第50回(H27) 理学療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

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31 胸郭出口症候群に最も関与するのはどれか。

1. 胸骨
2. 胸鎖乳突筋
3. 肩甲骨
4. 前斜角筋
5. 大胸筋

解答4

解説

 胸郭出口は、鎖骨第1肋骨前・中斜角筋で構成される。よって、選択肢4.前斜角筋が胸郭出口症候群に最も関与するため正しい。

1~3.5.× 胸骨/胸鎖乳突筋/肩甲骨/大胸筋/は、胸郭出口を形成せず胸郭出口症候群に関与しない。

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【共通のみ】筋の作るくぼみや溝、走行についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

32 股関節に屈曲拘縮がある場合に陽性を示すのはどれか。

1. Bragardテスト
2. Buergerテスト
3. Lachmanテスト
4. McMurrayテスト
5. Thomasテスト

解答5

解説

1.× Bragardテスト(ブラガーテスト)は、椎間板ヘルニアの検査である。
2.× Buergerテスト(バージャーテスト)は、下肢の循環異常の検査である。被検者は背臥位にて、検査者は被検者の検査側の足首を持つ。下肢を45°挙上し、その肢位で1~2分間保持する。その後、被験者に座位をとってもらい、下腿を下垂してもらい、足全体が元の血色に戻るまでの時間を測定する。下垂した足が1分以上たっても元の血色に戻らないと陽性と判断する。
3.× Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、前十字靭帯損傷の検査である。
4.× McMurrayテスト(マックマリーテスト)は、半月板損傷の検査である。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
5.〇 正しい。Thomasテスト(トーマステスト)は、股関節屈筋群の拘縮の検査である。

 

 

 

 

 

33 上腕骨骨折について正しいのはどれか。

1. 顆上骨折は高齢者に多い。
2. 近位部骨折は小児に多い。
3. 近位部骨折では外転位固定を行う。
4. 骨幹部骨折では骨壊死が起こりやすい。
5. 骨幹部骨折では橈骨神経麻痺が起こりやすい。

解答5

解説

1.× 顆上骨折は、「高齢者」ではなく小児に多い。
2.× 近位部(外科頚)骨折は、「小児」ではなく高齢者に多い。
3.× 近位部(外科頚)骨折は、「外転位固定」ではなく内転位固定を行う。なぜなら、外転位で行うと変形治癒しやすいため。
4.× 骨幹部骨折では骨壊死が起こりにくい。なぜなら、骨幹部は血流が豊富なため。
5.〇 正しい。骨幹部骨折では橈骨神経麻痺が起こりやすい。なぜなら、橈骨神経麻痺が上腕骨骨幹部に沿って走行しているため。

 

 

 

 

34 極超短波による物理療法で正しいのはどれか。

1. 蓄熱による熱傷の可能性がある。
2. ホットパックより深達度は浅い。
3. 悪性新生物に対する治療効果がある。
4. 金属プレート挿入部への照射は可能である。
5. 閉塞性動脈硬化症の患肢への照射は効果的である。

解答1

解説

 極超短波療法(マイクロ波)とは、深部温熱療法である。2450MHzの電磁波を利用し、エネルギーの半価層(エネルギーが半減する深度)は、3~4cm、筋の加温に有効である。

1.〇 正しい。蓄熱による熱傷の可能性がある。なぜなら、水分を多く含む組織はエネルギーを吸収しやすく、金属への熱の収束が大きいため。
2.× ホットパックより深達度は、「浅い」のではなく深い。なぜなら、深さ3~5cmまでの皮膚・脂肪・筋に吸収され熱エネルギーに変換されるため。極超短波療法(マイクロ波)は、深部温熱療法に分類され、ホットパックは、表在温熱療法に分類される。
3.× 悪性新生物に対する治療効果はない。むしろ、悪性腫脹への照射は、腫瘍を活性化させるため禁忌である。
4.× 金属プレート挿入部への照射は禁忌である。なぜなら、金属への照射は熱傷のおそれがあるため。
5.× 閉塞性動脈硬化症の患肢への照射は禁忌である。なぜなら、循環不全で放熱不十分となるため。

極超短波療法(マイクロ波)の禁忌

①温熱療法一般の禁忌(急性炎症部位、悪性腫瘍、出血傾向、知覚麻痺)
②金属部位への照射(衣服、装飾品、体内金属含む)
③心臓ペースメーカー使用者
④眼球、男性生殖器、妊婦の腹部
⑤小児の骨端線

 

 

 

 

 

35 大腿義足の膝継手におけるイールディング機構の機能で正しいのはどれか。

1. 立脚相での膝折れの防止
2. 立脚相での膝過伸展の防止
3. 遊脚相での膝伸展の補助
4. 遊脚相での膝屈曲の補助
5. 遊脚相での膝過屈曲の防止

解答1

解説

 立脚相での安定性を高める機構として、①バウンシング(立脚初期での衝撃吸収)と②イールディング(膝折れの防止)がある。①バウンシング(立脚初期での衝撃吸収)は、継手に二重膝作用をもたせ、立脚相初期に膝継手を軽度屈曲させ、かつ一定の角度以上には屈曲しない機構である。②イールディング(膝折れの防止)は、荷重すると、油圧の力でロックしながらゆっくり屈曲する機構である。つまり、選択肢1.立脚相での膝折れの防止が正しい。

 

2~5.× 立脚相での膝過伸展の防止/遊脚相での膝伸展の補助/遊脚相での膝屈曲の補助/遊脚相での膝過屈曲の防止/は、イールディング(膝折れの防止)の説明ではない。

 

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