第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

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26 回復期リハビリテーション病棟退院後の片麻痺患者に対して訪問リハビリテーションが導入された。
 リハビリテーションの目標で優先度が低いのはどれか。

1. 麻痺肢の関節可動域制限の予防
2. 麻痺肢の運動麻痺の改善
3. 非麻痺肢の筋力の維持
4. 閉じこもりの予防
5. 移動能力の維持

解答2

解説

回復期までのリハビリテーション:障害・機能の回復を重要視する。
訪問リハビリテーション:実際の生活に即したADL改善や能力の維持を重要視する。したがって、機能・能力の低下予防、活動性向上が主な目標となる。他にも、家族指導、住宅改修などにより生活に密着したアプローチが必要である。

 

1/3.× 麻痺肢の関節可動域制限の予防/非麻痺肢の筋力の維持は、訪問リハビリテーションでも実施していく。
2.〇 正しい。訪問リハビリテーションは、麻痺肢の運動麻痺の改善を重要視するより、残存機能を生かし、実際の生活に即したADL獲得や能力の維持を優先する。
4/5.× 閉じこもりの予防/移動能力の維持は、訪問リハビリテーションでも実施していく。ADL、活動性の維持・向上につながる。

 

 

 

 

 

27 Parkinson病のすくみ足を改善させる方法はどれか。

1. 足下を注視する。
2. 体幹を屈曲する。
3. 踵を持ち上げる。
4. 一歩目を小さく前に出す。
5. 床に引かれた横線をまたぐ。

解答5

解説

パーキンソン病のすくみ足の誘発因子と対応方法

【誘発因子】①狭路、②障害物、③精神的緊張など。

【対応方法】①視覚(障害物を跨ぐ、床に目印をつける)、②聴覚(メトロノームなどのリズムや歩行に合わせてのかけ声)③逆説的運動(階段昇降)など。

1.× 足下を注視するとより、すくみ足を助長する。自分の足下よりも少し先の床の目印を見てもらい、踏み越えるよう歩いてもらうと良い。
2.× 体幹を「屈曲」ではなく伸展する。体幹屈曲位で歩くとより、目線は下に向き、腕の振りは少なくなり、すくみ足や突進現象が助長するため不適切である。
3.× 踵を持ち上げると、重心が前方かつ不安定になり、よりすくみ足が助長する。踵を持ち上げる動作よりも、その場での足踏みや、踏み出したい足を一歩引いたり、横歩きしてから歩いてもらうと良い。ただ、靴のヒールを補高すると歩容が改善する。
4.× 一歩目を「小さく」ではなく大きく前に出す。
5.〇 正しい。床に引かれた横線をまたぐ。視覚的に目標物を踏み越えることですくみ足を解消できる。

 

 

 

 

28 遠城寺式乳幼児分析的発達検査で3歳より後に獲得されるのはどれか。 2つ選べ。(※不適切問題を修正済み)

1. 片足で数歩跳ぶ。
2. 上着を自分で脱ぐ。
3. 友達と順番にものを使う。
4. はさみを使って紙を切る。
5. 年下の子供の世話をやきたがる。

解答1/3

解説

1.〇 正しい。片足で数歩跳ぶ。3歳8か月~4歳頃に獲得される、
2.× 上着を自分で脱ぐ。2歳9か月~3歳頃に獲得される。
3.〇 正しい。友達と順番にものを使う。3歳4か月~3歳8か月頃に獲得される。
4.× はさみを使って紙を切る。2歳9か月~3歳頃に獲得される。
5.× 年下の子供の世話をやきたがる。2歳6か月~2歳9か月頃に獲得される。

 

 

 

 

 

29 第5腰髄節まで機能残存している二分脊椎患児に最もみられやすいのはどれか。

1. 股関節脱臼
2. 反張膝
3. 踵足変形
4. 尖足変形
5. 扁平足変形

解答3

解説

1.× 股関節脱臼は、第3、4腰髄節機能残存レベルでみられやすい。
2.× 反張膝は、第4腰髄節機能残存レベルでみられやすい。
3.〇 正しい。踵足変形は、 第5腰髄節機能残存レベルでみられる。第5腰髄節機能残存レベルは、前脛骨筋は機能が残存するが下腿三頭筋は機能しにくい。したがって、足部は背屈位をとりやすくなり踵足変形が生じる。
4.× 尖足変形は、第3腰髄節機能残存レベルより高位でみられやすい。
5.× 扁平足変形は、ダウン症児にみられやすい。

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30 尿意のない頸髄損傷患者において尿意の代償とならない徴候はどれか。

1. 発汗
2. 頭痛
3. 頻脈
4. 発作性高血圧
5. 鳥肌立ち現象

解答3

解説

 頚髄損傷患者において、膀胱充満・便の貯留など麻痺域の変化が刺激となって自律神経反射が起こった時に、上位からの抑制経路が障害されるため、刺激がある限り反射が継続してしまう状態を自律神経過反射という。これは脊髄損傷の危険な合併症であるが、軽い症状は尿意・便意のサインとして用いられており、代償尿意・代償便意といわれている。

 自律神経過反射の徴候には①顔面紅潮、②頭痛、③発汗、④発作性高血圧、⑤徐脈、⑥呼吸困難、⑦動悸、⑧胸内苦悶、⑨鳥肌立ち現象などがある。したがって、選択肢1~2.4~5× 発汗/頭痛/発作性高血圧/鳥肌立ち現象は、尿意のない頸髄損傷患者において尿意の代償である。

 

尿意のない頸髄損傷患者において尿意の代償とならない徴候は選択肢3.頻脈である。

 

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