、不注意多動性衝動性が主要症状である。

 

 

 

※問題の引用:第51回理学療法士国家試験、第51回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

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