第48回(H25) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題96~100】

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96 気分(感情)障害の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.うつ病は男性に多い。
2.うつ病の生涯有病率は約1%である。
3.身体疾患を有する患者でうつ病の有病率が高い。
4.双極性感情障害はうつ病より遺伝的素因の関与が強い。
5.双極性感情障害はうつ病より平均初発年齢が高い。

解答3/4

解説

1.× うつ病は、男性に比べて女性に多い。男女比は、約2:1である。
2.× うつ病の生涯有病率(調査時点までにその病気にかかったことがある人の割合)は、「約1%」ではなく、厚労省の統計によれば日本では3~7%、欧米では3~17%である。
3.〇 正しい。身体疾患を有する患者で、うつ病の有病率が高い。外来は約12%、入院患者は約20%である。うつ病と身体疾患の予後の関連は強い。身体疾患とうつ病を同時に治療することが重要である。
4.〇 正しい。双極性感情障害は、うつ病より遺伝的素因の関与が強い。
5.× 双極性感情障害は、うつ病より平均初発年齢が、「高い」のではなく低い

 

 

 

 

 

97 虫や小動物の幻視が特徴的なのはどれか。

1.てんかん
2.振戦せん妄
3.統合失調症
4.Huntington病
5.ナルコレプシー

解答2

解説

1.× てんかんとは、様々な症状(幻覚も含む)があるが、虫や小動物の幻視が特徴的ではない。てんかんの幻覚は、妄想を伴いやすいのが特徴である。
2.〇 正しい。振戦せん妄(アルコール中毒の離脱症状の1つ)は、意識障害・情動不穏・幻視がある。幻視の典型的なものとして、虫や小動物が認められる。
3.× 統合失調症でみられる幻覚は、幻視よりも幻聴が多い。
4.× Huntington病に、幻視はみられない。Huntington病は、常染色体優性遺伝で、慢性進行性の舞踏運動と認知症を主症状とする神経変性疾患である。
5.× ナルコレプシーは、睡眠発作(日中突然眠くなる)、脱力発作(情動に誘発されて力が急に抜ける)、睡眠麻痺、入眠時幻覚がみられる。入眠時幻覚の特徴は、生々しい現実感、恐怖感を伴った夢を見る場合が多い。

 

 

 

 

 

98 統合失調症の成因に関連がないのはどれか。

1.遺伝素因
2.ドパミン仮説
3.アミロイド仮説
4.神経発達障害仮説
5.脆弱性-ストレスモデル

解答3

解説

1.〇 遺伝素因はあるといわれている。双子の場合に双方が統合失調症を発症するリスクは、一卵性双生児のほうが二卵性双生児よりも高いと報告されている。
2.〇 ドパミン仮説とは、患者の大脳辺縁系の神経伝達物質であるドパミンの活動性の亢進(陽性症状に関係)と、前頭葉のドパミンの活動性低下(陰性症状、認知機能障害に関係)などである。
3.× アミロイド仮説は、「統合失調症」ではなくアルツハイマー型認知症に関連する。アルツハイマー型認知症では、アミロイドというたんぱく質が蓄積することで起こる疾患である。
4.〇 神経発達障害仮説は、統合失調症患者に、海馬等の部位で神経の発達障害された痕跡があることなどから、神経発達における障害が疾患発症の準備段階(脆弱性)の原因とする仮説である。
5.〇 脆弱性-ストレスモデルは、選択肢4.神経発達障害仮説による脆弱性の上に、様々なストレスを受けて発症するという仮説である。

 

 

 

 

 

99 神経性無食欲症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.骨密度は増加する。
2.消化管の吸収不全がある。
3.食物に対する関心は低下する。
4.自ら誘発する嘔吐がみられる。
5.ボディイメージのゆがみがある。

解答4/5

解説

1.× 骨密度は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、低栄養をもたらし骨粗鬆症のリスク増加につながるため。
2.× 消化管の吸収不全は伴わない。消化管の機能は正常である。
3.× 食物に対する関心は、「低下」ではなく増加する。体重への恐怖感があるため食べ物に対しても関心が強く、食事制限や自己誘発性嘔吐をする。
4.〇 正しい。自ら誘発する嘔吐(自己誘発性嘔吐)がみられる。また、下剤を用いたりもする。
5.〇 正しい。ボディイメージのゆがみがある。やせていても太っている、やせているほど美しいなどといった歪んだボディーイメージがある。

神経性無食欲症の特徴

①病的なやせ願望
②ボディーイメージのゆがみ
③極端な食物制限と下剤などの乱用
④月経の停止、うぶ毛の増加
⑤乳房委縮はみられない。
⑥性格的には頑固で競争心が強い
⑦母親との心理的葛藤を見ることもある

 

 

 

 

 

100 てんかんで知的障害を伴うのはどれか。

1.側頭葉てんかん
2.Jacksonてんかん
3.小児欠神てんかん
4.覚醒時大発作てんかん
5.Lennox-Gastaut症候群

解答5

解説

1.× 側頭葉てんかんは、知的障害を伴わない。側頭葉てんかんは、部分性複雑発作に分類され、精神症状や性格変化を伴うこともあるが、知能は正常である。
2.× Jacksonてんかん(ジャクソンてんかん)は、知的障害を伴わない。Jacksonてんかん(ジャクソンてんかん)は、部分性単純発作に分類され、焦点運動発作が身体の一部に起こり、これが大脳隣接部分に次々に波及して身体部位に発作が進行していく。予後は比較的良好で、知能は正常である。
3.× 小児欠神てんかんは、知的障害を伴わない。小児欠神てんかんは、全般性発作に分類される。知能や人格は正常である場合が多く、20歳ごろには発作も自然に消失して、一般的には予後は良好である。
4.× 覚醒時大発作てんかんは、知的障害を伴わない。覚醒時大発作てんかんは、特発性全般性発作に分類され、朝起きたての頃夕刻に発作が起こることが多い。予後は良好で、知能は正常である。
5.〇 正しい。Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)は、知的障害を伴う。Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)は、続発性全般性発作に分類され、West症候群より移行して起こる。発作は難治性で頻発し、精神発達遅延を伴い、重積状態をきたしやすい。

 

 

※問題の引用:第48回理学療法士国家試験、第48回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

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