第51回(H28) 理学療法士国家試験 解説【午後問題21~25】

 

21 前腕回外の関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)について、正しいのはどれか。

1. 基本肢位は手掌面が水平面にある肢位とする。
2. 参考可動域は手関節屈曲角度と同じである。
3. 最終域で肩関節内旋運動が出現する。
4. 最終域感は骨性である。
5. 基本軸は尺骨とする。

解答2

解説

前腕回外

前腕回外:【参考角度】90°、【基本軸】上腕骨、【移動軸】手指を伸展した手掌面、【測定部位及び注意点】肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。

1.× 基本肢位は、「手掌面が水平面にある肢位」ではなく、水平面に対して手掌面が垂直方向となる肢位とする。
2.〇 正しい。参考可動域は手関節屈曲角度と同じである。どちらも90°である。
3.× 最終域で肩関節「内旋運動」ではなく、外旋運動が出現する。
4.× 最終域感は「骨性」ではなく、靭帯性である。
5.× 基本軸は「尺骨」ではなく、上腕骨である。

正常な最終域感(end feel)

①軟部組織の接近
②筋の伸張感
③関節包・靭帯の伸張
④骨性

覚えなおしたい方はこちら↓

【暗記確認用】ROMのランダム問題

 

 

 

 

 

 

22 Danielsらの徒手筋力テストにおいて座位で筋力3を判定できるのはどれか。2つ選べ。

1. 大胸筋
2. 肩甲下筋
3. 上腕三頭筋
4. 縫工筋
5. 下腿三頭筋

解答3/4

解説

1.× 大胸筋(肩関節水平内転)は、背臥位で行う。
2.× 肩甲下筋(肩関節内旋)は、腹臥位で行う。
3.〇 正しい。上腕三頭筋(肘関節伸展)は、座位で行える。
4.〇 正しい。縫工筋(股関節の屈曲・外転および膝関節屈曲位での外旋)は、座位で行える。
5.× 下腿三頭筋(足関節底屈)は、立位で行う。

 

 

 

 

 

 

23 安静臥床で生じる関節拘縮と部位の組合せで正しいのはどれか。(※不適切問題:解答なし)

1. 外転拘縮 — 肩関節
2. 伸展拘縮 — 手指MP関節
3. 内旋拘縮 — 股関節
4. 伸展拘縮 — 膝関節
5. 背屈拘縮 — 足関節

解答(解答なし:採点除外)
理由:問題文が不明瞭であるため。

解説

1.× 肩関節は、外転拘縮ではなく、内転・内旋拘縮を起こしやすい。
2.× 手指MP関節は、伸展拘縮も起こすこともあるが、一般に屈曲拘縮が起こしやすい。
3.× 股関節は、内旋拘縮ではなく、外旋・屈曲拘縮を起こしやすい。
4.× 膝関節は、伸展拘縮ではなく、屈曲拘縮を起こしやすい。
5.× 足関節は、背屈拘縮ではなく、底屈拘縮を起こしやすい。

 

 

 


 

 

 

24 脳卒中片麻痺の上肢に対するCI療法(constraint-induced movement therapy)で正しいのはどれか。

1. 非麻痺側上肢を拘束する。
2. 理学療法士の近位監視下で行う。
3. 疼痛が少しでもあれば適応とならない。
4. 他動的関節可動域運動を長時間行う方法である。
5. 患側手指がBrunnstrom法ステージⅡで適応となる。

解答1

解説

CI療法とは?

CI療法とは、脳卒中片麻痺上肢に対するリハビリテーションの1つであり、非麻痺側上肢の運動を制限し、麻痺側上肢の運動を誘導しようとする治療法である。脳卒中ガイドラインでも推奨されている。

1.〇 正しい。非麻痺側上肢を拘束する。CI療法とは、脳卒中による片麻痺患者に対して、非麻痺側の動きを制限することで麻痺側の運動を誘導する治療法である。
2.3.× 必ずしも理学療法士の近位監視下で行う必要はない。また、疼痛の有無も問わない。なぜなら、CI療法の適応には、①血圧の安定や認知機能が正常であること、②施設や病院に入所しておらず自宅で生活していること、③麻痺側手関節の随意的伸展が20°以上可能である(母指を含めた3本指のIP/MP関節の随意的伸展が10°以上可能)ことなどが条件であるため(下に、CI療法の適応基準を載せておいたので参考にしてほしい)。
4.× 他動的関節可動域運動を長時間行う方法ではなく、「麻痺側の自動運動を誘導する」方法である。他動的関節可動域運動を長時間行う方法は、CPM(Continuous Passive Motion:持続的他動関節運動装置)があげられる。CPM(Continuous Passive Motion:持続的他動関節運動装置)とは、機械を用いた持続的他動運動である。目的として、股関節や膝関節の手術後に関節可動域の維持・拡大や循環の改善である。したがって、関節可動域の拡大・維持、血行の促進、関節内代謝物の排泄促進などの効果があるとされている。
5.× 適応となる患側手指がBrunnstrom法ステージは、「Ⅱ」ではなくである。なぜなら、CI療法の適応に、麻痺側手関節の随意的伸展が20°以上可能である(母指を含めた3本指のIP/MP関節の随意的伸展が10°以上可能)ことが明記されている。

(※図引用:「CI 療法の理論と実際*兵庫医科大学リハビリテーション医学教室 著:道免和久」より)

 

 

 

 

 

25 SteinbrockerによるステージⅠの肩手症候群に対する理学療法として適切でないのはどれか。

1. 交代浴の実施
2. ホットパックの実施
3. 他動的伸張運動の実施
4. 自己による介助運動の指導
5. 臥床時の上肢ポジショニングの指導

解答3

肩手症候群とは?

肩手症候群は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の1つと考えられており、脳卒中後片麻痺に合併することが多い。他にも骨折や心臓発作などが誘因となる。症状は、肩の灼熱性疼痛と運動制限、腫脹などを来す。それら症状は、自律神経障害によるものであると考えられている。

第1期:症状が強い時期。
第2期:痛みや腫脹が消失し、皮膚や手の萎縮が著明になる時期。
第3期:手指の拘縮と骨粗懸症が著明になる時期の経過をとる。

治療目的は、①疼痛緩和、②拘縮予防・軽減である。
治療は、①星状神経節ブロック、②ステロイド治療、③アームスリング装着を行う。
リハビリは、①温熱療法、②マッサージ、③関節可動域訓練(自動他動運動)、④巧級動作練習を行う。
『脳卒中治療ガイドライン2009』では、「麻痺の疼痛・可動域制限に対し、可動域訓練は推奨される(グレードB:行うよう勧められる)」としている。

解説

 関節リウマチの進行度を示すSteinbrockerのステージⅠは初期にあたり、「X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態」である。本症例は、関節リウマチの関節保護の原則に準じながら、肩手症候群の理学療法を考える。関節保護の原則とは、疼痛を増強するものは避けること、安静と活動のバランスを考慮すること、人的・物的な環境を整備することがあげられる。手を使う諸動作において、手関節や手指への負担が小さくなるように工夫された自助具が求められる。

1.〇 正しい。交代浴を実施する。温冷交代浴は、複合性局所疼痛症候群に含まれる脳卒中による肩手症候群などで主に行われる。温熱・寒冷を繰り返し行うことで、血行促進自律神経への作用を目的に行う。緊張している筋肉や血管を安静化させ、自律神経の異常な興奮を抑制する作用を持つ。
2.〇 正しい。ホットパック(温熱療法)を実施する。リハビリは、①温熱療法、②マッサージ、③関節可動域訓練(自動他動運動)、④巧級動作練習を行う。
『脳卒中治療ガイドライン2009』では、「麻痺の疼痛・可動域制限に対し、可動域訓練は推奨される(グレードB:行うよう勧められる)」としている。
3.× 他動的伸張運動の実施は優先度は低い。なぜなら、関節に負担がかかるため。関節に負荷がかからない範囲で、愛護的な自己介助運動を行うと良い。そのため、選択肢4.自己による介助運動の指導は正しい。
5.〇 正しい。臥床時の上肢ポジショニングを指導する。なぜなら、亜脱臼の予防・疼痛緩和・浮腫の軽減につながるため。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

 

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