第49回(H26) 作業療法士国家試験 解説【午後問題16~20】

 

次の文により15、16の問いに答えよ。
 21歳の女性。統合失調症。大学に進学後1人暮らしをしていたが、4年生になっても就職先が決まらず、不眠と焦燥感が出現した。その後、他の学生から悪口を言われている声も聴こえ始め、アパートに閉じこもるようになった。母親が患者の異変に気付き精神科を受診させ休学となった。外来受診を継続し1か月半が経過したところで、外来での作業療法が処方された。

16 この患者に対する作業療法計画の留意点として適切なのはどれか。

1.復学の時期を決める。
2.職業適性を評価する。
3.集団活動の利用を重視する。
4.日常生活の行動目標を話し合う。
5.実施作業種目は作業療法士が選択する。

解答4

解説

本症例は、外来受診を継続し1か月半が経過したところで、外来での作業療法が処方されている。作業療法の導入時~回復期前期といえる。

1~3.× 復学の時期を決める/職業適性を評価する/集団行動の利用を重視することは、時期尚早である。いずれも回復期後期の目標である。
4.〇 正しい。日常生活の行動目標を話し合うことは、この患者に対する作業療法計画の留意点として適切である。
5.× 実施作業種目は、作業療法士ではなく、患者と話し合い、患者の意思を反映した作業種目を選択する。

 

 

 

 

 

 

次の文により17、18の問いに答えよ。
 28歳の女性。電車を待つホームで突然動悸が激しくなり、死ぬのではないかという恐怖と息苦しさに襲われ、しゃがみこんでしまった。後日精神科を受診し、外来作業療法が開始された。

17 この患者の疾患として適切なのはどれか。

1.解離性障害
2.強迫性障害
3.パニック障害
4.注意欠陥/多動性障害
5.境界性パーソナリティ障害

解答3

解説
1.× 解離性障害とは、精神的ストレスが原因で、過去の記憶喪失、自己同一性意識の喪失、身体運動のコントロールの喪失などがみられる。
2.× 強迫性障害では、自分でも不合理だと思われる考えが浮かんで、それを打ち消すために無意味な行動を繰り返してしまう障害である。
3.〇 正しい。パニック発作である。パニック発作とは、極めて強い苦痛、不安、恐怖などが突然現れて短時間で治まる発作のことで、身体症状や精神症状を伴う。
4.× 注意欠陥/多動性障害は、不注意(集中困難)、多動性、衝動性が主要症状である。
5.× 境界性パーソナリティ障害は、対人関係・自己像・感情の不安定、著しい衝動性を特徴とする。

 

 

 

 

 

 

次の文により17、18の問いに答えよ。
 28歳の女性。電車を待つホームで突然動悸が激しくなり、死ぬのではないかという恐怖と息苦しさに襲われ、しゃがみこんでしまった。後日精神科を受診し、外来作業療法が開始された。

18 この患者への作業療法で適切でないのはどれか。

1.内省を促す。
2.心理教育を取り入れる。
3.屋外でのプログラムを含める。
4.コラージュで自己表現を促す。
5.リラクセーションを指導する。

解答1

解説
1.× 内省を促す必要はない。なぜなら、不安の原因は不明なことは多いため。そもそも内省すべき対象がない。
2.〇 正しい。心理教育とは、疾患を理解させるために患者を教育することである。パニック障害では、パニック発作が起こっても絶対に死ぬことはない、などを伝えていく。
3.〇 正しい。屋外でのプログラムを含める。屋外でのプログラムで、徐々に発作が起こった場面に慣れていくことは、回復に重要である。
4.〇 正しい。コラージュで自己表現を促す。自己表現を促すことで、症状にとらわれない自己を発見することができ、症状への関心を減らすことが可能となる。
5.〇 正しい。リラクセーションを指導することにより、ストレスによる緊張を緩和できるためよい。

 

 

 

 

 

 

次の文により19、20の問いに答えよ。
 26歳の女性。異性問題でリストカットを繰り返し入院となった。その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。入院後2週が経過して作業療法が処方された。

19 この患者にみられやすいのはどれか。

1.心気症
2.注意障害
3.強迫症状
4.させられ体験
5.見捨てられ恐怖

解答5

解説
1.× 心気症は、自分が(そうでないのに)重篤な病気に罹患しているに違いないと確信しいている障害である。心気症の原因は不明であるが、ストレスや過労、または患者様自身や家族・知人の病気体験(病死も含め)をきっかけに起こることがある。
2.× 注意障害とは、外部からの刺激に対して、注意を向ける、注意を維持することが困難な状態をいう。高次脳機能障害注意欠陥/多動性障害でみられる。
3.× 強迫症状は、自分でも不合理だと思われる考えが浮かび、それを打ち消すために無意味な行動を繰り返してしまう症状である。強迫性障害でみられる。
4.× させられ体験とは、「誰かに操られている」という作為体験のことである。統合失調症でみられる。
5.〇 正しい。境界性パーソナリティ障害は、この患者にみられやすい。境界性パーソナリティ障害では、幼少期の分離不安や両親との関係が原因となる場合も多いので、見捨てられることに対して、恐怖を感じる。

 

 

 

 

 

 

次の文により19、20の問いに答えよ。
 26歳の女性。異性問題でリストカットを繰り返し入院となった。その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。入院後2週が経過して作業療法が処方された。

20 この患者への対応として適切なのはどれか。

1.集団プログラムへの参加を優先する。
2.自分で考えて行動するよう働きかける。
3.逸脱行動にはすぐに介入せず様子を見る。
4.患者の希望に応じてプログラムを柔軟に変更する。
5.作業療法士を攻撃する言動が生じたら担当を変更する。

解答2

解説

1.× 集団プログラムへの参加を優先する必要はない。なぜなら、本症例は、病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている。対人関係が不適切であり、衝動行動の危険性があるため。したがって、パラレルな場で個人作業療法を基本とする。ちなみに、パラレルな場とは、ひとの中にいて、他者と同じことをしなくてもよい、自分の状態や目的に応じた利用ができ、いつだれが訪れても、断続的な参加であっても、わけへだてなく受け入れられる場をいう。
2.〇 正しい。自分で考えて行動するよう働きかける。問題解決にあたり、解決法を探索、試行錯誤することで、物事に対する極端な見方を改善することができる。
3.× 逸脱行動にはすぐに介入せず様子を見る必要はない。なぜなら、あとで話題にしても効果は薄いため。逸脱行動などの行動化が見られたときは、すぐに介入して問題点をその場で扱うことが必要である。
4.× 患者の希望に応じてプログラムを柔軟に変更する必要はない。むしろ、枠組みを明確にして、それを超える要求に対して応じないことが必要である。
5.× 作業療法士を攻撃する言動が生じたら担当を変更する必要はない。なぜなら、治療者に対して、理想化とこき下ろしの極端な態度をとることが多いので、治療者は関係の恒常性を維持する事が治療の進展につながるため。担当を変更すると、見捨てられ不安を助長するおそれもあるので、担当は変更しない方が望ましい。

 

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