第49回(H26) 作業療法士国家試験 解説【午前問題36~40】

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36 Parkinson病患者の肩関節可動域拡大を目的とした作業活動として正しいのはどれか。

1.折り紙
2.木彫の浮彫り
3.ろくろで茶碗作り
4.革細工のレースかがり
5.タイルモザイクのタイル割り

解答4※
※備考:当時採点除外など取り扱いをすることが望ましいと意見された。

解説
 Parkinson病患者は、脊柱が屈曲しやすく、肩甲骨外転位、肩関節内転位になりやすい。そのため、作業療法では、手元で行う巧緻動作よりも体幹の屈伸・回旋や、肩屈曲・外転方向に大きく動かせるような粗大運動を取り入れる。

1~3.× 折り紙/木彫の浮彫り/は、巧緻動作であり、かつ、同一姿勢を伴うので不適切である。Parkinson病患者の肩関節可動域拡大を目的とした作業療法を提供する場合には、粗大運動で体幹の回旋を含み、かつ長時間同じ姿勢をとり続けないように行うのが望ましい。
3.× ろくろで茶碗作りは、手指の巧緻性や上肢の協調性向上を目的としている。
4.〇 正しい。企図振戦でないため、レースかがりの作業は、「不可能」ではなく、通したレース(革ひも)を引く工程において、肩関節外転・伸展(水平伸展)などの運動要素によって肩関節可動域拡大が可能である。
5.× タイル割りは、タイルニッパーなどを使用し、手指把握力や上肢筋力向上を期待している。

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37 転倒リスクのある高齢者に対する階段の環境整備について正しいのはどれか。

1.踏み面は柔らかい材質を用いる。
2.踏み面の奥行きは200mm以内とする。
3.手すりは大転子よりも低い位置にする。
4.段鼻と踏み面にコントラストをつける。
5.手すりの太さは直径20mm以内とする。

解答4

解説
1.× 踏み面は、「柔らかい材質」ではなく固い材質を用いる。なぜなら、柔らかい材質を用いると、足をとられやすくなり、転倒のリスクが高まるため。
2.× 踏み面の奥行きは、「200mm以内」ではなく、300~330mmが好ましい。なぜなら、踏み面の奥行きが200mm以内では狭すぎであり、足底がしっかりと接地できず安定しないため。
3.× 一般的に手すりの高さは、大転子レベル(750~800mm)と同じ高さ程度に設置する。
4.〇 正しい。段鼻と踏み面にコントラストをつける。なぜなら、コントラストをつけることで踏み面と段鼻との境が認識しやすくなり、段を踏み外すリスクが低くなるため。ちなみに、コントラスト(contrast)とは、直訳にて対比のことである。 対比される内容は、明度(明るい・暗い)・彩度(鮮やかさ)などがあり、画像やイラストの内容などの対比もコントラストという場合がある。
5.× 手すりの太さは、「直径20mm以内」ではなく直径30~40mm程度が好ましい。

 

 

 

 

 

38 介護保険で貸与の対象となる福祉用具はどれか。2つ選べ。

1.歩行器
2.移乗用吊り具
3.シャワー椅子
4.ベッド用手すり
5.ポータブルトイレ

解答1/4

解説
 介護保険制度を利用して福祉用具を使用する際には、原則レンタル支給となる。しかし、再利用の心理的な抵抗感が大きいものや、使用とともに形態・品質が変化するものは、特定福祉用具として厚生労働省に指定されており、販売対象になる。特定福祉用具は基本的に、排泄、入浴のための福祉用具と、移乗用リフトの吊り具である。

1,4.〇 正しい。歩行器/ベッド用手すりは、介護保険で貸与の対象となる福祉用具である。
2,3,5.× 移乗用吊り具/シャワー椅子/ポータブルトイレは、特定福祉用具として購入の対象である。

貸与の対象

①車椅子
②車椅子付属品
③特殊寝台
④特殊寝台付属品
⑤床ずれ防止用具
⑥体位変換器
⑦手すり
⑧スロープ
⑨歩行器
⑩歩行補助杖
⑪認知症老人徘徊感知機器
⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)
⑬自動排泄処理装置

購入の対象

①腰掛け便座
②自動排泄処理装置の交換可能部分
③入浴補助用具
④簡易浴槽
⑤移動用リフトの吊り具の部分

 

 

 

 

 

 

39 評価基準の一部を表に示す。
 表に示した精神障害者対象の評価尺度はどれか。

1.GAF(機能の全体的評定尺度)
2.COPM(カナダ作業遂行測定)
3.LASMI(精神障害者社会生活評価尺度)
4.Rehab(精神科リハビリテーション行動評価尺度)
5.SF-36(the MOS36-item short-form health survey)

解答1

解説
1.〇 正しい。GAF(機能の全体的評定尺度)は、①心理、②社会、③職業的機能について0~100の数字で評価する方法である。評価は、過去1週間の最低レベルを評点する。
2.× COPM(カナダ作業遂行測定)は、作業に関する患者自身の主観的満足度を10段階で評価する。セルフケア、仕事、レジャーの領域での活動について、対象者自身が対象とする作業を選択し、それらの活動の①重要度、②進行度、③満足度を評価する。
3.× LASMI(精神障害者社会生活評価尺度)は、①日常生活、②対人関係、③労働または課題遂行能力、④持続性・安定性、⑤自己認識の5つの大項目からなる評価尺度である。評価は過去1か月間の行動について0~4点の5段階で評価する。
4.× Rehab(精神科リハビリテーション行動評価尺度)は、病棟・デイケア・社会復帰施設などで観察した行動を評定するものである。比較的項目が少なく(23項目)、簡便で繰り返し使用できるのが特徴である。
5.× SF-36(the MOS36-item short-form health survey)は、質問紙法により、対象者の健康関連QOLを包括的に評価する尺度である。以下の8つの健康概念を測定する。①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康を測定する。

 

 

 

 

 

 

40 統合失調症の再発時にみられる前駆症状でないのはどれか。

1.集中力が高まる。
2.緊張感が強くなる。
3.物音に過敏になる。
4.身体に不調を感じる。
5.些細なことでイライラする。

解答1

解説

統合失調症の前駆期

前駆期は、非特異的症状の出現する時期であり、以下の症状が出現することが多い。 
①不安・焦燥、②抑うつ気分、③認知の変化、④注意力・集中力の低下、⑤食欲低下、⑥不眠、⑦社会的役割機能の低下、⑧社会的ひきこもり

1.× 集中力の高まりは、統合失調症の再発時にみられる前駆症状でない。前駆症状として、集中力の低下がみられる。
2.〇 統合失調症の再発時にみられる前駆症状である。緊張感が高まり、心身ともに休まらない状態である。
3.〇 統合失調症の再発時にみられる前駆症状である。物音に過敏になり、周囲が気になるようになる。
4.〇 統合失調症の再発時にみられる前駆症状である。疲労感を感じ、疲れやすくなる。
5.〇 統合失調症の再発時にみられる前駆症状である。神経が過敏となり、些細なことでイライラする。

 

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