第50回(H27) 理学療法士国家試験 解説【午後問題16~20】

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16 44歳の患者。Ⅱ度の熱傷がある部位を図に示す。
 受傷後3日目に保持すべき肢位で正しいのはどれか。


1. 頸部中間位
2. 肩関節外転位
3. 右前腕回内位
4. 体幹軽度屈曲位
5. 股関節軽度屈曲位

解答2

解説

熱傷の分類

Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。

1.× 頸部中間位ではなく、軽度伸展位とする。
2.〇 正しい。肩関節は外転位である。なぜなら、肩関節内転拘縮になりやすいため。
3.× 右前腕回内位ではなく、回外位とする。
4.× 体幹軽度屈曲位ではなく、軽度伸展位とする。
5.× 股関節軽度屈曲位ではなく、右股関節は伸展位とする。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【PT/OT/共通】熱傷についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

17 65歳の男性。右片麻痺。病棟では、ベッドから車椅子への移乗は介助者に腰を軽く引き上げてもらい、車椅子からベッドへの移乗は介助者に腰を持ち上げて回してもらう。
 移乗動作のFIMの点数はどれか。

1. 5点
2. 4点
3. 3点
4. 2点
5. 1点

解答4

解説

本症例のポイント

・65歳の男性(右片麻痺)
【病棟での移乗】
①ベッドから車椅子への移乗:介助者に腰を軽く引き上げてもらう(3点)。
②車椅子からベッドへの移乗:介助者に腰を持ち上げて回してもらう2点)。
→移乗の評価について、①往復で点数が異なる場合は、低い方で採点する。②立って移乗する場合は、立ち上がり動作も評価対象とする。③ベッドからの起き上がり動作も比重は少ないが評価対象とする。ちなみに、「車椅子の位置を直す」「車椅子のフットレストを上げたりやブレーキをする」「スランディングボードを設置する」は、移乗の準備として評価するため、5点と点数付けする。

1.× 5点(監視・準備)は、患者に触れないでできる場合である。ちなみに、「車椅子の位置を直す」「車椅子のフットレストを上げたりやブレーキをする」「スランディングボードを設置する」は、移乗の準備として評価するため、5点と点数付けする。
2.× 4点(最小介助)は、介助者が手添え程度に触れている場合である。
3.× 3点(中等度介助)は、車椅子からベッド、またベッドから車椅子への移乗の際に、介助者が軽く引き上げる場合である。
4.〇 正しい。2点(最大介助)は、車椅子からベッドへの移乗の際に、介助者にしっかり腰を持ち上げて回してもらう場合である。本症例は、腰を持ち上げて回してもらう介助をしてもらっており、低い方の採点となるため2点となる。
5.× 1点は、全介助二人介助の場合である。

類似問題です↓
【PT専門のみ】FIMについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

18 75歳の男性。脳卒中による左片麻痺。発症後6か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢、下肢ともにⅢ。AFOとT字杖で屋内歩行は自立している。自宅浴室の現状の見取り図と環境整備案とを図に示す。
 環境整備案のうち最も必要性が低いのはどれか。


1. ①バスボードの利用
2. ②手すりの設置
3. ③折り戸への変更
4. ④段差の解消
5. ⑤シャワーチェアの利用

解答2

解説

本症例のポイント

・75歳男性(脳卒中による左片麻痺)
・発症後6か月経過。
・Brs:上肢Ⅲ(座位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展)、下肢Ⅲ(座位、立位での股・膝・足の同時屈曲)。
・屋内歩行:AFOとT字杖で自立。

1.〇 ①バスボードを利用する。バスボードは取り外し可能である。浴槽は非麻痺側から入ることが一般的で、図の①の位置は浴槽から上がるときに、浴槽へ入るときは逆側にバスボードを設置することも可能である。
2.× ②手すりの設置の場所が、ほかの選択肢と比較すると必要性が低い。なぜなら、本症例は左片麻痺(Brs上肢・下肢ともにⅢ)であるため。脱衣室から浴室へ入るときも麻痺側にあれば使用することができない。横手すりは移動するために用いる。ちなみに、各手すりの働きは、①縦手すり(出入り口の動作安定などのその場での動作に使用)、②横手すり(移動や座位安定に機能する)、③L字手すり(縦・横手すりの機能を持つ。座位からの立ち上がりに機能する)である。
3.〇 ③折り戸へ変更する。開き戸より、引き戸折り戸の方が開閉動作がしやすく望ましい。
4.〇 ④段差の解消をする。なぜなら、本症例は、屋内歩行はAFOとT字杖で自立であるが、入浴時はそれら歩行補助具はなく転倒の危険性が考えられるため。
5.〇 ⑤シャワーチェアを利用する。シャワーチェアは、立ち座りや姿勢保持の改善により、転倒の防止安全の確保が可能である。

 

 

 

 

 

19 てこを図に示す。Aを支点とした棒のB点から60kg重の錘を糸で垂らした。
 棒を水平に支えるためにC点にかかる力F(N)はどれか。
 ただし、1Nを100g重とし、棒と糸の質量は無視できるものとする。


1. 60N
2. 80N
3. 90N
4. 100N
5. 120N

解答4

解説

100g重が1Nと本文に記載してあるため、60kg重は600Nである。

AB間の距離:3cm
AC間の距離=(3 + 15 = 18cm)

つまり、釣り合いの式

600(N) × 3(cm) = F(N) × 18 (cm)

となる。

よって、

F(N) = 600 × 3 ÷ 18

   =100(N)となる。

選択肢4. 100Nが正しい。

てこの種類

第1:作用点と力点の間に支点
【利点】比較的安定感がある。
例:シーソー、ハサミ(上腕三頭筋による肘関節伸展)

第2:支点と力点の間に作用点
【利点】小さい力で大きな回転力を生む。
例:栓抜き、ボートのオール(下腿三頭筋による足関節底屈)

第3:支点と作用点の間に力点
【利点】運動の速さに有利だが大きな力が必要。
例:ピンセット、トング(上腕二頭筋による肘関節屈曲)

 

 

 

 

 

20 75歳の女性。左変形性膝関節症。翌日に左側の人工関節置換術を施行予定のため、術前の理学療法評価を実施した。術前評価を終了した際に患者は「明日の手術が心配です」と訴えた。
 理学療法士の対応として適切なのはどれか。

1. 「手術をやめたいということですか」
2. 「つらいのは1週間くらいなので、大丈夫ですよ」
3. 「手術を頑張れば、膝関節の伸びがよくなりますよ」
4. 「手術をすれば、今より楽に歩けるようになりますよ」
5. 「手術を明日に控えて、いろいろと心配になりますよね」

解答5

解説

1.× 「手術をやめたいということですか」=「明日の手術が心配です」とはならない。理学療法士が一方的な解釈をするべきではない。
2~4.× 「つらいのは1週間くらいなので、大丈夫ですよ」「手術を頑張れば、膝関節の伸びがよくなりますよ」「手術をすれば、今より楽に歩けるようになりますよ」は、その根拠保証はないためするべきではない。
5.〇 正しい。「手術を明日に控えて、いろいろと心配になりますよね」は理学療法士の対応としてもっとも優先度が高い。なぜなら、不安を抱えた患者への共感的態度を示せているため。

 

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