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次の文により6、7の問いに答えよ。
10歳の男児。痙直型四肢麻痺の脳性麻痺。頭部保持は可能で、手で支持すれば座位が可能。わずかな距離は寝返りで移動する。電動車椅子を練習中である。
6 この児のGMFCS(gross motor function classification system)のレベルはどれか。
1.レベルⅠ
2.レベルⅡ
3.レベルⅢ
4.レベルⅣ
5.レベルⅤ
解答4
解説
本症例は、わずかな距離は寝返りで移動する。したがって、選択肢4.レベルⅣ:制限を伴って自力移動、電動の移動手段を用いてもよいが正しい。
レベルⅠ:制限なしに歩く。
レベルⅡ:制限を伴って歩く。
レベルⅢ:歩行補助具を使用して歩く。
レベルⅣ:制限を伴って自力移動、電動の移動手段を用いてもよい。
レベルⅤ:自力移動が非常に制限される、手動車椅子によって搬送される。
苦手な方向けにまとめました↓
次の文により6、7の問いに答えよ。
10歳の男児。痙直型四肢麻痺の脳性麻痺。頭部保持は可能で、手で支持すれば座位が可能。わずかな距離は寝返りで移動する。電動車椅子を練習中である。
7 この児が机上で道具の操作を練習する際に、上肢を効果的に使用するための姿勢として最も難易度が高いのはどれか。
1.座位保持装置使用の座位
2.身体前面を支えた膝立ち位
3.立位台を使用した立位
4.床上での長座位
5.床上での割り座
解答4
解説
痙直型四肢麻痺は大脳の広範囲の障害によって主動筋と拮抗筋が同時に作用し続ける。主動筋、拮抗筋の相反性抑制が起き、筋の機能不全がみられる。下肢に関しては両麻痺と同様の変形(両側股関節内転・内旋、尖足)をきたすことが多い。作業療法では、緊張性迷路反射の影響を除いて上肢機能改善をはかるためには、頚部・体幹を垂直(抗重力位)かやや前傾を保持する。本症例は、頭部保持は可能で、手で支持すれば座位が可能である。
1.× 座位保持装置使用の座位は、選択肢の中で難易度は低い。なぜなら、下肢のはさみ足の防止、前(胸)方には机があり、後(背)方には背もたれがあり、上肢を効率的に働かせることが可能であるため。
2.× 身体前面を支えた膝立ち位は、選択肢の中で難易度は低い。なぜなら、膝立ち位ではあるものの、前(胸)方は机にもたれ支えており、介助者が腹部と骨盤を支えているため。
3.× 立位台を使用した立位は、選択肢の中で難易度は低い。なぜなら、両足底を接地させ、下肢・体幹をやや前傾に腰部まで固定しているため。したがって、緊張性迷路反射の影響や尖足の防止ともなり、安定した姿勢を保つことが
4.〇 正しい。床上での長座位は、選択肢の中で難易度は高い。なぜなら、長座位で背もたれもなく、骨盤後傾位、下肢の伸筋群優位となるため。また、はさみ足の抑制もされていない。不良肢位が助長されており、また、重心が後
5.× 床上での割り座は、選択肢の中で難易度は低い。痙直型四肢麻痺児にとって、割り座(股関節屈曲・内転・内旋をとる)は
苦手な方向けにまとめました。
8 図に示すスプリントが適応となる疾患はどれか。
1.頸肩腕症候群
2.肘部管症候群
3.回外筋症候群
4.手根管症候群
5.円回内筋症候群
解答2
解説
図に示されているのは、虫様筋カフでMP関節の過伸展を防止する装具である。つまり、尺骨神経麻痺に対する装具である。したがって、選択肢2.肘部管症候群が正しい。肘部管症候群とは、肘の内側を通る尺骨神経が圧迫され、小指・薬指がしびれたり、手が使いにくくなる病気である。
1.× 頸肩腕症候群は、頸椎とその付属組織系の障害により頚・肩・腕などに疼痛、しびれ、感覚異常を呈する疾患の総称である。具体的には変形性頸椎症、頚椎椎間板ヘルニアなどが含まれる。通常40歳以上でみられる。しかし、狭義の頚肩腕症候群では病因が確定できないものをいう。現在、パソコン症候群とよばれる一連の症状も該当する。
3.× 回外筋症候群は、橈骨神経麻痺が生じやすい。
4.× 手根管症候群は、正中神経麻痺が生じやすい。
5.× 円回内筋症候群は、正中神経麻痺が生じやすい。
9 57歳の男性。視床出血後に表在感覚と深部感覚との障害を認める。運動麻痺は認めない。
この患者に行う知覚再教育で誤っているのはどれか。
1.開眼で代償させる。
2.運動や動作は可能な限りゆっくり行う。
3.15分程度の知覚再教育を一日に数回行う。
4.識別素材を固定し、患側手を動かして識別させる。
5.書字の際に、筆記具と手との接触箇所で筆記具の特徴を感じさせる。
解答1
解説
視床出血は、被殻出血と並んで頻度の高い脳出血である。脳出血全体の30%程度を占めている。そもそも視床は、感覚路の中継点(対側の四肢体幹および顔面の知覚を中継)である。したがって、麻痺に比べ、感覚障害が強くなる。
1.× 開眼で代償させることは、知覚再教育で誤っている。視覚情報で代償することは、機能の回復に見切りをつけてしまうことにもなり、知覚再教育の観点からも外れてしまうため。
2~5.〇 正しい。運動や動作は可能な限りゆっくり行う。/15分程度の知覚再教育を一日に数回行う。/識別素材を固定し、患側手を動かして識別させる。/書字の際に、筆記具と手との接触箇所で筆記具の特徴を感じさせるように心がける。作業療法の知覚再教育の初期段階では、触れている物体を目で見て認識し、その感覚や触れている部位(第何指かなど)を開眼および閉眼で感じ取る訓練を行うことがある。
知覚再教育では、過誤神経支配に対する局在の修正と物体の識別、知覚-運動学習を行う。知覚再教育を実施する際には、触覚閾値、局在能、支配密度を調べ、末梢神経の回復を予測しながら実施する。知覚再教育の効果は、より高いレベルの知覚機能を、より短時間に獲得できることである。
10 装具の適応で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.橈骨神経麻痺
2.尺骨神経麻痺
3.脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)
4.上腕骨顆上骨折
5.腱板断裂術後
解答1/5
解説
1.〇 正しい。橈骨神経麻痺高位型(下垂手)に適応となる。図は、コックアップスプリントである。ほかにも、中枢性弛緩性麻痺の拘縮予防に用いられる。
2.× 「尺骨神経麻痺」ではなく、正中神経高位麻痺用(母指対立が困難)に適応となる装具である。ちなみに、図は、Rancho型(ランチョ型)長対立装具である。
3.× 「脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)」ではなく、脊髄損傷(第6頚髄節まで機能残存)に適応となる手関節背屈によりピンチ動作を可能にする装具である。ちなみに、図は、Engen型(エンゲン型)把持装具(手関節駆動式把持スプリント)である。
4.× 「上腕骨顆上骨折」ではなく、上腕骨骨幹部骨折に用いる装具(上腕骨の支持性が低下)である。ちなみに、図は、上腕ファンクショナルブレース(Functional brace)である。
5.〇 正しい。腱板断裂術後に適応となる。図は、肩関節外転装具である。また、ほかにも肩内転に制限が必要な腱板断裂の術後、腕神経叢麻痺、肩関節部骨折などに対して適応がある。