第50回(H27) 理学療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

 

※問題の引用:第50回理学療法士国家試験、第50回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

 

1 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2 つ選べ。


1. 肩水平伸展
2. 肩外旋
3. 手伸展
4. 母指尺側内転
5. 小指外転

解答4/5

解説

1.× 肩水平伸展は、【基本軸】肩峰通る床への矢状面への垂直線、【移動軸】上腕骨、【測定部位及び注意点】肩関節を90°外転位である。図の基本軸が、肩峰を通る前額面の垂直線(肩関節水平屈曲90°)となっているため不適切である。
2.× 肩外旋は、【基本軸】肘を通る前額面への垂直線、【移動軸】尺骨、【測定部位及び注意点】上腕を体幹に接して、肘関節を前方90°に屈曲した肢位で行う。また、前腕は中間位とする。図は、前腕回外位となっているため不適切である。
3.× 手伸展は、【基本軸】橈骨、【移動軸】第二中手骨、【測定部位及び注意点】前腕は中間位である。図は尺側から測定しているため不適切である。
4.〇 正しい。母指尺側内転は、【基本軸】示指(橈骨の延長上)、【移動軸】母指である。
5.〇 正しい。小指外転は、【基本軸】第3中手骨延長線、【移動軸】第2,4,5指軸、【測定部位及び注意点】中指の運動は橈側外転、尺側外転とする。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記確認用】ROMのランダム問題

 

 

 

 

 

2 Danielsらの徒手筋力テストにおける開始肢位を図に示す。
 段階3の検査の対象として適切でないのはどれか。


1. 腸腰筋
2. 縫工筋
3. 前脛骨筋
4. 大腿四頭筋
5. 股関節内旋筋群

解答4

解説

 体幹前傾した座位でも問題なく測定できる検査項目を選択する。言い換えると「体幹後傾位で指定されている検査=膝関節伸展検査」を選択する。

1.× 腸腰筋(股関節屈曲)は、体幹前傾した座位(段階3~5)でも問題なく測定できる。
2.× 縫工筋(股関節屈曲、外転および膝関節屈曲位での外旋)は、体幹前傾した座位(段階3~5)でも問題なく測定できる。
3.△ 厚生労働省の答えは4であるが、3も微妙なところである。なぜなら、前脛骨筋(足関節背屈と内返し)の検査の開始肢位は、被験者の腫を検査者の大腿の上に載せた肢位となっているため。
4.〇 正しい。大腿四頭筋(膝関節伸展)は、体幹を後ろに傾けた方が良い。なぜなら、体幹を後ろに傾けることにより膝屈筋群の緊張が緩み、最大筋力を測定しやすくなるため。
5.× 股関節内旋筋群(股関節内旋:小殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋)は、体幹前傾した座位(段階3~5)でも問題なく測定できる。

 

 

 

 

 

3 Danielsらの徒手筋力テストで、段階2の測定肢位で正しいのはどれか。2つ選べ。


1. 小殿筋
2. 縫工筋
3. 腸腰筋
4. 後脛骨筋
5. ハムストリングス

解答2/5

解説

1.× 小殿筋(股関節外転・股関節内旋)は、背臥位にて行う。図は、大腿筋膜張筋の検査である。
2.〇 正しい。縫工筋(股関節屈曲、外転および膝関節屈曲位での外旋)は、図のように背臥位にて行う。
3.× 腸腰筋(股関節屈曲)は、除重力の状態にした側臥位で行う。図は、大腿筋膜張筋の検査である。
4.× 後脛骨筋(足関節内返し)は、座位で行う。図は、背臥位であるため不適切である。
5.〇 正しい。ハムストリングス(膝関節屈曲)は、図のように除重力の状態にした側臥位で行う。

 

 

 

 

 

4 Danielsらの徒手筋力テストの結果を表に示す。
 考えられる疾患はどれか。


1. 被殻出血
2. Bell麻痺
3. 重症筋無力症
4. Ramsay Hunt症候群
5. 筋強直性ジストロフィー

解答1

解説

本症例のポイント

①右の顔面筋(口角挙筋、口輪筋、鼻筋)は障害されていない。
②両側とも眼輪筋と前頭筋は障害されていない。
片側性で中枢性の顔面神経麻痺が疑われる。
(末梢性麻痺の場合、対側支配の補正もなくなり上顔面筋の麻痺もみられる。)
上顔面筋は対側支配である。

1.〇 正しい。被殻出血は片側性で中枢性の顔面神経麻痺が生じる。
2.4.× Bell麻痺/Ramsay Hunt症候群(ラムゼイ・ハント症候群:耳性帯状疱疹)は、末梢性顔面神経麻痺のため、障害側の眼輪筋と前頭筋の障害が生じる。
3.5.× 重症筋無力症/筋強直性ジストロフィーは、両側に表情筋の障害がみられる。重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。

Ramsay Hunt症候群(耳性帯状疱疹)

膝神経節付近に潜伏感染していた水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因と考えられている。

【3主徴】
①一側の耳介外耳道の疱疹
②同側の顔面神経麻痺
③第Ⅷ脳神経症状(めまい・感音難聴)

 

 

 

 

 

5 55歳の男性。突然のめまいを自覚し、歩行困難を呈したため搬送された。頭部MRIのT1強調像を下図に示す。
 みられる所見はどれか。


1. JCSⅢ-100
2. 左顔面の痛覚低下
3. 左上肢の小脳失調
4. 右上肢の運動麻痺
5. 左下肢の深部感覚低下

解答5

解説

 

(※橋上部の断面図:標準理学療法学・作業療法学専門,基礎分野,解剖学,第3版,P328)

本症例のポイント

画像は、橋レベルのスライスである。障害部位は、内側毛帯付近である。

1.× JCSⅢ-100は、橋の被蓋側(網様体)が障害された場合に起こる。本症例の場合、内側毛帯付近が障害されている。そのため選択肢の中から優先度が高い方を選ぶ。
2.× 左顔面の痛覚低下は、Wallenberg症候群(延髄外側症候群)で起こる。
3.× 左上肢の小脳失調は、生じない。上小脳脚の障害で上肢(障害側)に生じる。
4.× 錐体路交叉より上の病変なので、右上肢ではなく左上肢優位に運動麻痺が生じる。
5.〇 正しい。内側毛帯が障害されているため左下肢の深部感覚低下が生じる。内側毛帯は意識型深部感覚である。一般の体性感覚と同様に3個のニューロン連鎖で伝えられ、識別力のある触覚と同じ、伝導路を上行する。すなわち、1次ニューロンは後根を経て脊髄に入り、後索を上行する長後索路をつくる。延髄の後索核で、2次ニューロンとなり、交叉して内側毛帯となり視床に至る。次いで、3次ニューロンが視床から大脳皮質(感覚野)に達する。頭部の深部感覚は、三叉神経などの脳神経を経て小脳に伝えられるといわれるが、明らかでない点も多い。

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)とは?

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。

(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)

 

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