第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午前問題11~15】

 

11 68歳の男性。歩行中に転倒して歩けなくなり救急搬送された。上下肢に麻痺を認めたが骨傷はみられず、中心性頸髄損傷の診断を受けた。受傷5日後のADLは全介助であった。
 6か月後にFIMでADLを評価したときに、最も自立度が低いと予想される項目はどれか。

1. 更衣(上半身)
2. 排尿管理
3. トイレ移乗
4. 歩行
5. 階段昇降

解答1

解説

 中心性頚髄損傷は、上肢の障害が主である(下肢は軽度)。つまり、上肢の巧級性が低下しているため、選択肢1. 更衣(上半身)が最も自立度が低いと予想される。

 

2. × 中心性頚髄損傷では膀胱直腸障害は軽度であり、排尿管理可能であることが多い。
3~5. × トイレ移乗/歩行/階段昇降は、下肢の動作が中心である。下肢の障害は軽度である。

 

 

 

 

 

12 24歳の男性。バイクに乗っていて乗用車と衝突し救急搬送された。頸椎脱臼骨折の診断で手術を受けた。 
 MMTの結果を表に示す。機能残存レベルはどれか。

1. C5
2. C6
3. C7
4. C8
5. T1

解答2

解説

ASIAによる運動の残存機能レベルの決定は、MMT3以上ある最も低い髄節を、機能残存レベルとする。

 

1. × C5のkey musclesは、肘関節屈筋(上腕二頭筋)である。本症例は、C6の橈側手根伸筋がMMT5であるため不適切である。
2. 〇 正しい。C6のkey musclesは、手関節背屈筋(橈側手根伸筋)である。本症例は、C6橈側手根伸筋がMMT5であり、C7レベルの上腕三頭筋がMMT2であることから、機能残存レベルはC6である。
3. × C7のkey musclesは、肘関節伸筋(上腕三頭筋)である。本症例は、C7の上腕三頭筋がMMT2であるため不適切である。
4. × C8のkey musclesは、手指屈筋(深指屈筋)である。
5. × T1のkey musclesは、手指外転筋(小指外転筋)である。

 

 

 

 

 

次の文により13、14の問いに答えよ。
 10歳の女児。 1か月ほど前から運動後に膝の痛みを訴え、膝脛骨結節部に圧痛があった。単純エックス線写真を下図に示す。

13 最も考えられるのはどれか。

1. 腓骨骨折
2. 膝靱帯損傷
3. 膝半月板損傷
4. 第1Köhler病
5. Osgood-Schlatter病

解答5

解説

1. × 腓骨骨折のような骨折線は認められない。腓骨頭の連続性がないように見えるが、これは骨端線であり正常所見である。
2~3. × 膝靱帯損傷/膝半月板損傷は、一般的にMRIで診断するものであり、単純エックス線写真では靭帯は写らないため確定診断は難しい。
4. × 第1Köhler病とは、8歳の男児に好発する足舟状骨の一過性の無腐性骨壊死である。足部の病気であるため不適切である。
5. 〇 正しい。Osgood-Schlatter病である。Osgood-Schlatter病は、小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。

脛骨結節部と脛骨粗面の違いは?

13~15才頃に、脛骨結節の表層は軟骨で覆われ始める。18才頃に、骨端線が閉鎖し脛骨粗面となる。つまり、同じ場所であるが、骨端線が閉鎖しているかしていないかで呼び名が変わる。

 

 

 

 

 

14 運動後以外には膝の痛みの訴えはなかった。
 正しい対応はどれか。

1. ギプス固定
2. 運動の制限
3. 運動後の極超短波
4. 運動後のホットパック
5. 腸脛靱帯のストレッチ

解答2

解説

1. × ギプス固定は、骨折時に用いられる。運動の制限は必要だが、患部のギプス固定まで行う必要はない。
2. 〇 正しい。運動を制限する。増悪させる可能性がある活動を禁止する。運動制限大腿四頭筋のストレッチング装具装着テーピングなどで経過をみることが多い。
3~4. × 運動後の極超短波/運動後のホットパックなどの温熱療法は禁忌である。なぜなら、運動後の痛みは炎症症状であり、炎症を増悪させるおそれがあるため。
5. × 腸脛靱帯ではなく、大腿四頭筋のストレッチを行う。

 

 

 

 

 

15 右股関節の可動域を下表に示す。
 予想される歩行時の特徴はどれか。

1. 左の歩幅の減少
2. 腰椎前弯の減少
3. 左伸び上がり歩行
4. 上肢の振り幅の増加
5. 左Trendelenburg徴候

解答1

解説

 本症例の股関節可動域を見ると、すべての方向に可動域制限を認めるが、特に歩行に大きく影響するのは股関節伸展制限である。股関節屈曲拘縮になっていると考えられる。

 

1. 〇 正しい。左の歩幅の減少が起こる。なぜなら、右股関節伸展が制限されていることから、右立脚相(特に後期)が短縮されるため。
2. × 腰椎前弯の減少ではなく、増大する。なぜなら、腰椎前弯によって右股関節伸展制限を代償しようとするため。
3. × 左伸び上がり歩行は、右側のトゥクリアランスを得るため起こる。例として、右膝関節屈曲可動域制限や右足関節背屈可動域制限があげられる。
4. × 上肢の振り幅の増加は、下肢によって推進力が得られにくい場合に起こる。
5. × 左Trendelenburg徴候は、左中殿筋筋力低下左股関節外転制限でみられる。問題の表からでは、左中殿筋の筋力低下や左股関節の外転制限を判断することはできないため不適切である。

 

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