第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午前問題16~20】

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16 大腿切断者の移動動作を図に示す。
 適切でないのはどれか。


1. 椅子から立ち上がる
2. 階段を昇る
3. 坂道を下る
4. 坂道を上る
5. 障害物をまたぐ

解答5

解説

1. 〇 正しい。椅子から立ち上がりは、健側を後方に引き、健側に荷重して行う。
2. 〇 正しい。階段を昇りは、健側から行う。
3. 〇 正しい。坂道を下りは、義足側から行う。
4. 〇 正しい。坂道を上りは、健側から行う。
5. × 障害物をまたぎは、健側から行う。図は、義足側から行っているため不適切である。

 

 

 

 

 

17 背屈0~20°の範囲で自由に可動するように設定されている足継手を図に示す。
 この継手を、背屈5~20°で可動するように再調整する場合に、最初に動かすのはどれか。


1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

解答4

解説

 現在の設定範囲(背屈0~20°)から、底屈を5°制限する(背屈5~20°に再調整する)。

 

1~2. × ①/②の調整は、背屈制限であるため不適切である。
3. × ③は、足関節軸である。音がしたり、動かないようであれば油をさしてメンテナンスをするが、一般的に調整は行わない。
4. 〇 正しい。④と⑤が、底屈制限を調整する。底屈を制限するには後方のネジ(⑤)を押し込めばよい。後方のネジを押し込むには、まず④後方の留め具(ナット)を緩める必要がある。したがって、最初に動かすものは、④ナットである。

 

 

 

 

18 55歳の男性。搬送された病院で急性心筋梗塞と診断された。初期治療として、左冠動脈に対して経皮的冠動脈形成術が施行された。発症後1か月の検査所見では右冠動脈に75%の狭窄が認められ、心肺運動負荷試験中に胸部不快感が認められた。
 心肺運動負荷試験の結果に基づいて運動処方をする際に最も参考にすべき指標はどれか。

1. 最大換気量
2. 最大酸素摂取量
3. 血圧の変化量
4. 心拍数の変化量
5. 症状出現時の運動強度

解答5

解説

本症例のポイント

・55歳の男性(急性心筋梗塞)
・初期治療:左冠動脈に対して経皮的冠動脈形成術施行。
・発症後1か月:右冠動脈に75%の狭窄が認められ、心肺運動負荷試験中に胸部不快感が認められた。
→運動負荷試験中の胸部不快感の原因は、右冠動脈の75%狭窄による心筋虚血と考えられる。

1. × 最大換気量とは、一定の時間内の空気を胸から出し入れ(換気)の量である。最大換気量だけを参考にすべき指標にしない。
2. × 最大酸素摂取量とは、漸増運動で測定された酸素消費の最大量である。最大酸素摂取量だけを参考にすべき指標にしない。
3. × 血圧の変化量は、運動処方をする際に参考にすべき指標としての優先度は低い。急性心筋梗塞の運動負荷試験のステップアップ進行基準に、収縮期血圧が安静時より30mmHg以上増加および10mmHg以上低下しないことが含まれるが、本症例は、心肺運動負荷試験中に胸部不快感が認められている。心肺運動負荷試験の結果が、胸部不快感であるため、おのずと自覚的な症状(胸部不快感)を反映しやすい選択肢が優先度が高くなる。
4. × 心拍数の変化量は、運動処方をする際に参考にすべき指標としての優先度は低い。急性心筋梗塞の運動負荷試験のステップアップ進行基準に、心拍数が120/minまたは、安静時より40/min以上増加しないことが含まれているが、本症例は、心肺運動負荷試験中に胸部不快感が認められている。心肺運動負荷試験の結果が、胸部不快感であるため、おのずと自覚的な症状(胸部不快感)を反映しやすい選択肢が優先度が高くなる。
5. 〇 正しい。症状出現時の運動強度である。運動負荷試験中の胸部不快感の原因は、右冠動脈の75%狭窄による心筋虚血と考えられる。運動負荷試験の基準として、胸痛・動悸・呼吸困難などの自覚症状が出現しないことが含まれている。本症例では、胸部不快感が出現した運動強度以下で運動処方を行う必要がある。

急性心筋梗塞の運動負荷試験のステップアップ進行基準

①胸痛・息切れ・動悸・ふらつき・疲労などの自覚症状がないこと。
②心拍数が120/minまたは、安静時より40/min以上増加しないこと。
③重症不整脈が出現しないこと。
④収縮期血圧が安静時より30mmHg以上増加および10mmHg以上低下しないこと。
⑤心電図上0.2mV以上のST低下または、梗塞部の異常なST上昇のないこと。

 

 

 

 

 

19 運動中のモニター心電図を下図に示す。
 心拍数が75/分以上100/分未満であるものはどれか。


1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

解答4

解説

心電図の記録用紙の紙送り速度は25mm/秒である。つまり、1メモリ0.04秒である。心拍数が「75/分以上100/分未満」=R間隔が「0.6秒以上0.8秒未満」=「15メモリ以上20メモリ未満」であるものとなる。

 

1. × ①のR波間隔は約10メモリ(0.4秒)であり、1分間の心拍数は150/分となる。
2. × ②のR波間隔は約30メモリ(1.2秒)であり、1分間の心拍数は50/分となる。
3. × ③のR波間隔は約25メモリ(1.0秒)であり、1分間の心拍数は60/分となる。
4. 〇 正しい。④のR波間隔は約17メモリ(0.68秒)であり、1分間の心拍数は88/分となる。
5. × ⑤のR波間隔は約43メモリ(1.72秒)であり、1分間の心拍数は35/分となる。

 

 

 

 

 

20 図のように、棒の先に7kg重の錘を付けた。
 このときのAにかかるトルクはどれか。ただし、棒の重量は無視できるものとする。


1. 7Nm
2. 12Nm
3. 14Nm
4. 21Nm
5. 25Nm

解答3

解説

問題文から、1(kg重)≒10(N)と提示されていることから、錘(おもり)に働く重力は、7(kg重)≒70(N)である。

棒に対する垂直成分(F)は、70(N)× sin30° = 35(N)となる。

よって、Aにかかるトルクは、35(N)× 0.4(m)= 14(Nm)

選択肢3. 14Nmが正しい。

sinθ

三角比で使われるsin(サイン)・cos(コサイン)・tan(タンジェント)とは、三角比である。 直角三角形の直角とそれ以外の角度が1つわかると、三角形の辺の長さの比が決まる。 このときの三角形の辺の2つの辺の比のことを三角比と言う。

・0°:0
・30°:1/2
・45°:1/√2(約0.7)
・60°:√3/2(約0.87)
・90°:1

 

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