第48回(H25) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題76~80】

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76 Ⅰ型アレルギーはどれか。

1.自己免疫性溶血性貧血
2.アナフィラキシー
3.ツベルクリン反応
4.ループス腎炎
5.重症筋無力症

解答2

解説

細胞性免疫とは?

アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellularimmunity)と大別される。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

1.× 自己免疫性溶血性貧血は、Ⅱ型アレルギー(細胞損傷型)である。
2.〇 正しい。アナフィラキシーは、Ⅰ型アレルギーである。Ⅰ型アレルギー(即時アレルギー・アナフィラキシー型アレルギー)の主な症状は、気管支喘息・アトピー・花粉症・鼻炎。胃腸アレルギーである。アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。
3.× ツベルクリン反応は、Ⅳ型アレルギー(T細胞依存型)である。
4.× ループス腎炎は、Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型)である。ループス腎炎とは、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う腎障害(糸球体障害)である。
5.× 重症筋無力症は、Ⅱ型アレルギー(細胞損傷型)である。

全身性エリテマトーデス(SLE)とは?

全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。

 

 

 

 

 

77 骨端症と発生部位についての組合せで正しいのはどれか。

1.Osgood-Schlatter病:大腿骨頭
2.第1Köhler病:踵骨
3.Kienböck病:月状骨
4.Perthes病:脛骨粗面
5.Sever病:足舟状骨

解答3

解説

1.× Osgood-Schlatter病(オスグッド・シュラッター病)は、「大腿骨頭」ではなく、膝蓋腱部付着部である脛骨粗面の骨端症である。
2.× 第1Köhler病(ケーラー病)は、「踵骨」ではなく足の舟状骨である。
3.〇 正しい。Kienböck病(キーンベック病)は、手の月状骨である。
4.× Perthes病(ペルテス病)は、「脛骨粗面」ではなく大腿骨頭に発症する。
5.× Sever病(セーバー病)は、「足舟状骨」ではなく踵骨骨端部に発症する。

 

 

 

 

78 転移・逆転移で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.逆転移は治療者の生活史を反映する。
2.陰性転移は患者理解の手がかりになる。
3.陽性転移がみられたら治療者を交代する。
4.行動化は患者が転移を意識したときに生じる。
5.逆転移を認識したら患者にそのことを伝える。

解答1/2

解説

 転移と逆転移は、精神分析療法の上で重要な概念である。転移とは、患者が今までの生活史における重要人物(親、学校の先生)に示してきた感情や態度を治療者に向けることを言い、一方、逆転移とは治療者が患者に向けることである。

1.〇 正しい。逆転移は、治療者の生活史を反映する。
2.〇 正しい。陰性転移は、患者理解の手がかりになる。陰性転移に限らず、解釈・分析することで陽性転移も手掛かりとなる。
3.× 陽性転移・陰性転移ともにみられても、治療者を交代する必要はない。解釈・分析することで治療の手掛かりとなる。
4.× 行動化は、患者が転移を「意識したとき」ではなく、意識する前の葛藤状態のときに生じる。行動化とは、防衛機制とセルフコントロールに関連して用いられる用語であり、実際に行動に移してしまうことである。行動化を転移として解釈して意識化させることで治療が進展する。
5.× 逆転移を認識したとても、患者にそのことを伝える必要はない。なぜなら、言われた患者は困る可能性が高いため。治療者自身で解決するか、別の治療者に相談する。

 

 

 

 

 

79 構成課題を含む検査はどれか。2つ選べ。

1.MMPI
2.MMSE
3.HDS-R
4.Rorschachテスト
5.Kohs立方体組み合せテスト

解答2/5

解説

1.× MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の項目にyes/noで答えさせさせ(自己記入式)、10の臨床尺度および4の妥当性尺度により被験者の人格プロフィールを表す。
2.〇 正しい。MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知障害(認知症、せん妄、健忘性障害)の検査である。図形を模写させる構成課題がある。
3.× HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)とは、簡便に知能を検査する方法である。見当識、記銘・再生、計算、言語の流暢性の各項目により、30点満点中20点以下を、軽度以上の認知症があるとする。
4.× Rorschachテスト(ロールシャッハテスト)は、10枚の図版(いわゆるインクのシミ)を被験者に見せて、どのように見えるかを答えさせ、そこから患者の人格面を調べる検査である。
5.〇 正しい。Kohs立方体組み合せテスト(コース立方体組み合せテスト)は、軽度認知機能障害(MCI)のスクリーニング検査である。各面が塗り分けられた立方体のブロックを使って、見本と同じ立体を作るという構成課題からなる知能検査である。

 

 

 

 

 

80 交流分析の自我状態で「現実的で合理的な行動」を表すのはどれか。

1.Critical Parent(批判的な親)
2.Nurturing Parent (養育的な親)
3.Adult(大人)
4.Free Child(自由な子供)
5.Adapted Child(順応する子供)

解答3

解説

交流分析とは、アメリカの精神科医エリック・バーン(E.Berne)が考案した理論体系で、1950年代から発達してきた心理療法のひとつである。交流分析は、自分自身のことや、人と人との間で何が起こっているのかを知りたい人に役に立つ。その交流分析を発展させたエゴグラムは、5つの分類に分けられる。①批判的な親、②養育的な親、③大人、④自由な子供、⑤順応する子供である。

 

1.× Critical Parent(批判的な親)は、自分の価値観を頑固に守り、他者の欠点や間違いを厳しく指摘する父性的な自我状態のことである。
2.× Nurturing Parent (養育的な親)は、思いやりがあり、他者の気持ちや立場に配慮する母性的な自我状態のことである。
3.〇 正しい。Adult(大人)は、客観的な判断力があり、現実的に問題を解決できる自我状態でのことである。
4.× Free Child(自由な子供)は、自由奔放でわがままな面もある自我状態のことである。
5.× Adapted Child(順応する子供)は、他者に過度に配慮して、自分を押し殺してしまう自我状態のことである。

 

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