第48回(H25) 作業療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

 

1 Daniels らの徒手筋力テストの段階5及び4の検査で正しいのはどれか。
 ただし、矢印は検査者が抵抗をかける方向を示す。

1.肩関節水平外転
2.手関節伸展
3.MP関節伸展
4.股関節屈曲
5.膝関節屈曲

解答1

解説
1.〇 正しい。肩関節水平外転は、図の通り腹臥位にて肩関節90°外転位で、前腕を肘関節で屈曲して検査台の縁から外に垂らして行う。
2.× 設問の図の手関節伸展は、段階2の肢位である。なぜなら、前腕回内外中問位をとっているため。ちなみに、段階4及び5では前腕完全回内位にて行う。
3.× MP関節伸展は、PIP・DIP関節屈曲位、抵抗は基節骨背面にて実施する。設問の図(MP関節伸展)は、PIP・DIP関節伸展位となっている。
4.× 股関節屈曲は、座位にて膝関節近位で大腿の下端の上に抵抗をかけ、実施する。設問の図(股関節屈曲)は、背臥位となっている。
5.× 膝関節屈曲は、腹臥位にて抵抗は足関節すぐ上の下腿後面、大腿後面にて膝屈筋腱の触診を行いながら実施する。設問の図(膝関節屈曲)の抵抗位置が腓腹筋の筋腹となっている。

 

 

 

 

 

 

2 図版を下図に示す。
 このような構成の図版を用いる評価法はどれか。

1.BADS
2.BIT
3.RBMT
4.WAIS-Ⅲ
5.WMS-R

解答2

解説

1.× BADS (behavioural assessment of the dysexecutive syndrome)は、遂行機能障害症候群の行動評価である。様々な状況下におけるもん対解決能力を道具やカードを用いた6種類の下位検査と1つの質問紙を用いて検査する。下位検査は0~4点の5段階で点数化し24点満点で評価する。
2.〇 正しい。BIT(行動性無視検査)の写真課題である。通常検査と行動検査の2つに分類され、半側空間無視の検査として用いられている。洗面台の高さを確認し、歯ブラシ、コップを扱いやすい位置に置いたかなどで半側空間無視があるかどうか調べる。
3.× RBMT(The Rivermead Behavioral Memory Test:リバーミード行動記憶検査)とは、日常的に遭遇する状況を想定して行う記憶障害検査である。その状況で素点、標準プロフィール点(SPS)、スクリーニング点(SS)を算出し年齢別のカットオフ値で評価する。項目としては言語課題・視覚空間課題・近時記憶・即時記憶や展望記憶などが含まれる。
4.× WAIS-Ⅲ(Wechsler Adult Intelligence Scale:ウェクスラー成人知能検査)は、質問やイラスト、積み木などの検査キットを用いて、言語性知能尺度・動作性知能尺度から総合の知能指数(IQ)を測定する。
5.× WMS-R(ウェクスラー記憶検査)は、見当識障害、視覚性記憶、言語性記憶、論理的記憶、精神統制など様々な角度から測定できる総合的な記憶検査である。

 

 

 

 

 

 

3 Parkinson病患者の更衣動作を図に示す。このとき患者は、「シャツやズボンの前のボタンを留めるのは簡単だけど、腰の辺りのシャツの裾をズボンに入れたり、ズボンを引き上げるのがうまくいかない」と訴える。
 原因として最も考えられるのはどれか。

1.視野狭窄
2.測定障害
3.観念運動失行
4.遂行機能障害
5.視覚情報の欠如

解答5

解説

1.× 視野狭窄は、網膜剥離や緑内障などの眼疾患視覚経路の障害で起こる。
2.× 測定障害は、協調運動障害のーつで、手足などを目標物に正しく持っていくことができず震える症状をいう。主に、小脳障害で起こる。
3.× 観念運動失行は、指示されたことの遂行や模倣ができなくなるという症状である。主に、左頭頂葉の障害で起こる。
4.× 遂行機能障害は、物事の計画を立てたり、段取り通り進めたりすることができなくなる状態である。主に、前頭葉の障害で起こる。
5.〇 正しい。視覚情報の欠如が原因として最も考えられる。なぜなら、本例では、身体の前面でのボタン留めといった巧級動作は可能であるが、身体の背面での動作に困難を訴えているため。Parkinson病では、諸動作の視覚情報への依存性が高くなることが多い。目で見ながら前ボタンを留めることは大きな問題なくできても、見えない部分の動きが拙劣になりやすい。

 

 

 

 

 

 

4 67歳の男性。外来でふらつきを訴えた。心電図を下図に示す。
 所見として考えられるのはどれか。

1.洞不全症候群
2.洞性徐脈
3.心房粗動
4.心室頻拍
5.完全房室ブロック

解答5

解説


1.× 洞不全症候群は、Ⅰ~Ⅲ群に分類され、洞徐脈(心拍数50/分以下)、洞停止(P波脱落)などがみられる。
2.× 洞性徐脈は、洞結節からの興奮が緩徐となっている状態であり、RR間隔が延長していく。
3.× 心房粗動は、正常P波が消失し、代わりに鋸状のF波が出現する。
4.× 心室頻拍は、心室性期外収縮が3回以上続くものであり、P波が見えない例が多く、幅広いQRS波が規則正しく連続して出現するものである。
5.〇 正しい。図は、完全房室ブロックである。PP間隔、RR間隔は等しいがPR間隔が不規則であり、P派とQRS派が連動せず無関係に出現している。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください。

理学療法士国家試験 心電図について~ステップ③異常な波形を覚える~「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

5 86歳の女性。脳梗塞による左片麻痺、発症後1年半が経過した。ADLは介助すればおかゆなどの調理食を食べる以外は全介助、ドーナツ型の枕を使用してベッド上で臥床している。全身の筋萎縮、筋短縮と関節拘縮を著明に認める。退院時に介護保険を利用してベッドやマットを準備したが、体圧分散マットのような特殊マットは利用していない。作業療法士が自宅訪問したときのベッド上での肢位を下図に示す。褥瘡予防と姿勢保持のために背臥位でポジショニングを行う。
 クッションを置く部位で正しいのはどれか。

1.後頸部
2.肩甲骨背面
3.腰背部
4.右大転子部
5.両大腿内側

解答5

解説

褥瘡とは?

褥瘡とは、局所の持続的な圧迫により組織に虚血が生じて発生する皮膚の潰瘍あるいは皮下組織の損傷のことである。背臥位では、後頭骨や肩甲骨、肘頭、仙骨、踵部などの骨の突出している場所に好発する。予防法としては、最も負担がかかりやすい骨突出部を除圧し、面で支持することでー点に圧をかけることなく、圧の分散に努める。褥瘡予防マットやクッションなどを活用する。また、清潔を心がけ、体位変換を行う。

1.× 後頸部は優先度は低い。なぜなら、ドーナツ型の枕を使用しているため。
2.× 肩甲骨背面は優先度は低い。なぜなら、すでに右肩甲骨背面には隙間がないようにケアしてあるように見え、両肩甲骨の背面の圧は軽減できているため。また、肩甲骨背面にクッション等を置くと、好発部位での接触面が減少し、他の部位に圧が高まることもあるため注意が必要である。
3.× 腰背部は優先度は低い。なぜなら、腰背部にクッションを置くと、他の部位に圧が高まることもあるため。腰背部にクッションを置きたい場合は、ベッドのマットレスを褥瘡予防のものへと変更する場合が多い。
4.× 右大転子部は優先度は低い。なぜなら、大転子は側臥位の場合に褥瘡ができやすい部位であるため。あえて背臥位に置く必要はなく、寝返りなどの体位変換の除圧に邪魔となる。
5.〇 正しい。両大腿内側にクッションを置く。本症例は、左片麻痺で全身の筋萎縮、筋短縮と関節拘縮を著明に認めることから、低栄養状態・痙縮もあるものと考えられる。そうなると、たとえ背臥位でも、膝内側上顆が擦れ合って褥瘡が生じやすい。したがって、接触を防ぐ必要があるため両大腿内側にクッションを置く。

 

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