第48回(H25) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題91~95】

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91 脈管疾患と関連因子の組合せで誤っているのはどれか。

1.Buerger病:喫煙
2.下腿静脈瘤:妊娠
3.解離性大動脈瘤:アテローム硬化
4.深部静脈血栓症:長期臥床
5.結節性多発動脈炎:溶連菌感染症

解答5

解説

1.〇 正しい。Buerger病(閉塞性血栓性血管炎)は、喫煙との組み合わせで正しい。Buerger病(閉塞性血栓性血管炎)は、主に膝窩動脈や前腕動脈以下の比較的細い動脈に好発する血栓形成および汎血管炎を来たす疾患である。20~40歳代の男性喫煙者に多く発生する原因不明の難治性疾患である。
2.〇 正しい。下腿静脈瘤は、妊娠との組み合わせで正しい。下腿静脈瘤は、静脈弁機能不全により下肢の静脈が逆流し、皮下静脈瘤が拡張・蛇行している状態である。妊娠・長期間にわたる長時間の立位・肉体労働などが誘因である。
3.〇 正しい。解離性大動脈瘤は、アテローム硬化との組み合わせで正しい。解離性大動脈瘤は、大動脈内膜に亀裂が生じ、内膜が内外の2層に解離し、そこに血流が入り込み、血腫を形成する。高血圧動脈硬化などが原因となる。
4.〇 正しい。深部静脈血栓症は、長期臥床との組み合わせで正しい。深部静脈血栓症は、深部静脈系に血栓を生じ静脈閉塞を起こすものであり、下肢に発生することが多い。
5.× 結節性多発動脈炎は、全身の中・小動脈に血管系を起こす自己免疫疾患である。溶連菌(溶血性レンサ球菌)感染症との関連性はない。溶連菌(溶血性性連鎖球菌)という細菌に感染することによって、かぜ症候群と呼ばれる上気道感染症や皮膚の化膿を引き起こす感染症である。

 

 

 

 

 

 

92 急性膵炎の特徴はどれか。

1.細菌感染が原因となる。
2.尿アミラーゼが上昇する。
3.膵癌を合併することが多い。
4.糖尿病を合併することが多い。
5.触診によって腫大した膵臓を触れる。

解答2

解説

急性膵炎とは?

急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼとリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]

(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)

1.× 「細菌感染」ではなく、ウイルス感染(ムンプスウイルス、コクサッキーウイルス、HIV、マイコプラズマ)が原因になることがある。
2.〇 正しい。血漿・尿中アミラーゼが上昇する。
3.× 膵癌を合併することが多いのは、「急性膵炎」ではなく慢性膵炎である。急性膵炎の多くは保存治療で回復する。
4.× 糖尿病を合併することが多いのは、「急性膵炎」ではなく慢性膵炎である。なぜなら、慢性膵炎は膵臓が壊死することで、膵臓の内分泌機能を失うため。
5.× 膵臓の触診は、腫大したとしても困難である。なぜなら、膵臓は後腹膜に固定された臓器であるため。

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93 嚥下に関わる神経とその働きの組合せで正しいのはどれか。

1.三叉神経:口唇閉鎖
2.顔面神経:下顎の運動
3.迷走神経:嚥下反射
4.舌咽神経:舌の運動
5.舌下神経:唾液分泌

解答3

解説

1.× 口唇閉鎖(表情筋)は、「三叉神経」ではなく顔面神経支配である。
2.× 下顎の運動は、「顔面神経」ではなく三叉神経支配である。
3.〇 正しい。嚥下反射は、迷走神経支配である。迷走神経は、咽頭や喉頭部の筋を支配する。
4.× 舌の運動は、「舌咽神経」ではなく舌下神経支配である。
5.× 唾液分泌は、「舌下神経」ではなく、顔面神経支配(顎下腺・舌下腺)と舌咽神経支配(耳下腺)である。

 

 

 

 

 

94 慢性閉塞性肺疾患による呼吸性アシドーシスで腎性の代償が起こって、状態が安定している。
 基準値と比べた場合の動脈血液所見として正しいのはどれか。

1.pH:上昇
2.PaCO2:下降
3.PaO2:上昇
4.HCO3-:上昇
5.SaO2:上昇

解答4

解説

本症例は、 慢性閉塞性肺疾患による呼吸性アシドーシスで腎性の代償が起こって、状態が安定している。

 

1.× pHは、「上昇」ではなく安定しているため正常範囲(7.40±0.05)に近づくように働いている。
2.× PaCO2は、「下降」ではなく上昇している。なぜなら、呼吸性アシドーシス(換気が低下している状態)は、CO2が体内に蓄積している。
3.× PaO2は、「上昇」ではなく下降している。なぜなら、呼吸性アシドーシス(換気が低下している状態)であり、O2が体内に取り組めていないため。
4.〇 正しい。HCO3-は、上昇している。なぜなら、呼吸性アシドーシス(換気が低下している状態)は、CO2が体内に蓄積しているが、腎性代償(HCO3-の再吸収の亢進)が働くと、体内のHCO3-は上昇して、pHを正常化する。
5.× SaO2(動脈血酸素飽和度)は、「上昇」ではなく下降している。体内のO2下降しているため。

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95 高齢者にみられる特徴はどれか。

1.男性における前立腺の萎縮
2.卵胞刺激ホルモンの低下
3.歩行開始時の心拍数減少
4.前角細胞数の減少
5.立位時の骨盤前傾

解答4

解説

1.× 加齢により、男性における前立腺は、「萎縮」ではなく肥大する傾向である。
2.× 加齢により、卵胞刺激ホルモンは、「低下」ではなく増加する。女性ホルモンの分泌の低下により、代償的にゴナドトロピン(LH、FSH)が増加する。
3.× 加齢により、歩行開始時の心拍数は、「減少」ではなく増加しやすい。なぜなら、運動耐容能が低下するため、軽い運動によっても心拍数の増加がみられるため。
4.〇 正しい。加齢により、前角細胞数は減少する。
5.× 加齢により、立位時の骨盤「前傾」ではなく後傾することが多い。なぜなら、円背などを伴うため。

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