第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

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31 対麻痺に用いられる交互歩行装具と内側継手付き両側長下肢装具の比較で正しいのはどれか。(※不適切問題:解答2つ)

1. 交互歩行装具は骨盤帯を必要とする。
2. 交互歩行装具の方が装着は容易である。
3. 内側継手付き両側長下肢装具は遊脚側の駆動にケーブルを使う。
4. 内側継手付き両側長下肢装具では装着したまま車椅子が使用できる。
5. どちらも足部の前方を補高すると立位保持が容易になる。

解答1/4(厚生労働省は”複数の選択肢を正解とする”としている。)

解説

交互歩行装具(RGO、HGO)は、股継手が股関節外側にある。
内側継手付き両側長下肢装具(MSH-KAFO、HALO)は、1つの股継手を両下肢間に有するもの。

1.〇 正しい。交互歩行装具は、骨盤帯を必要とする。なぜなら、外側股継手を連結するため。内側継手付き両側長下肢装具は、骨盤帯はない。
2.× 交互歩行装具より、内側継手付き両側長下肢装具の方が装着は容易である。なぜなら、内側継手付き両側長下肢装具は骨盤帯がないため。
3.× 遊脚側の駆動にケーブルを使うのは、「内側継手付き両側長下肢装具」ではなく交互歩行装具である。
4.〇 正しい。内側継手付き両側長下肢装具では装着したまま車椅子が使用できる。なぜなら、内側継手付き両側長下肢装具は骨盤帯がなく、1つの股継手が両下肢間に位置するため。(※ただ、股関節がやや外転位、大腿カフが大転子直下まで来ているため、体に合わせた車いすでは座幅が足りなくなる。したがって、車椅子の座幅は、あらかじめ装具の使用を想定した採寸が必要である。)
5.× どちらも足部の「前方」ではなく、後方(ヒール)を補高すると立位保持が容易になる。なぜなら、正常の足部の重心線は、外果前方(足関節前方)にあるため。

 

 

 

 

 

32 発育性股関節形成不全について正しいのはどれか。

1. 開排は制限されない。
2. 大腿骨頭の前方脱臼が多い。
3. 乳児期ではリーメンビューゲル装具を用いる。
4. 2 歳以上では外転位保持免荷装具を用いる。
5. 二次的な変形性股関節症にはなりにくい。

解答3

解説

1.× 開排は制限(脱臼側の股関節内転拘縮)が生じる。
2.× 大腿骨頭は、「前方脱臼」ではなく後方脱臼が多い。
3.〇 正しい。乳児期ではリーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)を用いる。保存療法を行うが、診断が遅れ、進行が進んでいるときには、牽引療法や観血的整復を行う。
4.× 2 歳以上でも外転位保持免荷装具は用いない。外転位保持免荷装具(トロント装具など)は、ペルテス病の保存療法に用いられる。
5.× 二次的な変形性股関節症になりやすい約8割が発育性股関節形成不全の原因となる。

 

 

 

 

33 疾患と診断に有用な整形外科的検査法の組合せで正しいのはどれか。

1. アキレス腱断裂 ― Thompson テスト
2. 三角靱帯断裂 ― 足関節内反ストレステスト
3. 前十字靱帯断裂 ― 膝後方引き出しテスト
4. 半月板断裂 ― 膝外反ストレステスト
5. 腓腹筋断裂 ― 下肢伸展挙上テスト

解答1

解説

1.〇 正しい。アキレス腱断裂は、Thompsonテスト(トンプソンテスト)や、Simmondsテスト(シモンズテスト)で検査する。
2.× 三角靱帯断裂は、「足関節内反ストレステスト」ではなく足関節外反ストレステストである。
3.× 前十字靱帯断裂は、「膝後方引き出しテスト」ではなく膝前方引き出しテストや、Lachmanテスト(ラックマンテスト)で検査する。
4.× 半月板断裂は、「膝外反ストレステスト」ではなくMcMurrayテスト(マックマリーテスト)Apleyテスト(アプレーテスト)で検査する。膝外反ストレステストは、内側側副靭帯断裂疑いの時に検査する。ちなみに、McMurrayテスト(マックマリーテスト)は①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
5.× 腓腹筋断裂は、「下肢伸展挙上テスト」ではなく、Thompsonテスト(トンプソンテスト)、Simmondsテスト(シモンズテスト)で検査する。下肢伸展挙上テスト(SLR)は、腰椎椎間板ヘルニアの時に検査する。

 

 

 

 

 

34 関節リウマチについて正しいのはどれか。

1. 内反尖足が合併しやすい。
2. DIP関節に病変を生じやすい。
3. 肘関節にはムチランス変形が生じやすい。
4. 環軸椎亜脱臼を認めるときには頸部を屈曲させる。
5. 炎症が強い時期の運動療法は自動運動を中心に行う。

解答5

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.× 「内反尖足」ではなく外反母趾開帳足槌指扁平足外反足などが合併しやすい。
2.× DIP関節に病変を生じにくい。PIP関節MP関節の方が病変を生じる。
3.× ムチランス変形(オペラグラス変形)は、「肘関節」ではなく手指が生じやすい。ムチランス変形(オペラグラス変形)は、中手骨や指節骨の吸収により指が短縮する変形をいう。
4.× 環軸椎亜脱臼を認めるときには頸部を屈曲は禁忌である。さらに悪化する恐れがある。
5.〇 正しい。炎症が強い時期の運動療法は自動運動を中心に行う。なぜなら、疼痛を誘発しないようにするため。

類似問題はこちら↓

【PT専門のみ】関節リウマチについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

35 腰椎椎間板ヘルニアについて正しいのはどれか。

1. L4神経根障害では長母趾屈筋の筋力低下を生じる。
2. L5神経根障害では下腿外側から足背の知覚異常を伴う。
3. L5神経根障害では大腿神経伸張テストが陽性となる。
4. S1神経根障害では前脛骨筋の筋力低下を生じる。
5. S1神経根障害では膝蓋腱反射が低下する。

解答2

解説

1.× L4神経根障害は、「長母趾屈筋」ではなく大腿四頭筋の筋力低下を生じる。長母趾屈筋の筋力低下は、S1神経根障害で起こる。
2.〇 正しい。L5神経根障害は、下腿外側から足背の知覚異常を伴う。
3.× L5神経根障害は、「大腿神経伸張テスト」ではなくラセーグテストが陽性となる。大腿神経伸張テスト陽性は、L3~L4より高位のお椎間板ヘルニアである。
4.× S1神経根障害は、「前脛骨筋」ではなく下腿三頭筋長母指屈筋長趾屈筋の筋力低下を生じる。前脛骨筋の筋力低下は、L5神経根障害である。
5.× S1神経根障害は、「膝蓋腱反射」ではなくアキレス腱反射が低下する。膝蓋腱反射の低下は、L4神経根障害である。

腰椎椎間板ヘルニアとは?

椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。

L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。

 

2 COMMENTS

匿名

関節リウマチの男女比ですが、7:3前後となっていますが、これは男の方が多いということでしょうか?
特に40歳代の女性に多いと認識しておりました。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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