第49回(H26) 作業療法士国家試験 解説【午後問題11~15】

 

次の文により11、12の問いに答えよ。
 2歳6か月の男児。痙直型両麻痺の脳性麻痺。頭部のコントロールは良好である。割り座をとらせると上肢で支えて数十秒座れるが長座位では後方に倒れてしまう。通常の幼児椅子では不安定で座位保持不能である。自力では寝返りで短い距離を移動することができる。

11 この患児のGMFCS(growth motor function classification system)におけるレベルはどれか。(※不適切問題:解答なし)

1.Ⅰ
2.Ⅱ
3.Ⅲ
4.Ⅳ
5.Ⅴ

解答 なし(採点対象外)
理由:
厚労省の発表では設問が不適切で正解が得られないため採点除外とされた。

解説

Gross Motor Function Classification System (GMFCS)

レベルⅠ:制限なしに歩く。
レベルⅡ:制限を伴って歩く。
レベルⅢ:歩行補助具を使用して歩く。
レベルⅣ:制限を伴って自力移動、電動の移動手段を用いてもよい。
レベルⅤ:自力移動が非常に制限される、手動車椅子によって搬送される。

 本問が不適切問題とされたのは、どの基準にも当てはまらないため。本症例は、「自力では寝返りで短い距離を移動することができる。」歩行についての記載がなく、レベルⅢとⅣでの判別が不可能である。

 

 

 

 

 

 

次の文により11、12の問いに答えよ。
 2歳6か月の男児。痙直型両麻痺の脳性麻痺。頭部のコントロールは良好である。割り座をとらせると上肢で支えて数十秒座れるが長座位では後方に倒れてしまう。通常の幼児椅子では不安定で座位保持不能である。自力では寝返りで短い距離を移動することができる。

12 この患児用の座位保持装置に必要なのはどれか。

1.リクライニング機構
2.ティルティング機構
3.モールド型シート
4.ヘッドレスト
5.肩ベルト

解答3

解説
1.× リクライニング機構は、座位で疲労しやすい人や起立性低血圧のある人、また、重症心身障害児などの姿勢変換が困難な人に勧められる。患児は、寝返りでの移動が可能であり、上肢による身体支持も可能であるため、必ずしも必要であるとは言えない。
2.× ティルティング機構は、基本的にリクライニング機構と同様の働きを持つ。だが、ティルティング機構はリクライニング機構と比べ、ずり落ちや褥瘡の予防効果が期待できる。
3.〇 正しい。モールド型シートは、この患児用の座位保持装置に必要である。身体の形状を採型して製作され、三次曲面で構成された安定した支持面を持つ。座位保持機能が高いため、患児に適しいている。
4.× ヘッドレストは、頭部のコントロールが不安定な患者に使用される。
5.× 肩ベルトにより上体を保持する必要はない。なぜなら、患児は痙直型両麻痺であり、体幹及び上肢の麻痺は低く、背面と骨盤以下を保持することで座位は安定しているため。

 

苦手な人向けにまとめました。参考にしてください↓

理学療法士国家試験 GMFCSについての問題4選「まとめ・解説」 理学療法士国家試験 脳性麻痺についての問題9選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

次の文により13、14の問いに答えよ。
 16歳の女子。摂食障害。身長168cm、体重61kg。責任感が強く真面目な性格で、陸上部の活動にも熱心に取り組んでいた。大柄で体重が多いことを不満に思い、食事制限と過度な部活動の練習を始めた。体重が37kgにまで減少し「太っているから誰にも会いたくない」と不登校気味になったため、見かねた両親に連れられ入院し、作業療法が開始された。

13 この患者にみられる症状はどれか。

1.解離症状
2.広場恐怖
3.離人症状
4.被害関係妄想
5.ボディイメージの障害

解答5

解説

本症例は、体重が37kgにまで減少し「太っているから誰にも会いたくない」と不登校気味になっていることから、摂食障害である可能性が高い。

1.× 解離症状では、過大な精神的ストレスが原因で、過去の記憶の喪失、自己同一性意識の喪失、身体運動のコントロールの喪失などがみられる。
2.× 広場恐怖とは、強い不安に襲われたときにすぐに逃げられない、または助けが得られそうにない状況や場所にいることに恐怖や不安を抱く状態である。例:同伴者がいない人ごみなど)にいることを恐れ、そのような場所を避けることをいう。
3.× 離人症状とは、自己・外界について生き生きとした実感が持てず、現実感が失われた状態であり、統合失調症やうつ病でみられる。
4.× 被害関係妄想は、統合失調症でみられる症状である。、例えば、他人同士がまったく患児とは関係のない会話をしていたとしても、患児自身は悪口を言われていると関係付けてしまうものである。
5.〇 正しい。ボディイメージの障害は、この患者にみられる症状である。ボディイメージの障害は、明らかに痩せていても患児は太っていると感じてしまうことである。

 

 

 

 

 

 

次の文により13、14の問いに答えよ。
 16歳の女子。摂食障害。身長168cm、体重61kg。責任感が強く真面目な性格で、陸上部の活動にも熱心に取り組んでいた。大柄で体重が多いことを不満に思い、食事制限と過度な部活動の練習を始めた。体重が37kgにまで減少し「太っているから誰にも会いたくない」と不登校気味になったため、見かねた両親に連れられ入院し、作業療法が開始された。

14 この患者に対する導入時の作業活動として適切なのはどれか。

1.自由画を制作させる。
2.料理活動を取り入れる。
3.病棟での食事に関する問題を採り上げる。
4.患者の得意な運動を利用して体力づくりを行う。
5.リラクセーションなどゆったりした活動を取り入れる。

解答5

解説

1.× 自由画の制作(自由度が高い作業)は、導入時には何をしたら良いのか混乱することが多い。ある程度枠組みがある方が取り組みやすい。
2~3.× 料理活動を取り入れる。/病棟での食事に関する問題を採り上げることは必要ない。なぜなら、患者は一日中食べ物のことばかり考えていることが多く、作業療法時には食べ物以外へ関心を向けることが必要であるため。
4.× 患者の得意な運動を利用して体力づくりを行う必要はない。なぜなら、特異な運動をさせると、痩せるために過活動になることが多いため。
5.〇 正しい。リラクセーションなどゆったりした活動を取り入れることは、導入時の作業活動として適切である。激しい運動ではなく、ストレスを解消するようなリラクゼーションなど、ゆったりした活動は適切である。

 

 

 

 

 

 

次の文により15、16の問いに答えよ。
 21歳の女性。統合失調症。大学に進学後1人暮らしをしていたが、4年生になっても就職先が決まらず、不眠と焦燥感が出現した。その後、他の学生から悪口を言われている声も聴こえ始め、アパートに閉じこもるようになった。母親が患者の異変に気付き精神科を受診させ休学となった。外来受診を継続し1か月半が経過したところで、外来での作業療法が処方された。

15 この患者の作業療法導入時の面接内容として優先すべき項目はどれか。

1.悪口の内容を確認する。
2.家族に対する思いを尋ねる。
3.一日の過ごし方を確認する。
4.就職の不安について尋ねる。
5.興味のある授業について尋ねる。

解答3

解説

1.× 悪口の内容を確認する優先度は低い。なぜなら、被害妄想が助長され、症状を再燃させることもあるため。
2.× 家族に対する思いを尋ねる優先度は低い。なぜなら、導入時では、現在の精神症状の把握や円滑な作業療法導入のための関係性作りが優先されるため。家族関係について尋ねることは時期尚早である。
3.〇 正しい。一日の過ごし方を確認する。導入期では、生活リズムを回復させることは重要ある。
4.× 就職の不安について尋ねる優先度は低い。導入期において社会復帰を話題にすることは時期尚早である。 
5.× 興味のある授業について尋ねる優先度は低い。なぜなら、授業について聞くことは、大学で悪口を言われていたことを思い出させる、復学への焦燥感をあおる、などの可能性があるため。

 

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